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OBAYASHI WOOD VISION
木と共に、巡る未来へ。
OBAYASHI
WOOD VISION とは
「OBAYASHI WOOD VISION」は、「木と共に、巡る未来」の実現を目指した大林組の取り組みです。
背景には、大林組としての取り組み「Obayashi Sustainability Vision 2050」があります。「地球」「社会」「人」のサステナビリティを実現する2050年のあるべき姿の1つとして、「木と共に、巡る未来」を掲げています。
木を中心とした豊かな循環型社会である「木と共に、巡る未来」というビジョンの下、「脱炭素」「Circular Timber Construction®」「ウェルビーイング」の実現を目指しています。
二酸化炭素の固定や削減につながる木造木質化建築は、都市の第二の森林として、「脱炭素」に大きく貢献します。同時に、資源循環が可能な木材を活用することで、新しい循環型ビジネスモデル「Circular Timber Construction®」を可能にします。
また、こころとカラダの健康につながる木造木質空間を提供し、「ウェルビーイング」すなわち人間の豊かな生活を支えます。
都市の第二の森林による「脱炭素」
森林の中でも、CO2の吸収効果が低下した高齢の木を伐採し、新しい木に更新することでCO2吸収効果の高い森林を維持することができます。
伐採した木材は、資源として活用する事で、CO2を固定できます。
都市に木造ビルを建てることは、ビルに炭素を固定すること、すなわち都市に第二の森林をつくることであると言えます。さらに、鉄骨造やRC造と比べて、木造ビルは二酸化炭素排出量が少なくなります。
大林組は木造木質化建築を推進し、木材を循環利用することで、「脱炭素」に貢献します。
木に関わる人々を幸せにつなぐ
「Circular Timber Construction®」
木材は、植える→伐る→加工する→使う→リユース/リサイクルする→植えるという資材循環が可能な材料です。
当社グループが保有する森林関連の事業実績やノウハウ・知見を活かし、木造木質化建築の推進にとどまらず、国産木材に関する川上(植林)から川中(サプライチェーン)、川下(サーマルリサイクル)まで、素材生産〜製材〜利用〜植林という循環サイクル全体を持続可能で最適なものにする「Circular Timber Construction®」を目指します。
さらに、循環型森林サービスの展開、森林共生都市の構築による地方創生を目指し、木に関わる人々を幸せにつなぐ持続可能な仕組みづくりにも取り組んでいます。
新建築2023年4月号に掲載されたCircular Timber Construction®に関する京都大学小見山先生との共著レポート及び座談会の様子を公開しました。
共著レポート(全文版)はこちら[PDF]
Circular Timber Construction® Report(English)[PDF]
座談会の様子(抜粋版)はこちら[PDF]
座談会参加メンバー
山崎真理子(名古屋大学)、後藤豊(チャルマース工科大学/東北大学)、小見山陽介(京都大学)、伊藤翔/髙山峻/太田真理(大林組木造・木質推進部)
「ウェルビーイング」な高層・大規模木造建築の
先にある、「木と共に、巡る未来」へ
健康増進につながる木質空間、安全で安心な木造空間、静かできれいな木造現場を追求し、「ウェルビーイング」な木造建築を目指します。
大林組は、木材に関する技術を進歩させ、さらなる高層で大規模な木造建築を実現していきます。周辺の木で建材と使用エネルギーすべてをまかなう、森林と共に生きる街「LOOP 50」や、高さ150mの超高層オフィスビルなど、木材の利用範囲を拡げる構想を進めています。
これまで不可能だった高層・大規模建築にも木材を活用することで、社会全体における木材活用を拡大させ、「木と共に、巡る未来」を実現します。
木造建築と社会
「OBAYASHI WOOD VISION」で大林組が取り組む木造建築の推進と技術革新は、「地球」「社会」「人」のサステナビリティを実現します。
木造建築が「地球」「社会」「人」に対して果たす役割は、大きく分けて3つあります。その3つは、「環境・脱炭素」、「森林資源の持続的な活用・サーキュラーエコノミー」、そして「健康的な空間・豊かな暮らし」です。
これらの持続的でより良いあり方を実現するために、大林組は木造建築に取り組んでいます。
環境・脱炭素
木は二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。二酸化炭素を吸収した状態の木を木材として活用することで炭素を木材に固定し、脱炭素を推進します。
森林を構成する木は、植物の特性である光合成を行う際に、二酸化炭素を吸収し、炭素を体の一部にした後、酸素を放出して成長します。そうして大きくなった木を木材として活用することで、炭素が木材の中に固定された状態で産業利用が可能となります。
炭素が建築物の一部として固定(貯蔵)されるため、木造建築は「第二の森林」と呼ばれます。
