OBAYASHI WOOD VISION
木と共に、巡る未来へ。
OBAYASHI
WOOD VISION とは
「OBAYASHI WOOD VISION」は、「木と共に、巡る未来」の実現を目指した大林組の取り組みです。
背景には、大林組としての取り組み「Obayashi Sustainability Vision 2050」があります。「地球」「社会」「人」のサステナビリティを実現する2050年のあるべき姿の1つとして、「木と共に、巡る未来」を掲げています。
木を中心とした豊かな循環型社会である「木と共に、巡る未来」というビジョンの下、「脱炭素」「サーキュラーコンストラクション」「ウェルビーイング」の実現を目指しています。
二酸化炭素の固定や削減につながる木造木質化建築は、都市の第二の森林として、「脱炭素」に大きく貢献します。同時に、資源循環が可能な木材を活用することで、新しい循環型ビジネスモデル「サーキュラーコンストラクション」を可能にします。
また、こころとカラダの健康につながる木造木質空間を提供し、「ウェルビーイング」すなわち人間の豊かな生活を支えます。
都市の第二の森林による「脱炭素」
森林の中でも、CO2の吸収効果が低下した高齢の木を伐採し、新しい木に更新することでCO2吸収効果の高い森林を維持することができます。
伐採した木材は、資源として活用する事で、CO2を固定できます。
都市に木造ビルを建てることは、ビルに炭素を固定すること、すなわち都市に第二の森林をつくることであると言えます。さらに、鉄骨造やRC造と比べて、木造ビルは二酸化炭素排出量が少なくなります。
大林組は木造木質化建築を推進し、木材を循環利用することで、「脱炭素」に貢献します。
木に関わる人々を幸せにつなぐ
「サーキュラーコンストラクション」
木材は、植える→伐る→加工する→使う→リユース/リサイクルする→植えるという資材循環が可能な材料です。
当社グループが保有する森林関連の事業実績やノウハウ・知見を活かし、木造木質化建築の推進にとどまらず、国産木材に関する川上(植林)から川中(サプライチェーン)、川下(サーマルリサイクル)まで、素材生産〜製材〜利用〜植林という循環サイクル全体を持続可能で最適なものにする「サーキュラーコンストラクション」を目指します。
さらに、循環型森林サービスの展開、森林共生都市の構築による地方創生を目指し、木に関わる人々を幸せにつなぐ持続可能な仕組みづくりにも取り組んでいます。
「ウェルビーイング」な高層・大規模木造建築の
先にある、「木と共に、巡る未来」へ
健康増進につながる木質空間、安全で安心な木造空間、静かできれいな木造現場を追求し、「ウェルビーイング」な木造建築を目指します。
大林組は、木材に関する技術を進歩させ、さらなる高層で大規模な木造建築を実現していきます。周辺の木で建材と使用エネルギーすべてをまかなう、森林と共に生きる街「LOOP 50」や、高さ150mの超高層オフィスビルなど、木材の利用範囲を拡げる構想を進めています。
これまで不可能だった高層・大規模建築にも木材を活用することで、社会全体における木材活用を拡大させ、「木と共に、巡る未来」を実現します。
木造建築と社会
「OBAYASHI WOOD VISION」で大林組が取り組む木造建築の推進と技術革新は、「地球」「社会」「人」のサステナビリティを実現します。
木造建築が「地球」「社会」「人」に対して果たす役割は、大きく分けて3つあります。その3つは、「環境・脱炭素」、「森林資源の持続的な活用・サーキュラーエコノミー」、そして「健康的な空間・豊かな暮らし」です。
これらの持続的でより良いあり方を実現するために、大林組は木造建築に取り組んでいます。
環境・脱炭素
木は二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。二酸化炭素を吸収した状態の木を木材として活用することで炭素を木材に固定し、脱炭素を推進します。
