大屋根リングは、大阪・関西万博のシンボルとなる建築物で、会場デザインプロデューサーで建築家の藤本壮介氏によりデザインされ、「多様でありながら、ひとつ」という大阪・関西万博の理念を表しています。
完成時には、世界最大級の木造建築物となり、リングの屋根の下は、会場の主動線として円滑な交通空間であると同時に、雨風、日差しなどを遮る快適な滞留空間として利用されます。また、屋上からは会場全体をさまざまな場所から見渡すことができ、さらにリングの外に目を向ければ、瀬戸内海の自然や夕陽を浴びた光景など、海と空に囲まれた万博会場の魅力を楽しむことができます。
大屋根リングー施設整備事業(PW北東工区)ー
コンセプト
Concept
大林組の取り組み
Our efforts
大屋根リングについて
日本建築における伝統的な木文化を表象する柱と梁
京都・清水寺の本堂から張り出した「舞台」に見られるような伝統的な貫(ぬき)接合に、現代の工法を加え、剛性を高めています。各工区では、技術を結集させた接合部となっており、見え方も含めて違いを楽しめます。
伝統的な貫工法では、柱と横架材の接合部の補強に木栓が使われますが、大林組工区では、横架材を金物(鋼板とラグスクリューボルト)で補強しています。



「つくりやすく・転用しやすい工夫」を施した合理的な構造
大屋根は、万博閉幕後、構造体を解体、再利用される予定です。そのため、構造体をきれいな状態で解体する方法を検証するため、組み立て前に、組み立て・解体の実大実験(モックアップ製作)を行い、「残す解体」を実践しました。


国産材を活用し、日本の林業、森林再生に貢献
大林組工区では、国産材の活用を推進するため、柱材の約50%程度(※1)を四国産のヒノキ、梁材には福島産のスギを採用しています。それらの材木は、福島県双葉郡浪江町にある国内最先端の大規模集成材生産工場で、集成材に製造され、柱・梁に必要な加工が行われています。
床材は、四国産のヒノキとスギを加工したCLT(直交集成板)を採用し、大林グループであるサイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市)の日本最大級のCLT生産設備で製造しています。


大屋根リングの木材使用量(大林組工区)
集成材(ヒノキ、オウシュウアカマツ、スギ) |
約6,500㎥ 柱・梁・桁に使用 |
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CLT(ヒノキ、スギ) | 約1,800㎥ 床に使用 |
建設現場の進捗状況をサイバー空間で可視化(デジタルツイン環境を構築)
大林組が開発した、建設現場のデジタルツインアプリ「CONNECTIA(コネクティア)」を利用して、大阪・関西万博の建設現場を、サイバー空間上に再現し、建設現場のデジタルツインを構築しました。

リング大林組工区の進捗状況は、大林組開発のビジュアルプロジェクト管理システム「プロミエ®」(※2)で管理し、CONNECTIAとプロミエを連携することで、工事全体の進捗状況と出来高管理の状況をサイバー空間上に集約し再現しています。
大林組工区における木構造部材の実数管理や、工場製作から現場組み立てまでの進捗管理にプロミエを活用しています。工場製作段階は木部材の加工会社が、現場組み立てについては現場担当者が行うことで一元管理を行っています。
クラウド上に配置したBIM/CIMモデルと工事の進捗データを連携させ、Webブラウザ上で工事の進捗状況を三次元で表示できるツールです。プロミエは対象とする工事ごとの工程進捗管理を行うことに特化しているため、CONNECTIAと情報を連携することでプロジェクト全体を包括的に管理することを実現しています
関連ニュース
News
施設概要
Facilities
工事名称 |
2025年日本国際博覧会 施設整備事業(PW北東工区) |
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工事内容 | 【施設整備事業(PW北東工区)】 パビリオンB・C、ゲート施設、大屋根など 23棟 建築面積:4万5,486㎡(リング含む) 延床面積:5万70㎡(リング含む) 【大屋根リング(大林組工区部分)】 構造:地上 W(木)造、直接基礎 RC(鉄筋コンクリート)造 建築面積:1万8,513㎡ 延床面積:2万214㎡ 階数:2階 高さ:12m、最高高さ24.766m 用途:歩廊 |
発注者 | 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 |
会場デザインプロデューサー | 藤本壮介 |
設計監理者 | 大林組・大鉄工業 ・TSUCHIYA共同企業体 ・株式会社安井建築設計事務所 (大屋根リング北東工区の実施設計、工事監理は、株式会社大林組) |
施工者 | 大林組・大鉄工業 ・TSUCHIYA共同企業体 ・株式会社安井建築設計事務所 |
工期 | 新築:2023年4月21日~2025年2月28日 解体:2025年11月1日~2027年2月28日 |

2025年
大阪・関⻄万博について
About Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan
2025年4月13日(日)から
10月13日(月)までの
184日間、大阪・夢洲で開催されます。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。
2005年に開催された愛・地球博に続き、
20年ぶりに日本で開催される国際博覧会です。