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解説

世界最大の泥土圧シールドが、都心の地下を掘り進む

首都高速中央環状新宿線は、都心環状線の外側に新しい環状線を建設して車の分散を図るもので、本工事は、豊島区千早から新宿区上落合まで、山手通り(環状6号線)の直下を掘進するものである。

トンネル延長は2,018mで、掘削外径12.02mは泥土圧シールド工法として、施工時点では世界最大であった。当時の大口径シールドは泥水式が主流であったが、本工事は山手通りの中央に作業基地を設け、一つの基地から外回り(当社JV)と内回り(他社JV)の2本のシールドトンネルをほぼ同時に施工するというものであったため、用地のスペースが少なくてすむ泥土圧が採用された。

大断面泥土圧に対しては、掘削土を塑性流動化させ切羽を安定させるために、添加材に気泡(新開発の砂礫用のゲル化気泡を含む)を採用。また、土砂の塑性流動状態を把握するためにチャンバー内可視化技術を開発した。連続ベルトコンベア、垂直ベルトコンベア、電動式バックホウの採用によりスムーズな掘削土の搬出も図った。

長距離施工に対しては、ビットの磨耗対策として高耐久性を有する大型の特殊先行ビット(シェルビット)を段差配置するとともに、レスキュービットを3ヵ所に装備することで対応。セグメント組立時間短縮のためにワンパスセグメント2と半自動組立エレクターを採用し、組立時間を通常の約半分の45分に短縮した。

またシールド工事と床版工事を同時施工するため、床版と中壁をプレキャスト化した。資材運搬ルートを上下に分け、下部はセグメント運搬用、上部は床版・中壁・コンクリート運搬用とするなど、作業効率の向上を図った。

これらにより、シールド推進は稼働日あたり平均10m、最大で15m、最大月進量232mを記録した。

品質面では、耐火性の鋼繊維補強高流動化コンクリート(SFRC)セグメント(後に、高機能SFRCセグメントの名称で、審査証明、登録商標を取得)を首都高速道路で初めて提案し採用された。

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