建設会社の仕事は、古代ギリシャの時代から続く夢のある仕事です。一歩先の技術と現実の間に立ち、未来を見据え、時代を創り出す仕事。東京スカイツリーはまさにその象徴ともいえるプロジェクトでした。
この大きなプロジェクトを3年8ヶ月という限られた工期で無事竣工に導くために、一番大切にしたこと。それは「ネジ1つ落とさない」ということです。「そんな当たり前のことが」と意外に思われるかもしれません。しかし、たかがネジ1つ、されどネジ1つ。建設という仕事はそれこそが重要なのです。大林組に関わる協力会社も、「あの『東京スカイツリー』を手がける大林組の現場で働いているのだ」ということを誇りに仕事をしています。
東京スカイツリーの建設は、634mという未知の高さへの挑戦でもありました。また、東日本大震災後は日本の明るい未来の象徴として、多くの皆様の注目も集めました。
1日最大1,000人超の作業員が出入りし、めまぐるしい工程のなかでは、日によって出入りする協力会社も作業員も違います。そのなかで、「ネジ1つ落とさない」ことを全員が徹底して守り、無事竣工できたことは、それだけの覚悟と誇りを胸に秘めてくれていたからこそだと思います。
(c) 日経BP社「日経ビジネスオンライン SPECIAL」初出:2012年3月2日~2012年4月2日