季刊大林 No.26

「パノラマ」

パノラマとは、四方の風景を遠くまで見晴らすことを指し、ギリシャ語のpan(すべて)とhorama(眺め)の合成語である。これより転じて、そのような風景を円形絵画として人工的に構築し、実物そっくりに見せる近代の見世物もパノラマと呼ぶようになった。
18世紀の末からロンドンに現われ、次いで欧米の主要都市に建設され、普仏戦争などの戦争パノラマが当時大流行したそうだ。19世紀に写真や映画のような新媒体が登場すると、その普及の前に短期のうちに退場してしまったが、パノラマ館の建築的側面は、後の大空間構造に過渡的な役割を果たしている。
本号では、パノラマとはいったいどんなものだったのかを掘り起こしてみた。
(1987年発行)

日本パノラマ館事始

平井聖(東京工業大学名誉教授)

OBAYASHI IDEA

明治の大空間 日本パノラマ館の検証復元

復元:大林組プロジェクトチーム
監修:平井聖(東京工業大学教授)

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パノラマ画家とその時代

グラビア:PANORAMA WORLD

モノ・コト・ヒト・をつなぐ-「展示」とはなんであろうか

粟津潔(グラフィックデザイナー)

パノラマとしての風景-景観のパラダイム

窪田陽一(埼玉大学助教授)

パノラマ-民族の叙事詩

川添登(建築評論家)

「パノラマ」の文献20