木を伐採したあとには新たに植林を行います。その木が成長する過程でふたたび二酸化炭素から炭素を固定するため、森林が二酸化炭素を吸収する機能は維持されます。
木造建築を増やすことは、本来の森林を維持しながら、「第二の森林」を全国各地に広めていくことになります。
さらに、木材はそれ自体が炭素を固定するだけでなく、鉄やコンクリートに比べても、製造時のCO2排出自体を抑制します。
森林を維持管理しながら木材を循環活用することは、脱炭素による地球環境の維持にもつながるのです。
森林資源の持続的な活用・サーキュラーエコノミー
森林資源を有効活用することで、林業や木材産業、建築・解体、リサイクルなど、地域のさまざまな産業の発展につながると考えています。
同時に、森林を適切に循環させることは、地面を保護し、土砂崩れの防止や水資源の確保につながります。
「植える→伐る→加工する→使う→リユース/リサイクルする→植える」といった森林資源の循環利用は、林業や木材産業を通して、地域経済を活性化します。
直接木を伐採したり木材を加工したりするだけでなく、建物の建築や解体、リサイクル、それらの業務を管理する情報産業など、関連するあらゆる経済圏(サーキュラーエコノミー)に貢献することが可能です。
適切に維持された森林は、地中に木の根が張り巡らされ、土砂崩れを防ぎ、斜面を維持します。また、森林に生息する小動物や落ち葉、木の根が地表、地中に存在することで、隙間の多い地面ができあがります。
細かい空間が地中にあることで、森林の地面はスポンジのように水を蓄えることが可能になります。このスポンジのように湿った地面は、大雨のときには水を貯めて洪水を緩和し、雨が少ないときには地中に蓄えられた水を少しずつ流すことで、水資源を確保します。
このように、森林資源の持続的な活用は、地域経済の発展や国土保全、災害の予防に役立ちます。
健康的な空間・豊かな暮らし
木造建築の空間は健康的で快適な、豊かな暮らし(ウェルビーイング)につながります。
木は室内の湿度を調整し、脱臭・抗菌などの効果もあるため、木を活用することで快適な空間を作ることができます。快適な空間は健康的で生産性の向上にもつながります。
木造建築は、快適な空間を生み出し、そこで住む・活動する人々の暮らしも豊かにします。
木材には人の心身に働きかける様々な効果があります。香りや触り心地は人をリラックスさせ、ストレスを和らげます。
また、木材の壁や柱は空気中の水分を吸収・放出します。湿度が高いときには空気中の水分を吸収し湿度を下げ、逆に湿度が低いときには内部にある水分を放出します。この効果が、湿度の変動を和らげ、快適な湿度を維持します。
悪臭の粒子を吸着したり、抗菌・防虫作用があるのも木材の特長です。
材質としての特長は、コンクリートや鉄、プラスチックなど人工的なものと比較して、不揃いであることが挙げられます。節や色、木目はすべて異なるため、これらが生み出す変化が、オーガニックで温かみのある空間を生み出します。
木材を活用した空間はリラクゼーション効果を生み、健康的で快適な暮らしを生みます。住居に活用すれば快適な家に、オフィスにおいては生産性の向上も期待できます。
木材を使った空間は、豊かな暮らし(ウェルビーイング)につながっています。
木造建築が実現する
「地球・社会・人」のサステナビリティ
木造建築は、脱炭素に貢献し、森林資源の持続的な活用によりサーキュラーエコノミーを発展させ、豊かな暮らし(ウェルビーイング)を提供します。
大林組は、木造建築の推進を通して、あらゆる「人」のための快適な空間を実現し、そのコミュニティとなる「社会」の発展、そして全ての土台となる「地球」環境の保護を目指していきます。
木に関する技術
「木造による大規模・超高層建築」を実現する、大林組の技術
木を中心とした豊かな循環型社会を目指す大林組は、これまで困難だった「木造による大規模・超高層建築」の実現へ向けて様々な技術を開発・活用しています。
大規模・超高層建築を実現するためには、より強く・軽く・燃えにくい「材料」、そして、それらを頑丈な建物に組み立てるための「構造」の両面での技術が必要となります。
材料に関する技術
強く・軽いエンジニアリングウッド
天然の素材である木材は節などもあって部材が均質ではなく、部位により強度もばらつきがあります。このままでは、建築材料として強度の安定性に欠け、使用する用途も限られます。しかし、工場で均等な寸法に製材し、樹種や強度によって区分し、それらを組合せることで、均質かつ一定の強度を保証することができます。これをエンジニアリングウッドと呼び、木材による大断面・長尺の制作が可能になります。
建物を構成する柱や壁に使われる木材は、構造計算により安全性を確かめる必要があるため、エンジニアリングウッドを使用します。その用途によってLVL(※1)やCLT(※2)等を使い分け、鉄骨に比べ圧倒的に軽量で、耐震基準を満たす建物を実現できます。これらの特長は、大規模・超高層建築の実現に向けて大きな強みであり、今後事例の急速な拡大が期待されます。
※1 LVL…ラミネイティッド・ベニア・ランバー(Laminated Veneer Lumber)の略。
※2 CLT…Cross Laminated Timberの略。日本語では直交集成板。