森林を構成する木は、植物の特性である光合成を行う際に、二酸化炭素を吸収し、炭素を体の一部にした後、酸素を放出して成長します。そうして大きくなった木を木材として活用することで、炭素が木材の中に固定された状態で産業利用が可能となります。
炭素が建築物の一部として固定(貯蔵)されるため、木造建築は「第二の森林」と呼ばれます。
木を伐採したあとには新たに植林を行います。その木が成長する過程でふたたび二酸化炭素から炭素を固定するため、森林が二酸化炭素を吸収する機能は維持されます。
木造建築を増やすことは、本来の森林を維持しながら、「第二の森林」を全国各地に広めていくことになります。
さらに、木材はそれ自体が炭素を固定するだけでなく、鉄やコンクリートに比べても、製造時のCO2排出自体を抑制します。
森林を維持管理しながら木材を循環活用することは、脱炭素による地球環境の維持にもつながるのです。
森林資源の持続的な活用・サーキュラーエコノミー
森林資源を有効活用することで、林業や木材産業、建築・解体、リサイクルなど、地域のさまざまな産業の発展につながると考えています。
同時に、森林を適切に循環させることは、地面を保護し、土砂崩れの防止や水資源の確保につながります。
「植える→伐る→加工する→使う→リユース/リサイクルする→植える」といった森林資源の循環利用は、林業や木材産業を通して、地域経済を活性化します。
直接木を伐採したり木材を加工したりするだけでなく、建物の建築や解体、リサイクル、それらの業務を管理する情報産業など、関連するあらゆる経済圏(サーキュラーエコノミー)に貢献することが可能です。
適切に維持された森林は、地中に木の根が張り巡らされ、土砂崩れを防ぎ、斜面を維持します。また、森林に生息する小動物や落ち葉、木の根が地表、地中に存在することで、隙間の多い地面ができあがります。
細かい空間が地中にあることで、森林の地面はスポンジのように水を蓄えることが可能になります。このスポンジのように湿った地面は、大雨のときには水を貯めて洪水を緩和し、雨が少ないときには地中に蓄えられた水を少しずつ流すことで、水資源を確保します。
このように、森林資源の持続的な活用は、地域経済の発展や国土保全、災害の予防に役立ちます。
健康的な空間・豊かな暮らし
木造建築の空間は健康的で快適な、豊かな暮らし(ウェルビーイング)につながります。
木は室内の湿度を調整し、脱臭・抗菌などの効果もあるため、木を活用することで快適な空間を作ることができます。快適な空間は健康的で生産性の向上にもつながります。
木造建築は、快適な空間を生み出し、そこで住む・活動する人々の暮らしも豊かにします。
木材には人の心身に働きかける様々な効果があります。香りや触り心地は人をリラックスさせ、ストレスを和らげます。
また、木材の壁や柱は空気中の水分を吸収・放出します。湿度が高いときには空気中の水分を吸収し湿度を下げ、逆に湿度が低いときには内部にある水分を放出します。この効果が、湿度の変動を和らげ、快適な湿度を維持します。
悪臭の粒子を吸着したり、抗菌・防虫作用があるのも木材の特長です。
材質としての特長は、コンクリートや鉄、プラスチックなど人工的なものと比較して、不揃いであることが挙げられます。節や色、木目はすべて異なるため、これらが生み出す変化が、オーガニックで温かみのある空間を生み出します。
木材を活用した空間はリラクゼーション効果を生み、健康的で快適な暮らしを生みます。住居に活用すれば快適な家に、オフィスにおいては生産性の向上も期待できます。
木材を使った空間は、豊かな暮らし(ウェルビーイング)につながっています。
木造建築が実現する
「地球・社会・人」のサステナビリティ
木造建築は、脱炭素に貢献し、森林資源の持続的な活用によりサーキュラーエコノミーを発展させ、豊かな暮らし(ウェルビーイング)を提供します。
大林組は、木造建築の推進を通して、あらゆる「人」のための快適な空間を実現し、そのコミュニティとなる「社会」の発展、そして全ての土台となる「地球」環境の保護を目指していきます。
木造建築事例
木造での中高層建築、大型建築を推進し、OBAYASHI WOOD VISIONの実現を目指していきます。

