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解説

多彩な情報発信を続けるIT企業の拠点ビル

秋葉原駅に隣接する旧国鉄操車場跡地に建設された富士ソフト秋葉原ビルは、秋葉原土地区画整理事業のフィナーレを飾るプロジェクトである。

秋葉原でも一番の超高層ビルで、オレンジ色の曲面コーナー部の外観が印象的である。平面形状が楕円形の低層棟では、透明感あるガラス越しに200名収容の階段形式の大ホールの様子が見える。ビルの南側玄関からは幅8m、高さ12mの屋内通路がL字形に東側正面玄関方面につながっており、昼間は自由に通行ができる。総合設計制度で要求される公開空地を建物内に取り込んだもので、壁面には巨大なモザイク画が描かれている。

各階に10ヵ所ずつ配置されたブレーキダンパーにより地震に対する制震性能を確保するとともに、東西方向の風による揺れ制御のため、屋上に制振装置を2基設置している。オフィスの天井は当社が開発したO-GRIDシステム天井を採用し、窓際のエアーフローウィンドウとともに温熱照度環境を自動制御している。8〜30階の西南角はR型のリフレッシュコーナーになっており、新開発した排気型ダブルスキンサッシを採用して透明性を確保しつつ、断熱と結露の改善を図っている。

施工においては、新幹線のトンネルが西側に近接しているため、トンネルへの影響を最小限とするよう逆打工法を採用した。最終掘削時の山留め支保工として、通常なら上部躯体からの斜め切梁を架設するところを地中梁せいが4mあったため、地中梁上部1mの躯体を先行打設した。杭はOWS拡底杭とアースドリル拡底杭を併用した。

地上階の鉄骨建て方では、各節最上階の床スラブを最初に打設し、安定した床の上で次節の建て方を行うことで精度確保と作業の安全性確保、荷捌きスペースの確保を図った。また工期短縮、品質と安全性確保を目的に、EV機械室や空調機置き場の床、屋上階の外周パラペット立ち上がり躯体などにPC版を積極的に採用している。

富士ソフト秋葉原ビルは、電気の街からサブカルチャーの聖地に変貌を遂げつつある秋葉原にあって、IT産業の活動拠点として世界に情報発信を続けている。

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