安価で短納期、準耐火性能をもった「オメガウッド」の開発
大林組では、LVL(※1)をボルトやビスといったつづり材で一体化し、準耐火構造用の大断面材を実現する「オメガウッド」を開発。
これまでコスト面で木造を断念していた工場や倉庫、スポーツ施設、講堂などの木造化が容易になります。木材利用を促進し、地球温暖化防止に貢献する技術です。
従来は一次接着製品(エンジニアリングウッド)をさらに貼り合わせた二次接着製品を使用していましたが、時間と加工費がネックでした。オメガウッドは二次接着製品と比較して材料コストを約2分の1、材料納期を3分の1に抑えることができるため、より安価かつ短納期での建築を可能にします。
※1 LVL…ラミネイティッド・ベニア・ランバー(Laminated Veneer Lumber)の略。
※2 CLT…Cross Laminated Timberの略。日本語では直交集成板。


製品 | 加工方法 | 納期 | 加工費用 |
---|---|---|---|
従来品 | 二次接着 | 長い | 高額 |
オメガウッド | ボルトやビスで一体化 | 短い | 安価 |
高層建築に必要な耐火性を備えた「オメガウッド(耐火)」
建築基準法では、防火地域内で100m²以上の建物を建てる場合などに耐火性能が必要とされるため、都市部で中大規模の木造を建設するためには、耐火の技術が必要です。また、中大規模建築に求められる大スパン架構や、さらに木を見せる耐火木造は、部材製作の複雑さからコストが割高となる課題がありました。
そこで大林組は、これまで準耐火構造まで対応していたオメガウッドに、燃え止まり層(耐火層)として石膏ボード、燃えしろ層として表面に木材を設けることで、2時間耐火木造をローコストに実現する技術、オメガウッド(耐火)を開発しました。木質感のある意匠性に優れた外観を有し、シンプルな3層構成となっています。


構造に関する技術
建築構造においては、建物の骨組みとなる柱や梁の組み立てに高い技術を活用し、耐震性・耐火性など建物としての安全性を実現しています。大規模・超高層建築において木造建築がクリアしなければいけない建物の強さを実現する技術は、建物構造のあらゆる箇所に活用されています。
木造での高層建築を支える「剛接合仕口ユニット」
高層の建物を建築する際には、建物自体の重量や地震による力に対し、架構(建物の骨組みとなる部分)を維持するための接合部の強度が非常に重要です。
大林組は、軽くて加工精度が高い木材のメリットを活かし、「剛接合仕口ユニット」を開発しました。GIR接合(木材を、接合ロッドと接着剤で接合)と貫構造を組み合わせた3層構成により、柱と大梁の接合部の剛性・耐力・靭性を確保します。
また、接合部の木部材をシンプルな構成にし、あらかじめ工場でユニット化することで構造性能のばらつきを抑制し、高い施工性を実現します。
この「剛接合仕口ユニット」に免震構造を組み合わせることで、極稀に生じる大地震でも構造安全性の高い設計が可能となります。


鉄骨・RCと木造の強みが融合「ハイブリッド木造」
鉄骨造・RC造と木造の混構造であるハイブリッド木造建築では、低層部はRC造で上部が木造といった例や、鉄骨造の建物の耐震要素として壁を木材にするなど、耐震性や耐火性など木造の課題を解決し、コストや施工性も改善することができます。
ハイブリッド木造を採用することで、今まで実現できなかった木造超高層や木造大空間も可能となり、木造の適用範囲を拡大させることができます。