飯能市との取り組み
2021年6月に、飯能市と「循環型森林利用に関する基本協定」を締結。
飯能市の森林資源を循環活用し、森林共生都市の構築に向けた取り組みをはじめました。
飯能市と大林組が連携・協力して、飯能市の森林・林業再生の解決策を循環型森林利用ビジネスモデル(飯能モデル)として構築します。
さらに、このモデルを活用し、林業振興と森林の有する多面的機能の高度発揮に取り組むとともに、地方創生やまちづくりにつなげていきます。

コストに配慮した大架構木造倉庫
日新木造倉庫
LVL (単板積層材)を用い、31mの大スパンと準耐火構造をローコストで実現しました。
木肌を最大限見せ、ダイナミックで木の質感を存分に感じられる空間となりました。
© 新建築社写真部
森林資源の循環で自産自消を実現
株式会社
眞栄熊野作業所
発注者所有の山林の木材を建物に使用し、ロングスパンの無柱空間をリーズナブルなコストで実現しました。
木数量算出からLVL製作、工事まで初のトータルコーディネイトを弊社が行いました。

木造屋根の創りだす豊かで
温かな空間
万田発酵株式会社
HAKKOゲート
同社の商品を扱うショップ、来訪者のレセプション施設です。
屋根の木構造を室内空間に生かしたことで、お客様をおもてなしする施設にふさわしい豊かな表情と温かな空間を創り出しています。

開放的な木質空間、
森の中のワークプレイス
ディスコ九州支店
オメガウッドを採用し14.3mの大スパンを活かした開放的な空間、多様な木質空間表現を実現しています。
RC造と木造の混構造としてBCP対応や中間期の自然エネルギー活用にも配慮しています。
© Kenya Chiba
LVLトラスによる
大規模木造工場の実現
内外テクノス本社工場
建替計画
木造作のエキスパートが集う工場空間を、温かみのある木質空間として計画しました。
LVLをつづった木トラスにより生産性の高い28m×100mを超える大空間を木造で実現しています。
© ヴィブラフォト浅田美浩
地域材の活用により
魅力的な環境・交流拠点を創出
奈良県コンベンションセンター
奈良の林業への貢献を目指し、建物全体で多様な県産木材の使い方を試みました。
吉野杉の集成材と鉄骨を用いたハイブリッド構造の大屋根により、様々なイベントを可能にする大スパン無柱空間を実現しました。

空と大地と人がつながる
”ウェルビーイングタウン”
GREEN SPRINGS
「100年後の地域のために」計画された緑豊かな複合施設です。
深い木の軒に、およそ5,200㎡の多摩産材の杉材を用い、「まちの縁側」のように、誰もが心地よさを感じる空間を実現しました。

CLT耐震壁が造り出す
多機能縁側空間
上原成商事株式会社
本社ビル
伝統的な京町家の知恵が詰まった構成を現代的なビルに立体的に再現しました。
執務室をCLT耐震壁と木製格子戸で柔らかく仕切った窓側の縁側空間は、集中して作業をするエリアとして活用しています。

木造屋根のCLT板を活かした上質な木質空間
けやきテラス™
(大林組技術研究所内)
「技術のショールーム」と来所者との交流スペースを兼ねる施設です。
低酸素型コンクリート「クリーンクリート®」や、アルミ合金箔を用いた不燃木「アルファティンバー®」などを採用しています。
Port Plus
日本初の高層純木造耐火建築物 | 次世代型研修施設
大林組の次世代型研修施設として、日本初の高層純木造耐火建築物「Port Plus」を建築。
大林の最新技術を活用し、純木造での高層・大規模建築の可能性を追求した建物です。
森林の循環を活性化させる木造建築を目指し、さらなる技術開発に取り組んでいきます。
LOOP50

木と共に巡る、未来の都市構想。
「OBAYASHI WOOD VISION」が目指す「木と共に、巡る未来」の姿として、建材や使用エネルギーを周辺の木ですべてまかなう、森林と共に生きる街「LOOP 50」を構想しています。
森林資源によるエネルギー循環、木と共にあるコミュニティ、最新材料の活用による新たな循環の形を実現し、新しい時代の森林との向き合い方の実践に取り組んでいきます。