季刊大林 No.8

「寺」

日本という国が形成される過程の中で、寺が果たした役割は見逃せない。寺には、本山から末寺まで、網の目のようにつながった系列があって、その影響は日本中に及ぶ。国家としての形成が進むにつれ、行政庁もより強力に全国に網羅されていったが、行政面でカバーしきれないものも少なくなかった。そのすき間を埋めるように、寺は民衆の間に浸透していく。一に宗教としてだけにとどまることなく、文化や教育や、広く民衆の心の拠点として。
日本が一つの国として、そこに住む人々が共通の認識や常識、共通の発想や論理を育むに至る過程に、寺があった。本号では、その意味で特に"寺"の源に焦点をあて、寺とは何であったのか、再確認してみた。
(1980年発行)

OBAYASHI IDEA

遠江国分寺復元

復元:大林組プロジェクトチーム

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国分寺をめぐって

文明の装置としての寺院 とくに国分寺にによせて

川添登(建築評論家)

禅刹追慕

水上勉(作家)

仏道の具えにまなぶ

榮久庵憲司(GKインダストリアルデザイン研究所所長)

古代社会の土木・建築史に足跡を残した名僧達 道昭・行基・道慈

小咄・仏の顔も三度(仏教語入門)

造寺工の譜(古代寺院の大工たち)

グラビア:「寺」

「寺」の文献111