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特集 暮らしを支えるコンクリート

 

東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。大林組は、一日も早い復興に向けて全力で取り組んでまいります。

 

2012年2月末、東京スカイツリー®が完成します。世界一の高さを誇る自立式電波塔を地中で支える「」や、鉄塔の中心部で揺れを低減する「心柱」にも多量のコンクリートが使われています。今回は、東京スカイツリーをはじめ、橋、道路、ビルなどに形を変えて私たちの暮らしを支えているコンクリートについてご紹介します。

 

 

 

1. 古代の街づくりに貢献


数千年前の古代エジプトでは、コンクリートの材料であるセメントの起源となったものがピラミッドの建設に使われていました
紀元前25世紀頃に造られたといわれるピラミッド


数千年前の古代エジプトでは、コンクリートの材料であるセメントの起源となったものがピラミッドの建設に使われていました。

また、古代ローマ時代には、2枚の対向する石塀を構築し、その間に大小の石を詰め、火山灰と石灰、水を混ぜて流し込む方法により、コンクリートの城壁や神殿などの巨大な建造物が造られました。

コンクリートは古代から、さまざまな国の礎となる街づくりを支え、その発展に貢献してきました。

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2. コンクリートと建造物

コンクリートを構成するもの

コンクリート建造物


コンクリートを構成するもの

さて、コンクリートとは一体何からできているのでしょうか。コンクリートは、水と共に練り混ぜると固まるセメントに、砂(細骨材)と砂利(粗骨材)を加え、強度を高めるための減水剤などの混和材料(※1)、空気などで構成されています。

 

コンクリートの建造物

ビルや橋などのコンクリートの建造物は、さらに強度を高めるためにコンクリートの中に鉄筋やPC鋼材(※2)などの金属を骨として入れて使用されます。

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3. 特徴

コンクリートは、さまざまな材料を組み合わせた複合材料です。材料の特性を補完しあう優れた複合材料であるといえますが、長所と短所があります。主な長所は以下のとおりです。

 


一般的なコンクリートは質量1tの重さの自動車が1.5cm×1.5cmに載っても壊れないほどの強度があります

N(ニュートン)は強さの単位で、圧縮強度が20N/mm2とは1mm2当たり質量2kgの重さに耐えられることを示します

1 圧縮の力に強く燃えません

一般的なコンクリートは圧力に対して強く、約20N~40N(ニュートン)/mm2の圧縮強度があります。これはサイコロ程度の大きさのコンクリート片で、質量1tの重さの自動車が載っても壊れない強さに匹敵します。

また、コンクリートの成分のほとんどがセメントや砂、砂利なので着火することがなく燃えません。

北海道小樽港の北防波堤は1908年に造られたコンクリートの建造物で今も使用されています

北海道小樽港の北防波堤は1908年に造られたコンクリートの建造物で今も使用されています

2 耐久性が高い

コンクリートを使った古代の建造物が今も残るように、構成する材料を適切に選定して使用すれば、耐久性が高くなります。

鉄筋と組み合わせた建造物は風雨にさらされながら100年以上長持ちしているものが日本に多くあります。

曲線を描くコンクリート製のモニュメント

曲線を描くコンクリート製のモニュメント

3 自由な形が造れます

型枠を工夫することで、さまざまな形状が造れます。また、コンクリート構造物の容積のほとんどを占めるコンクリートは、鉄などの建設材料に比べ経済的であることも特徴です

 

長所がある一方、「引っ張りの力に弱い」や「重い」、「固まるまで時間がかかる」などの短所もありますが、それを克服するさまざまな研究が行われています。

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4. コンクリートの劣化現象

コンクリートの「引っ張り力への弱さ」を補うために、コンクリートの建造物は引っ張りに強い鉄筋などを入れて強度を保っています。しかし、補強のために鉄筋を入れることで、劣化現象を引き起こすことがあります。

 

コンクリートを電子顕微鏡で見てみましょう

 

コンクリートの中に空隙があるため、さまざまな劣化因子が侵入し、劣化現象が起こる可能性があります。主な劣化現象は、二酸化炭素(CO2)の侵入で起こる「中性化」と塩分の侵入で起こる「塩害」です。
 

 劣化現象1 CO2によるコンクリートの中性化

コンクリートの表面が剥がれて、さびた鉄筋が見えることがあります。これは、大気中のCO2がコンクリートの内部に侵入して、コンクリートを中性化させることが原因です。中性化しても圧縮強度は低下しませんが、鉄筋がさびることがあり、さびにより膨張した鉄筋がコンクリートのひび割れや剥がれを引き起こします。


