世界一のタワーを建設するにあたり、多くの注目を集めましたね。

建設途中から観光名所になりつつある
東京スカイツリー

亀戸天神社からも眺めることができる

 東京の下町に、突如巨大なタワーが建ち始め、我々も予想しなかった驚くべき状況が起こりました。多くの皆様が自然発生的に、東京スカイツリーの日記を付け始めたのです。東京スカイツリーができていくプロセスを、まるで自由研究のアサガオの観察日記のようにカメラに収めたり、ブログで日々の施工状況が記録されていったり。建設途中から工事現場が注目されることは、大林組120年の歴史の中でも初めての経験だったと思います。
 工事現場が注目されるにつれ、期待の大きさを肌で感じました。作業している全員が「日本のシンボルをつくっているのだ」という誇りを胸に取り組むことができ、「ネジ1つ落とさない」というスローガンの徹底につながりました。
 今回、限られた工期の中で、安全と品質を確保して建設することができたのには3つのポイントがありました。1つ目はスケジュール管理。現場には車両の出入り口が東西に1か所ずつしかなく、資材置き場も十分ではありませんでした。複数の工程を同時進行させるには、徹底したスケジュール管理が必要だったのです。そして2つ目は地域住民の方々のご協力、3つ目は安全や品質、施工効率に優れた工法の採用でした。

世界一のタワーをつくったのは120年受け継がれた「技術」と「こころ」 株式会社大林組 取締役社長 白石 達 『インタビューを読む』

(c) 日経BP社「日経ビジネスオンライン SPECIAL」初出:2012年3月2日~2012年4月2日