木造超高層建築への挑戦
大林組は、ここで取り上げた以外にも、耐火性能や避雷対策など、大規模・超高層建築に向けたさまざまな技術を開発・活用し続けています。
木に関する技術を磨き続けることで、低炭素・低コストな、地球と経済にやさしい高層・大規模建築の実現を目指していきます。
木造で、挑む
実際の建物を通して、大林組の目指す木造超高層建築への挑戦を実現
建築構想
ハイブリッド木造が拓く木造超高層建築の可能性


大林組は、木造超高層建築の実現に向けて、高さ150mのオフィスビルにおける「超高層制震ハイブリッド木造モデル」を構想しています。
超高層建築に求められる耐震・耐火性能を兼ね備えながら、木造と在来のS造/RC造のベストミックスを追求し、床・柱・梁などの構造物から木の肌触りを感じられるオフィス空間や、風を読み込み緑があふれる半屋外テラスなど、木の魅力を最大限に生かす建物を実現することが、大林組の建築構想です。
この構想に向け開発した技術を用いて、実際の建物においても木の魅力を最大限に生かした建築を進めていきます。


「超高層制震ハイブリッド木造モデル」について


高さ150mのオフィスビルにおける、木造と在来のS造/RC造のベストミックスと言える日本初の「超高層制振ハイブリッド木造モデル」を構想しました。
コアまわりは制震部材付きの鉄骨造を採用し約7割の地震力を負担し、外周部の耐火木造のダイヤグリッドフレームで約3割の地 震 力を負担します。4層ごとにユニット化された木造ダイヤグリッドフレームは上階にいくほど部材断面積が小さくなり、グリッド交点には生産性と耐力を両立するPC製のGIR接合仕口(新開発)を採用します。また、水平力を負担する無被覆木造ダイヤグリッドサブフレームを挿入することで、主架構の部材断面を小さくするオプションも可能です。
4層ごとのメガフレームには、2層ごとに可変かつ準耐火の木造フレームを挿入し、フレキシビリティが高く、耐火被覆で覆われない木の柱/梁/床の香りや肌触りを感じられるオフィス空間を提供します。耐火フレームには、新たに開発する木造柱/梁/床の独自耐火認定工法を、オフィス空間の梁には木被覆鉄骨ハイブリッド梁を採用します。
また、これからの高層建築の新たな空間価値として、風を呼び込み木や緑が溢れる空間が積層する半屋外テラスを提供します。
この超高層制振ハイブリッド木造モデルにおいて、主架構の柱/梁に約9,200㎥の木材を使用し、環境貢献に繋がるとともに、一般的なS造オフィスに比べ、主架構の柱/梁の重量が約20%低減するなど、コスト低減に寄与します。
木造建築の最前線
最前線 世界で最も高い木造ハイブリッド建築への挑戦
木造ハイブリッド構造として世界最高(高さ182m)となる「アトラシアン・セントラル新築工事」への挑戦
大林組は、2022年8月24日、オーストラリアの大手不動産ファンド開発会社Dexus社から、「アトラシアン・セントラル新築工事」をオーストラリアのBuilt Pty Ltdとの共同企業体で受注。


木造ハイブリッド構造として世界最高
「アトラシアン・セントラル」は、木造ハイブリッド構造の建物としては世界最高となる高さ182m、地上39階建ての超高層建築です。
本工事は、ニューサウスウェールズ州シドニー市にて、同市のイノベーションと技術の街区、Tech Centralの象徴となるオフィス、宿泊および店舗エリアを含む複合施設の建築工事で、7階から上階が鉄骨とCLTを採用した木造ハイブリッド構造となります。
大林組は、地上の構造部材を全て木材とした高層純木造耐火建築「Port Plus®」を建設するなど、純木造建築による大規模・高層建築で得た知見を木造ハイブリッド構造に活かして、本工事の完成を目指していきま
木を活用し、環境に優しく持続可能な建物を実現
同ビルの設計はLEEDやWELLなどのグリーンビルディング認証で最高レベルの認証を取得する仕様であり、建設中に排出されるCO2については通常の50%以下に抑制することを目標とします。さらに、完成後は100%再生可能エネルギーでの稼働を目標としています。