中性化でコンクリートが剥がれ落ちた様子
中性化でコンクリートが剥がれ落ちた様子


中性化による劣化のメカニズム
中性化による劣化のメカニズム

一般には、コンクリートの内部はpH13程度のアルカリ性です。鉄筋などの鋼材は、通常のアルカリ環境ではさびることがなく、長期にわたって健全な状態を保ちます。しかし、CO2がコンクリート中に侵入すると化学反応により、コンクリートの内部がアルカリ性から中性に変化し鉄筋が腐食するようになります

 劣化現象2 海水などによるコンクリートの塩害

海の近くにある構造物や凍結防止剤を使用する道路構造物では、鉄筋に沿ったひび割れやさび汁の流出、表面部分が剥がれて落下するといった現象が起こることがあります。これは、コンクリートの内部に塩分中の塩化物イオンが侵入することで、コンクリートがアルカリ性であっても鉄筋が腐食し膨張することが原因です。塩害が進むと構造物の安全性が低下します。


塩害でコンクリートが落下した様子
塩害でコンクリートが落下した様子


海水などによるコンクリートの塩害
塩害による劣化のメカニズム

表面から塩分が侵入し、時間とともに鉄筋の周りの塩化物イオンの濃度が高まると、鉄筋の腐食が始まります

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5. 進化するコンクリート

コンクリートの進歩は目覚ましく、強さは10年ごとに2倍になっています。コンクリートの短所を克服するさまざまな研究が進んでいます。

 

強さへの進化

建物の高層化が進みコンクリートにも高強度化が求められるようになり、200N/mm2を超えるコンクリートも開発されました。コンクリートは鉄の領域に一段と近づいています。

 

コンクリートの緻密化

コンクリート内部の空隙が原因で起こる中性化や塩害などの劣化現象も内部を緻密にすることで克服できます。混和材料として、シリカフューム(※3)などの微粉末材料を用いることで、高強度化を図るとともに、コンクリートの緻密化を進めています。

 

大林組は新たなコンクリートの研究開発に取り組んでいます。ここでは、塩分を嫌うコンクリートを逆手にとった「海水練り・海砂コンクリート」と常温で固まる超高強度の「スリムクリート」の2つのコンクリート系材料をご紹介します。

 

大林組のコンクリート技術

地産地消型で緻密性が高い「海水練り・海砂コンクリート

海水・海砂コンクリートの浸透実験
コンクリートの上から水圧をかけて、コンクリートに水を浸透させる実験をしました。実験終了までに水が浸透した深さを赤い矢印で示します。この深さから透水係数を算出します。

海の防波堤などにも多く使われるコンクリートに、海水や海砂を使う技術です。海水由来の岩塩層(米国で核廃棄物隔離試験施設に利用)の緻密性に着眼し、練り混ぜ水に海水を、細骨材に未洗浄の海砂を使用しました。

一般的な水道水や井戸水を用いるよりも、コンクリートはさらに緻密になり、ミクロの空隙が減り、さまざまな劣化現象も起こりにくくなります。

また、海水練り・海砂コンクリートは、海砂についた塩分を水で洗う工程の削減による環境負荷の低減や、材料の地産地消による建設コスト低減などに大きく寄与します。

常温で固まる超高強度セメント系材料「スリムクリート

スリムクリートは鉄筋がなくても建造物ができる超高強度セメント系材料(※4)です。一般的な超高強度セメント系材料は固まるまで高温を維持するため工場で作る必要があります。スリムクリートは常温で固まるので使う場所で施工できます。強度が非常に高いので鉄筋が不要で、断面が薄いブリッジ(下写真)のように、通常の鉄筋コンクリートよりもスリムで軽い建造物を造れます。

 

大林組技術研究所本館内のブリッジはスリムクリートでできています

スリムクリート大林組技術研究所の室内のブリッジに初適用しました。従来よりもスリムになり、重量を約65%に低減できました

 


大林組技術研究所ブリッジの製造過程
(動画再生時間:10秒)

型枠にスリムクリートを注ぎ込むと、スリムクリートはゆっくりと流れて隅々まで行きわたり、常温で固まり所定の強度を発揮します

スリムクリートと一般的なコンクリートとの圧縮強度比較

スリムクリートは、セメントに対する水の比率を通常の4分の1にして緻密性を高めることで、強度は通常コンクリートの約8倍になりました。

緻密になったことで、中性化や塩害の影響をほとんど受けない材料となり、100年以上の耐久性を十分に確保できると評価しています

 

大林組は、今後もコンクリートをはじめ新たな建設材料の開発に取り組み、安全で安心して暮らせる街づくりに貢献していきます。

 

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