季刊大林No.14

「離宮」

桂離宮は日本建築のひとつの“顔”ともいわれる。日本人の自然観や美意識の在り方が細部に至るまで表現され、日本の美をベストな形であらわした例であろう。桂離宮御殿では1976(昭和51)年6月から1982(昭和57)年3月までの約6ヵ年、創建以来初めて、本格的な修理の手が加えられた。宮内庁の指導の下、この『昭和の大修理』を大林組が実施したことより、今回は「離宮」をテーマに特集を組んでみた。
離宮を広辞苑でひくと、帝室の別宮として皇居以外の地に定められた宮殿、とあるが、その性格、機能、内容は定かにはつかみにくい。本号では対談と論稿を中心に、歴史的・文化的に「離宮」の姿を再現しようと試みた。
(1983年発行)

対談:「日本の空間:桂離宮から」

エドウィン・O・ライシャワー(元ハーバード大学教授)
桑原武夫(京都大学名誉教授)

ヨーロッパの「離宮」

木村尚三郎

別業とサロン

森谷尅久

離宮論序説 主として吉野宮をめぐって

川添登

離宮あれこれ

「離宮」の文献80