季刊大林 No.40

「満濃池」

満濃池(まんのういけ)は、大宝年間(701~703年)に築造され、弘仁12(821)年に弘法大師空海によって改築されたと伝えられる日本最古のダムである。その後の改修を加え、現在も讃岐平野(香川県)に現存し利用されており、総貯水量1540万トンの農業用溜池としては、他に類を見ない日本一のスケールを誇っている。
その存在は、古代農業土木における画期的な事績として、またわが国の稲作の歴史を語る貴重な語り部として高い歴史的な価値を持つものだ。今回、OBAYASHI IDEAでは、日本の土木史をたどる上で見逃せないこの巨大水利施設に着目し、歴史的な史料や伝説に工学的見地から検討を加え、空海が修築した初期の姿の復元に挑んでみた。
(1995年発行)

満濃池略史

大林英雄(信濃町文化財保護協会会長)

OBAYASHI IDEA

弘法大師・空海の修築した『満濃池』の想定復元

復元:大林組プロジェクトチーム

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古代讃岐の開拓と治水利水

長町博(香川用水土地改良区事務局長)

対談:「空海」を語る 仏教と開発事業を巡って

和多秀乘(高野山大学学長)
小松左京(作家)

弘法大師と清水

宮田登(神奈川大学教授)

讃岐地方の民話と民族

グラビア:土と水の技術遺産

「満濃池」の文献17