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解説

東京六本木に誕生した“文化都心”のランドマーク

六本木ヒルズは、世界に向けて情報発信する「文化都心」をコンセプトとし、オフィス、商業施設、集合住宅、文化施設、ホテル、シネマコンプレックス、放送センターなどで構成する、施工区域面積約11.6ha、総延床面積約76万㎡の市街地再開発事業として誕生した。そのシンボルとして聳え立つ六本木ヒルズ森タワーは、超高層ビルが立ち並ぶ東京においても圧倒的存在感を放っている。

外装はPCとアルミサッシの2種類のカーテンウォールが採用され、ガラスシリンダーがPCの殻をまとったような外皮で、頂部の兜のようなデザインとともにシャープな外観となっている。

構造は、剛性、耐力を考慮して柱にCFT鋼管柱、梁に端部水平ハンチ付きの鉄骨梁が採用され、日常的強風から地震動まで減衰効果を発揮させるための制振装置としてアンボンドブレースとオイルダンパーが設置されている。

設備では、新たに開発されたエレベータの上下のカゴの間隔を自由に調整することができる「スーパーダブルデッキエレベータ」が導入されている。地下階に電気供給施設(最大38,660kW)と熱供給施設(最大冷房能力240GJ/h)を設置。再開発地域全体に対して需要に応じて全電力を供給するとともに、その排熱を有効活用して熱を供給している。さらに72時間稼働できる燃料を貯蔵した常用防災兼用発電設備も備えられ、大規模地震時への備えが整えられている。

工事は、地下6階(最大掘削深さ31m)、地上54階(最高高さ238m)、延床面積約38万㎡という国内最大級のビルを、既設建物解体、造成を含めて36ヵ月で完成させるために、さまざまな工夫が必要となった。地下工事においては、傾斜地であることから山留め支保工としてアースアンカーを使用し、オープンカット工法を採用。スロープを利用して、B4F床レベルまで車両のアクセスを可能とし、地上階と地下階の2段施工を実現した。地上階工事では、センターコアに国内最大級の大型タワークレーンを2基、周辺ウィング部分に大型タワークレーンを4基設置し、コア部分を鉄骨3節9フロア先行させることで、クレーン同士の旋回による干渉を回避。さらに6基のタワークレーンをコンピュータで管理して効率化を図り、躯体を238mまで約10ヵ月で立ち上げた。

海外調達を含めた現場購買、作業員数が1,000〜2,500人/日に及ぶ現場の施工管理、他工区との工事調整などの課題を一つひとつクリアし、延べ1,000万時間に及ぶ労働時間を費やして、予定通り竣工の日を迎えることができた。

当社は本プロジェクトにおいて、森タワーのほか、全街区にわたる施工調整業務、土木工事(造成工事、インフラ工事)、六本木ヒルズゲートタワー新築工事を担当した。

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