大林組は、建物の木造・木質化に積極的に取り組むことで、循環型資源である木材利用の拡大、促進による持続可能な社会の実現をめざしています。純木造建築で得た知見を木造ハイブリッド構造に活かすことで、さらなる木造建築の普及と、温室効果ガスの削減および快適な生活環境の提供により、カーボンニュートラルやウェルビーイングなどの社会課題の解決に取り組みます。
木造建築への取り組み
木造での中高層建築、大型建築を推進し、OBAYASHI WOOD VISIONの実現を目指していきます。
取り組み事例


建築物木材利用促進協定を締結
2023年2月、大林組はグループ会社である大林新星和不動産・内外テクノスとともに、農林水産省・経済産業省・環境省と6者による「建築物木材利用促進協定」を締結しました。
本協定は、令和3年10月1日の「脱炭素社会の実現に資する等のために建築物等における木材の利用の促進に関する法律」施行に伴い締結が可能になった制度に基づくものです。当社グループと3省庁で協定を締結し、建築物における木材利用促進にとどまらず、森林の循環に貢献し、幅広く脱炭素社会・持続可能な社会の実現を目指します。
具体的には、中高層木造建築物等における国産木材の利用や、省エネ化の促進、サプライチェーンの最適化に貢献し、循環型の森林利用を促進していきます。
また、木質バイオマスをはじめとする再生可能エネルギーの開発・利用へ向けた取り組みを推進していきます。
※正式名称:中高層木造・木質化建築等の促進を通じた、森林共生都市の実現及び循環型森林利用の推進に資する、建築物木材利用促進協定


飯能市との取り組み
2021年6月に、飯能市と「循環型森林利用に関する基本協定」を締結。
飯能市の森林資源を循環活用し、森林共生都市の構築に向けた取り組みをはじめました。
飯能市と大林組が連携・協力して、飯能市の森林・林業再生の解決策を循環型森林利用ビジネスモデル(飯能モデル)として構築します。
さらに、このモデルを活用し、林業振興と森林の有する多面的機能の高度発揮に取り組むとともに、地方創生やまちづくりにつなげていきます。
木造建築事例


コストに配慮した大架構木造倉庫
株式会社日新
木造倉庫 (鳥取県境港市)
LVL (単板積層材)を用い、31mの大スパンと準耐火構造をローコストで実現しました。
木肌を最大限見せ、ダイナミックで木の質感を存分に感じられる空間となりました。
オメガウッドで大スパンの無柱空間を実現
工場の中に建つ平屋の大規模倉庫として、内部をフォークリフトが走行できるよう、大スパンでありながら柱を持たない構造を実現。
大断面木材を作る「オメガウッド」の技術を採用し、無柱空間としての機能を持ちながら、準耐火構造としての品質と心地よい空間デザインを両立させました。
外周面には高耐力壁(構造用厚物合板t=24mm)を配置し、必要な窓開口を確保しつつ耐震性を確保しています。
2014年度にグッドデザイン賞を受賞。


汎用材で構成されたスパン31m、最高高さ13mの大空間


森林資源の循環で自産自消を実現
株式会社
眞栄熊野作業所
発注者所有の山林の木材を建物に使用し、ロングスパンの無柱空間をリーズナブルなコストで実現しました。
木数量算出からLVL製作、工事まで初のトータルコーディネイトを弊社が行いました。
第2回ウッドデザイン賞を受賞
ウッドデザイン賞2016(ソーシャルデザイン部門)を受賞しました。
木材利用の促進を目的として、木の良さや価値を再発見させる優れた製品や取り組みを表彰する制度、グッドデザイン賞。ソーシャルデザイン部門では、木を使うことで地域や社会の活性化に寄与したものが選定されています。自産自消の取り組みや、大林組の「オメガウッド」技術による、ローコストかつ快適で利用しやすい木造建物が評価されました。
木材の自産自消
建築主である株式会社眞栄は、小島プレス工業株式会社を母体とする小島グループの一員であり、小島プレス工業株式会社が三重県に所有する山林の管理、植林から伐採、木材利用までを一貫して行うことで、森林資源の持続可能な循環の実現を担っています。世界遺産で知られる熊野にある株式会社眞栄熊野作業所では、その木材を用いた社員向けの木製家具・玩具などが製作されています。熊野作業所内の工場棟の建替えを行うにあたり、自社生産の木製家具・玩具同様に、小島プレス工業株式会社所有の山林から木材を切り出し、建物に用いることで、木材の自産自消を実現しました。
切り出したスギとヒノキの丸太は、構造材であるLVL や外壁、建具に加工し、建物に利用した。
自産の木材に大林組の技術を適用
自産の木材をもとにLVL の一次接着材をボルトやビスでつづって一体化する大林組の技術、オメガウッドを用いることで、木を活かしたデザインでロングスパンの空間をリーズナブルなコストで実現しました。
利用者が親しみをもてる空間に
天井高 約 5m を確保した空間は、熊野作業所で毎日働いている職員にとって、明るく風通しの良い、心地の良い作業空間となっています。自産の木材をふんだんに用いたことで、親しみをもって利用できる空間となりました。


