CRS工法

炭素繊維による柱・梁・既存構造物の補強工法

1.CRS-CL工法

CRS-CL工法は、炭素繊維による柱のせん断補強で、建物の耐震補強の一つです。柱のせん断補強として、従来は鉄板を補強材として使用されていました。その場合、鉄板の運搬、溶接、グラウトの注入などで、工期が長引く傾向にありました。また溶接が必要なため、その養生に手間がかかったり、適用できる建物に制限がありました。本工法では、軽量な炭素繊維を用いるため、工事の際に溶接、グラウトの注入、共に必要ありませんので、施工時の火災の心配もなく、短工期で仕上げることが可能となります。よって、建物を使いながらの補強が可能です。炭素繊維はフレキシブルなので、狭い場所での施工も可能です。使用する炭素繊維は、炭素繊維シートとなります。本工法は、一般財団法人日本建築防災協会の技術評価を取得しています(建防災発第18088号)。

2.CRS-BM工法

CRS-BM工法は、炭素繊維による梁のせん断補強で、梁の耐震補強の一つです。梁のせん断補強として、従来はせん断補強筋の増設が行われていました。その場合、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート打設などのため、工期が長引く傾向にありました。また、はつりが必要なため、工事中に騒音、埃、振動が発生するので、工事に多くの制約がありました。本工法では、はつり工事がないため、工事の際に発生する騒音、埃、振動が格段に減少します。よって、建物を使いながらの補強も可能で、かつ短工期で仕上げることができます。炭素繊維はフレキシブルなので、狭い場所での施工も可能です。

3.CFRPラミネートによる補修・補強工法

本工法は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)ラミネートによる既存構造物の補修・補強工法です。あらかじめ工場で成形された軽量で高強度な板状のCFRPラミネート(幅50mm×厚さ1.0〜2.0mm)を既存コンクリートの表面に貼り付けて補強します。梁やスラブの補修・補強では、柱と異なり上向き作業となることが多く、炭素繊維シート貼り付け工法では粘性の低いエポキシ樹脂では液が垂れて施性に難がありましたが、本工法では、 CFRPラミネートを粘性の高い(モルタル状)接着剤を用いて貼り付けることによって、施工性を改善しました。本技術は、2013年に一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しています。
本技術は、第4回国土技術開発賞に入賞、2005(平成17)年の先端材料技術協会(SAMPE JAPAN)賞を受賞しています。

CRS-CL工法:CFRPシートによる補強
CRS-CL工法:CFRPシートによる補強
CRS-BM工法:全閉鎖型補強
CRS-BM工法:全閉鎖型補強
CRS-BM工法:側面定着型補強
CRS-BM工法:側面定着型補強
CFRPラミネートによる補修・補強工法:GBRC性能証明書
CFRPラミネートによる補修・補強工法:GBRC性能証明書

特長・効果

1.高機能性

●炭素繊維は、鉄の約10倍の強度、鉄の約1/4の比重です。
●炭素繊維、CFRPラミネートは耐久性に優れているため、補強後のメンテナンスが不要です。
●炭素繊維は、軽量であるため、補強による建物重量への影響がほとんどありません。

2.優れた構造性能

●せん断破壊する柱や梁を靱性のある曲げ破壊に移行することが可能です。
●補強による柱や梁の断面積の増加がほとんどないので、建物の機能に影響しません。

3.優れた施工性

●炭素繊維、CFRPラミネートは軽量のため、施工時に大がかりな重機や仮設などが不要です。
●炭素繊維、CFRPラミネートは軽量で柔軟なため、狭い場所での施工が可能です。
●火気を使用しないので、火災の心配がありません。
●短工期での施工が可能です。
●CRS-CL工法、CRS-BM工法については、建物を使いながらの補強が可能です。

工事実績

大阪城天守閣
阪神甲子園球場(リニューアル工事)

「CRS」は大林組の登録商標です。