トンネルをつくる人たち Tunnel Construction Professionals

ロボティクス生産本部編

ロボティクス生産本部 生産技術第一部 部長 佐々木 雄輝

大林組 ロボティクス生産本部 生産技術第一部 部長 佐々木 雄輝

「建設現場の生産性・安全性向上を支える、ロボティクス技術の今」

自動化・自律施工で人手不足を補う

ロボティクス生産本部では、機械や電気の分野から、建設現場の施工計画や施工支援を担当しています。東日本(埼玉県川越市)と西日本(大阪府枚方市)にロボティクスセンターを有し、自社で技術開発や実証実験ができるのも強みです。
大林組では、これまでにさまざまな土木技術の開発を行ってきました。その一方で、新しい技術を現場で適用させるのは、とても難しいことでもあります。近年、建設現場の担い手不足は、技能労働者だけでなく施工管理を担う私たちにも及び、いかに少ない人数で、品質と安全性を維持しながら施工できるかが、喫緊の課題になっています。この課題をさらに掘り下げて、遠隔施工や自動化、自律施工のための技術開発を進めていく必要があります。

ロボティクス生産本部 生産技術第一部 部長 佐々木 雄輝
現場に貢献できる技術開発を目指して

現場での技術適用を進めるにあたり、特に障壁となっているのが、技能労働者やオペレーターの経験・勘に依存している部分のデータ化と活用方法の確立です。ここ数年、AIなどを活用したロボティクス技術の進歩は目覚ましく、人型ロボットなどさまざまな開発を行っています。技能労働者の熟練した技術レベルに達するには時間がかかりますが、山岳トンネルなど特に大きな危険を伴う工事でのリスク低減や安全性向上を目指し開発を進めています。我々の部だけで完結するものでもないので、いろいろな部署と統合的に取り組んでいきたいと思います。

複雑な条件に向き合う。地下鉄工事の醍醐味

私自身は入社以来、主にシールドトンネルの現場に携わってきました。シールドトンネルは下水や管路の用途が多いのですが、私の場合は4つの地下鉄工事に携わり、施工完了後に電車に乗って自分の施工した現場を見るという、貴重な経験ができました。
特に印象深いのは、大阪・関西万博会場へのメインアクセスとなったOsaka Metro中央線の延伸工事です。万博関連工事は全体的に工期が厳しく、通常7~8年はかかるところを約4年で完成させる必要がありました。また、万博会場の夢洲は埋め立て地で、シールドトンネル全線がその対象という工事はほぼ前例がありませんでした。不測の事態により掘進が中断する可能性もあり、相当なプレッシャーがありました。さらに、施工者の技術力を設計に反映させるECI(Early Contractor Involvement)方式という発注形態により、施工開始までに技術提案から優先交渉権獲得、設計協力業務までを行う必要がありました。実際には工期短縮のため部分発注された工事の施工と、ECI業務を並行して行う複雑なプロセスの工事となり、着任してから最初の1年は特に大変でした。工法や手順の変更などで工期を短縮できる施工方法を提案し、無事シールドが到達したときは感慨深かったですね。
地下鉄工事は一般的な下水管工事と違い、駅という構造物があるため、駅建設チームとの調整や複雑な施工条件への対応が必要です。単純な立坑からの発進と比べて内容が複雑になりますが、その分やりがいもあります。

ロボティクス生産本部 生産技術第一部 部長 佐々木 雄輝
土木の現場で活躍する「現場力」のある人材

シールドトンネルの現場では、何か一つ機械が止まると全ての作業が止まってしまうリスクがあるため、少しでも早く復旧させる必要があります。そのために必要な判断力や経験は、実際にさまざまな施工を見聞きして、良し悪しや状況の変化を感じることで身についていくと考えています。ぜひ現場を大切にして、毎日きちんと現場に足を運んでほしいですね。私も若手の時代は腰道具を担いで走り回り、いかに現場を止めずに、うまく動かしていくかを考えていました。
また、シールドマシンは現場ごとにカスタマイズするのですが、詳細に仕様を打ち合わせして、現場に最適な機械を作り上げていきます。機械化、自動化と言いつつも、やはりそれを実現させていくのは人。だからこそ、現場力のある人材を育てていく必要があります。また、長い目で見ると現場を大切にする人は人材育成も上手です。
私自身はタイミングが良かったこともありシールドトンネル現場への配属ばかりでしたが、山岳トンネルの現場にも行きたいと思っていました。大林組では若手社員にローテーション制度を採用しており、さまざまな現場を経験できるようになっています。ぜひ異なる現場を実際に見て、感じて、現場に貢献できる機械の開発に役立ててほしいですね。