小島グループの森における森林資源の循環


切り出した木材を建物に活用し、木材の自産自消を実現
© 新建築社写真部


木造屋根の創りだす豊かで
温かな空間
万田発酵株式会社
HAKKOゲート
同社の商品を扱うショップ、来訪者のレセプション施設です。
屋根の木構造を室内空間に生かしたことで、お客様をおもてなしする施設にふさわしい豊かな表情と温かな空間を創り出しています。


山が連なる美しい風景と調和する木造屋根
中村啓太郎(建築写)
万田発酵株式会社 HAKKO ゲート|大林組 建築設計プロジェクト
万田発酵株式会社 HAKKO ゲート - Works – ARCHITORIUM


開放的な木質空間、
森の中のワークプレイス
ディスコ九州支店
オメガウッドを採用し14.3mの大スパンを活かした開放的な空間、多様な木質空間表現を実現しています。
RC造と木造の混構造としてBCP対応や中間期の自然エネルギー活用にも配慮しています。
豊かな「体験」を提供するワークプレイス
世界トップシェアの精密加工装置メーカー「ディスコ」の九州事業所を、熊本市内から空港近郊の緑豊かな郊外へ移転するプロジェクト。
社員の感性を刺激するワークプレイスを生み出すため「多様な環境」や「豊かな体験」を提供できる場を目指しました。
木漏れ日が差し込む木造屋根
「魅せるクリーンルーム」は「オメガウッド工法」によって、14.3m無柱の木造屋根による大空間をローコストで実現。下部4周を開口部とすることで、大らかな空間の中に木漏れ日が差し込み、自然の移ろいを感じ取れる設計になっています。


木漏れ日が差し込む開放的な無柱空間
働く人の感性にうったえかける空間
「木漏れ日のワークプレイス」は、免震層とバランス型自然換気窓の組み合わせによる「自然換気システム」と保護林に面した窓一面を開放。開口部から自然の移ろいだけでなく、室内にいながら森の爽やかな風を感じさせ、働く人々の感性にうったえかける空間としています。


保護林に囲まれた「森の中のワークプレイス」


LVLトラスによる
大規模木造工場の実現
内外テクノス本社工場
建替計画
木造作のエキスパートが集う工場空間を、温かみのある木質空間として計画しました。
LVLをつづった木トラスにより生産性の高い28m×100mを超える大空間を木造で実現しています。


純木造の事務所棟(左)と木造ハイブリッド構造の工場棟(右)
木を最大限に活用した、ローコストな大規模空間を実現
株式会社内外テクノスの本社工場建て替えにおける設計施工を実施。準耐火建築物の基準を満たしながら、9,000㎡を超える大規模な工場において、空間の一体性を損なわずに木造屋根をローコストで実現する大規模木造建築のモデルを目指しました。


約28m×85mの無柱空間がある新工場では木材の加工作業などが行われる
一般流通材を用いた大スパン(28m)木造トラス架構を実現
工場は用途上、柱がないほうが望ましいですが、そのためには大スパンの屋根が必要となります。大林組独自技術であるオメガウッドにより、一般に流通する短尺な部材を耐力ビスでつづることで延伸し、大断面部材としています。
通常必要となる接続部の金物プレートなども大幅に削減してコストダウンを図っています。
さらに、木ならではの意匠性を生かした設計を行うことで、一体感のある大空間と快適性を両立させました。


