
技術本部
執行役員技術研究所長
小野島 一
大林組技術研究所報第89号発刊にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
本年2025年、大林組技術研究所は1965年の開所から60年という節目の年を迎えることとなりました。これまで多くの皆様から温かいご指導とご支援を賜りながら、研究分野を着実に拡充し、成長を遂げてまいりました。
開所当初は平屋建ての本館(当時は技術研究部)からのスタートでしたが、実験棟の増設・更新を重ね、現在では年間5,000名を超えるお客様をお迎えできる体制へと発展しております。これもひとえに、先人のたゆまぬ努力と、先生方ならびに協力会社の皆様のご支援の賜物であり、心より深く感謝申し上げます。
今回の所報では、60年の歩みを振り返るとともに、これからの技術研究所の在り方を展望する特集を企画いたしました。特に、前建築学会長であり、日本の環境建築分野を牽引されている早稲田大学創造理工学部建築学科の田辺新一教授との対談では、今後の技術研究所の方向性について貴重なご示唆をいただいております。田辺先生は私の大学時代の先輩でもあり、これまで多くの場面でご指導を賜ってまいりました。ぜひご一読いただければ幸いです。
また、次世代を担う若手研究者による「2050年の技術研究所」をテーマとした提言も掲載しております。新たな視点からの独創的なアイデアが盛り込まれており、未来を見据えた技術研究所の姿を描く上で、大変興味深い内容となっております。
さらに、今回の所報では「脱炭素」をテーマに、バイオ炭コンクリート、再生骨材コンクリート、空気量増大コンクリート、セメントレス技術、スラッジ水の活用など、コンクリート材料に関する研究成果を紹介しております。加えて、RC構造や高層木造の新たな工夫、環境配慮型シール材、耐火木造、遮熱シャッターの開発など、脱炭素に資する技術開発についても報告いたします。
論文では、沿岸生態系や農業に関する研究、気流モデル、汚泥の再利用など、昨今の重要テーマを幅広く取り上げております。木造建築、ICTの活用、新素材、建設ロボットの適用など、多岐にわたるトピックスを掲載しておりますので、皆様の業務にお役立ていただければ幸いです。
改めまして、60年にわたるご支援に心より御礼申し上げます。本所報が皆様の参考となり、今後の技術発展の一助となれば幸いです。
2025年12月