WELL認証 うぇるにんしょう
WELL認証(WELL Building Standard)は、施設空間の設計・施工・運用について、空間内で暮らしあるいは働く居住者の健康・ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)に焦点を当て、より良い居住環境の創造を目指したビルト・エンバイロメント(施設空間や街区の環境)の国際的評価・認証システムです。
2014年にWELL認証をスタートした米国の公益企業IWBI(International WELL Building Institute, PBC)が改訂など制度の運用管理を行い、第三者機関であるGBCI(Green Business Certification Inc.)が評価・認証を行っています。
設計、施工、運用での取り組みを、人間の健康とウェルビーイングに影響を与えるさまざまな要件を実際の性能に基づいて測定・評価・認証します。あらゆる用途のプロジェクトの評価に適用でき、施設空間を人間の健康とウェルビーイングを支援する手段として評価します。WELL認証を取得する施設には、集中⼒を促進するスペースなど、⼼⾝ともに健やかに働ける環境が整うことで、従業員満⾜度の向上をはじめ、離職率改善、エンゲージメント向上、生産向上などが期待されます。
評価項目は10の「コンセプト」(空気、水、食物、光、運動、温熱快適性、音、材料、こころ、コミュニティ)で構成されています。特に居住者の身体に関わる評価項目については、環境工学の観点のみならず医学的・科学的研究成果のエビデンスに基づいた検証が加えられています。
WELL認証を得るためには、全ての必須項目を満たし、必要な数の加点項目を取得することが必要で、加点項目の点数により認証レベルが決まります。認証には全ての必須項目と選択した加点項目を満たしていることを示す書類の審査の他、現地検証での空気質・水質・光・音などの環境測定とWELL要件の備品や設備等の目視確認において要件を満たす必要があります。また認証取得後の継続的な施設の維持管理や定期計測を求められます。WELL認証の有効期限は3年間で、更新には再認証が必要となります。
WELL認証の評価項目は、施設内の利用者のウェルビーイングに直接関連するものがほとんどですが、「炭素排出開示と削減」の評価項目では、GHG排出削減がウェルビーイングに間接的に貢献すると示されています。
大林組では、大林組技術研究所「テクノステーション」(東京都清瀬市)にて2017年に日本で初めてWELL認証を取得(ゴールドランク)しました。また、自社の研修施設「Port Plus®」(神奈川県横浜市)で、WELL認証の最高ランクである「プラチナ」と、施設の運営管理を健康と安全性から評価する「WELL Health-Safety Rating」の認定を2023年2月に取得しました。