化粧打ち放しコンクリートの内部壁。壁面は上部に向かって傾斜が付き、高さは8mを超える。


地域材の活用により
魅力的な環境・交流拠点を創出
奈良県コンベンションセンター
奈良の林業への貢献を目指し、建物全体で多様な県産木材の使い方を試みました。
吉野杉の集成材と鉄骨を用いたハイブリッド構造の大屋根により、様々なイベントを可能にする大スパン無柱空間を実現しました。
県産木材の多様な使い方を提示
国産材ブランドの代表格として500年の歴史を持つ吉野の杉・桧をさまざまな形で活用。吉野材の課題として、吉野材に関わる人々の経営は厳しい状況にある上、後継者不足による高齢化が進んでいました。本プロジェクトでは、新たな吉野材の販路を開拓するとともに、林業の多用途な供給に向けた県産木材の使い方を示すことをテーマの一つとしています。
構造材や内外装材だけでなく、アートや家具などさまざまな場面で吉野杉・桧を活用した県内最大のコンベンションセンターを設計・施工しました。


施設内においても無垢材やスライス材といった建築仕上材や扉の引き手などに県産木材を活用
適材適所かつ多様な県産木材の使用
公共建築等における木材利用については、構造体や無垢材による内装仕上げ等にのみ用いられることが多いですが、費用対効果や維持管理の面での課題も多く、本プロジェクトにおいては効果的かつ多様な県産木材の使い方を試みました。
鉄骨造により長スパン化を図りながら、高い圧縮剛性を持つ木材を補剛材として活かしたハイブリット構造や、無垢材、スライス材、壁紙など多様な建築仕上材、コンクリート型枠、杉皮和紙、ランプシェード、扉の引手、家具、鉋屑を挟んだガラススクリーンなど、適材適所かつ多様な木の使い方の可能性を広げ、奈良の林業への貢献を目指しました。
ICONIC AWARDS 2021で奈良県コンベンションセンター、理研計器開発センター&生産センターが受賞
奈良県コンベンションセンターがウッドデザイン賞で優秀賞(林野庁長官賞)を受賞


空と大地と人がつながる
”ウェルビーイングタウン”
GREEN SPRINGS
「100年後の地域のために」計画された緑豊かな複合施設です。
深い木の軒に、およそ5,200㎡の多摩産材の杉材を用い、「まちの縁側」のように、誰もが心地よさを感じる空間を実現しました。
地域への愛着と誇りを感じる環境の創出
GREEN SPRINGSは、JR立川駅北側の国営昭和記念公園と多摩モノレール線の間にある複合施設です。“空と大地と人がつながる、ウェルビーイングタウン”をコンセプトに、ショップやレストラン、オフィス、多機能ホール、ホテル、ミュージアム、保育施設が配置されています。
2階の人工地盤に圧倒的な緑と水に囲まれた約1ヘクタールの広場を設けることで、都心では真似のできない環境価値の最大化を実現しました。


約1ヘクタールの広場に各施設が面し緑豊かな屋外とつながる縁側空間を創り出している
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20221122_2.htmlより
1階の見えない部分に駐車場を集約、2階に建物と一体化した広場を配置。多摩産材の杉板を用いた広い軒天井に囲われた広場には多数の樹木とビオトープを有し、訪れた誰もが心地よさを感じる場所を創出しています。
過去と未来が交差するランドスケープ
緑化のデザイン検討は、立川の地勢と地歴をひも解くことからはじめ、過去と未来が交差するランドスケープを緑と水のつながりで表現しようと試みました。
玉川上水のせせらぎや川面のきらめきを再生した約120mに及ぶ「カスケード」は、地域の人々に馴染みのある景観を創り出しています。
2階の中央にある「ビオトープ」は、多摩川の湾処(わんど)環境を再現し、多摩地域に生息する水生植物を保全することで、子どもたちが地域の環境について学べるフィールドにもなっています。


カスケードには水辺とのつながりを分断する柵を設けていない


ビオトープは敷地内の雨水を循環させて維持している


CLT耐震壁が造り出す
多機能縁側空間
上原成商事株式会社
本社ビル
伝統的な京町家の知恵が詰まった構成を現代的なビルに立体的に再現しました。
執務室をCLT耐震壁と木製格子戸で柔らかく仕切った窓側の縁側空間は、集中して作業をするエリアとして活用しています。
京町家の構成を立体化
上原成商事株式会社の新本社ビルは、京都の昔ながらの風情が残る車屋町通に面した場所に新本社を建設。創業地として京町家の伝統的な構成を取り入れつつ、新本社ビルとして現代的にアレンジ。町並みとの調和と、本社ビルとしての佇まいの両立を図っています。


