楽しく分かる!トンネルの世界

私たちの生活に関わりの深いトンネルをもっと知ろう!

トンネルの歴史トンネルはいつ頃からあるの?

私たちの暮らしを支えるトンネルはいつ頃から、どのように発達してきたのかな。
歴史をさかのぼって見ていこう。

人類が洞窟に住んだのが始まり

大昔の人びとは洞窟に暮らし、生活しやすくするためにトンネルを掘るようになりました。

世界最初のトンネルは4,000年以上前

記録に残る最初のトンネルは、バビロニアの宮殿と神殿をつなぐ、ユーフラテス川の水底トンネルです。

日本最初の道路トンネルは青の洞門

青の洞門(大分県)はノミを使って約30年かけてつくられた約144mのトンネル。1764年に完成。

日本の高度な技術でトンネルが発達

1870年、大阪~神戸間に日本初の鉄道トンネルが開通。技術の発達により多くのトンネルができました。

トンネルの役割トンネルはどうやって使われているの?

道路や鉄道だけでなく、生活の身近な場所でもさまざまな役割を果たすトンネル。
未来に向けて、新しいアイデアも生まれています。

交通トンネル

道路や鉄道のトンネル、地下道などによって早く、便利に移動できるようになりました。
※ 東九州道 芳ノ元トンネル

生活を支えるトンネル

私たちが毎日使っている電気やガス、水道のためのトンネルも地下につくられています。
※ 新潟空港下水道管渠

地下街、地下駐車場など

地下にあるショッピング街や駐車場などに、トンネルをつくる技術が応用されています。
※地下鉄東西線大手町駅とパレスホテルを結ぶ通路
(撮影:川澄・小林研二写真事務所)

未来のトンネル計画は…

東京の地下に巨大トンネルをつくり、ゲリラ豪雨対策に役立て、水陸両用車を走らせる構想も!
※ 広報誌『季刊大林』56号(特集:水都復活)より

トンネルの謎トンネルづくりのスペシャリスト、
建設現場の技術者が謎を解明!

トンネルはどうやって掘るのかな? どうして崩れないのかな?
そんな疑問を持ったことはありませんか?
知っているようで知らない、トンネルの謎に答えます。

トンネルが丸いのは、頑丈にするためだよ!

トンネルの形を丸くするのは、土や岩の特性を活かして、トンネルを強固にするためです。土や岩は押しつぶす方向の力(圧縮力)に強いため、天井を丸くすると、上部からの土や岩の重みがトンネル全体にバランスよくかかるようになり、強度も増します。

硬い岩盤に穴を掘るときは、爆薬を使うんだよ!

山などの硬い岩盤を掘り進めるときは爆薬を使います。作業手順は、岩盤に機械で小さな穴をたくさん掘り、爆薬を詰めます。そして離れた場所から点火して爆発させ、岩をこなごなにします。1回の作業で進むのはわずか1~2mほどです。

トンネルが崩れないのは、
補強しながら掘り進めているからだよ

トンネルを掘ったら、壁面にはコンクリートをスプレーのように吹き付けてすぐに固めます。さらに支保工という鉄骨やロックボルトという鋼棒を使って補強するので、崩れずに掘り進められるのです。

設計図どおりに掘れるのは、
いろいろな技術を使っているからだよ

トンネルは測量によって距離や方向、位置を算出し、設計図と照らし合わせて調整しながら掘り進めます。日本各地には緯度・経度・標高の基準となる三角点と、高さの基準となる水準点が設置されていて、近隣の三角点・水準点をもとに坑口に基準点を設け、トンネル内の測量を展開します。GPSやレーザーなども活用されています。

山岳トンネルのつくり方トンネルができるまでを見てみよう!

トンネル工事には用途や場所に合わせて、いろいろな方法があります。
ここで紹介する山岳工法は、山地を貫いて道路や鉄道などの
トンネルをつくるときに使われます。

1
削孔(さっこう)

削孔(さっこう)

ドリルジャンボという機械を使って爆薬を入れる小さな穴をたくさん掘ります。

2
装薬(そうやく)

装薬(そうやく)

穴の中に爆薬を詰めていきます。

3
発破(はっぱ)

発破(はっぱ)

爆薬に点火し、爆発させて岩を砕きます。

4
ずり処理

ずり処理

砕いた岩(ずり)をトンネルの外に運び出します。トラクターショベルと、ずり運搬車またはベルトコンベヤーを使います。

5
コンクリート吹付け

コンクリート吹付け

掘ったトンネルにコンクリートを吹き付けて補強します。

6
支保工(しほこう)設置

支保工(しほこう)設置

支保工と呼ばれる鉄骨を設置して、トンネルが崩れるのを防ぎます。

7
コンクリート吹付け

コンクリート吹付け

再びコンクリートを吹き付けて、壁面の厚さを5~15cmほどにします。

8
ロックボルト設置

ロックボルト設置

支保工と支保工の間にロックボルト(3~4mの鋼棒)を放射状に打って補強します。

9
防水工(ぼうすいこう)

防水工(ぼうすいこう)

防水シートを張り、トンネル内への水漏れを防ぎます。

10
コンクリート覆工(ふっこう)

コンクリート覆工(ふっこう)

内側にセントル(鋼製の半円筒形の型枠)を設置し、すき間をコンクリートで埋めます。
コンクリートが固まったらセントルを外して完成です!