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解説

札幌大通地区の新しいランドマーク

北洋大通センターは、札幌駅前通と大通公園に囲まれた札幌市内の一等地に建設された大型複合ビルである。

建物の外壁は石張りとガラスカーテンウォールが特徴の透明感のあるデザインで、高層階からは眼下に大通公園が広がる。外装は2重のガラスの間に空気層をつくるダブルスキン構造になっており、エアーフローウィンドウ制御を行うとともに、空調熱源には地域熱供給と電気による自己熱源の複熱方式が採用されている。

地下工事では深さ19mまで掘削するため、地下水の処理が問題となった。毎分最大20tもあふれ出る地下水をそのまま下水に流せば、すぐに氾濫してしまう。そこで、現場から直線距離で400mほど離れた創成川へ放流することとした。生活配管などが至るところに埋設されているため、これを迂回した排水管は730mに達した。

建物の低層階と高層階で用途が異なるため、柱割りを変える必要があり、トランスファーガーダーと呼ばれる巨大なトラス状の鉄骨が、低層階と高層階の間に設けられている。鉄骨部材の据付けには高度な精度管理が必要だったが、施工に与えられた期間はわずか2ヵ月しかなかった。安全かつ確実に作業を行うためにトラスの両側を全面足場にすることで、難しい工程を無事乗り切ることができた。建設廃材のゼロエミッション化に取り組み、2010年度「北海道ゼロ・エミ大賞」を受賞した。

2010年3月31日、工事は竣工、地上4階までの低層階には北洋銀行の営業店舗と商業施設「大通ビッセ」、高層階には同行の本部とテナントオフィスが入居、地下では札幌市営地下鉄大通駅および、札幌駅前地下歩行空間と接続しており、札幌のランドマークにふさわしい賑わいをみせている。

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