外観東面 京町家の構成を立体的に表現したファサード
オフィスの可能性を広げる、ハイブリッド構造
通りに面する東側のファサードの開放性を確保し、建物の安全性を高めるために、外被に近い位置ではなく、室内のオフセットした位置に CLT 材の耐震壁を配置しました。京都産の杉材で製造されたCLT は、構造体でありながら室内に木の暖かな印象を与え、杉の放つ芳香はオフィスのアクセントとなっています。さらにこのメインフレームの鉄骨構造と組み合わせたハイブリッド構造により、間に生まれた縁側空間を集中して作業ができるソロエリアとするなど、オフィスの可能性を広げていきます。


外装からやや室内側に設置した CLT 耐震壁


木造屋根のCLT板を活かした上質な木質空間
けやきテラス™
(大林組技術研究所内)
「技術のショールーム」と来所者との交流スペースを兼ねる施設です。
低酸素型コンクリート「クリーンクリート®」や、アルミ合金箔を用いた不燃木「アルファティンバー®」などを採用しています。
独自技術による「技術のショールーム」
落ち着いた雰囲気の中での打ち合わせやプレゼンテーションなど、来所者とのコミュニケーションを深めることを意図した「ミニマル」と「シンプル」がテーマの「けやきテラス」。
大林組の最新技術のショールームとして、実証実験を兼ねて、多彩な技術を活かした設計になっています。
本館テクノステーションの芝生の前庭に面し、けやき並木との風景を切り取る大開口のガラススクリーンを設け、くつろぎを感じられる上質な木質空間で、サロン的な役割を持たせました。
木造屋根のCLT(Cross Laminated Timber)板はそのまま露出させ上質な木質空間としています。
ハイブリッド構造
木造の屋根とそれを支えるスチールの細柱、コンクリートの壁式構造を組み合わせたハイブリット構造を採用。


アルファティンバー®
特殊なアルミニウム箔複合シートを貼るだけで不燃木材として使用できる「アルファティンバー」を採用。難燃剤を注入しないため白華現象がなく、長期にわたり美観を保つことが可能です。




「CLTユニット工法」の導入による高品質・短工期の実現
仙台梅田寮
自社の仙台梅田寮の新築工事に「CLTユニット工法」を適用、高品質かつ短工期での施工を実現しました。
鉄骨造と比較して1.5ヵ月の工期短縮を実現
大林組は、自社の仙台梅田寮(所在地:宮城県仙台市青葉区梅田町)の新築工事において、「CLTユニット工法」を適用しました。
「CLTユニット工法」は、ハイブリッド木造建築の施工時に、構造材であるCLTパネルの壁と天井を工場でユニット化することで高品質かつ短工期での施工を実現する技術です。
従来、CLTパネルを用いた工法では、パネルを現場に運びこみ、その場で組み立てていましたが、本工法では、4tトラックに積めるサイズで設計されたCLTユニットを、あらかじめ工場で製作して現場に搬入します。この技術により、日本では道路運搬規制によって実現が難しいとされる、PPVC(※)の実現に近づくだけでなく、ユニット工法が適している集合住宅やホテルなど、同じ形状の部屋が連続する建物用途への木材適用を後押しします。
※ PPVC(Prefabricated Prefinished Volumetric Construction)
自立型ユニット(壁、床および天井の仕上げを含む)をオフサイトで製造し現場で設置する工法
工程が大幅にスピードアップするとともに、ほこりや騒音による汚染を最小限に抑えることができるなど、生産性を高める革新的な技術として注目されている
Port Plus
日本初の高層純木造耐火建築物 | 次世代型研修施設
大林組の次世代型研修施設として、日本初の高層純木造耐火建築物「Port Plus」を建築。
大林の最新技術を活用し、純木造での高層・大規模建築の可能性を追求した建物です。
森林の循環を活性化させる木造建築を目指し、さらなる技術開発に取り組んでいきます。
LOOP50

木と共に巡る、未来の都市構想。
「OBAYASHI WOOD VISION」が目指す「木と共に、巡る未来」の姿として、建材や使用エネルギーを周辺の木ですべてまかなう、森林と共に生きる街「LOOP 50」を構想しています。
森林資源によるエネルギー循環、木と共にあるコミュニティ、最新材料の活用による新たな循環の形を実現し、新しい時代の森林との向き合い方の実践に取り組んでいきます。