大阪・関西万博会場のシンボル 大屋根リング PW北東工区の木架構が完成
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)を代表とする共同企業体(以下、大林組JV)は、「2025年日本国際博覧会整備事業(PW北東工区)」の大屋根リング建設工事について、6月26日、最後の床材取り付けが完了し、柱や梁、床などの基本構造体(木架構)が完成しました。
大林組JVは、大屋根リング建設を担う3つの工区のうち、北東部分(全周約2㎞の約3分の1)を担当しています。独自の工法の導入や、デジタル技術を活用した情報共有などにより、木架構は当初の計画から約1.5ヵ月早く完成しました。
木架構の完成後は、エレベーターやエスカレーターなどの昇降機設備、トイレその他の仕上げ工事、大屋根上部の植栽工事を行い、2024年12月にPW北東工区の大屋根リングは完成する予定です(※1)。
大屋根リングについて
大屋根リングは109個の木架構ユニットを円形につないだ幅約30m、高さ約20m、内径約615m、周長約2kmの世界最大級の木造建築です。日本の伝統構法「貫接合(ぬきせつごう)」に現在の耐震基準を満たす構造体の施工方法は、各工区によって異なり、それぞれが安全かつ合理的に作業するために独自の技術を取り入れています。
PW北東工区における大屋根リングの特徴
貫接合の設計見直しとユニット化による施工効率と安全性の向上
大屋根リングの柱と梁は、柱をくり抜いた開口部に梁を差し込む貫接合により組み立てられます。大林組JVは、1万本を超える柱・梁部材と約7,800ヵ所ある貫接合を設計と施工の両面から効率化しました。
設計段階では、通常柱と梁の接合に用いられる楔(くさび)の代替として、工場で梁に埋め込んだラグスクリューボルト(※2)と仕口(しぐち)部のめり込み防止用支圧プレートを用いることにより、剛性と耐力を確保できるように見直しました。設計の合理化により、現場での固定作業はボルトを締め付けて支圧プレートに圧着させる作業のみとなり、大幅に作業効率が向上しました。
また、施工段階では、順次柱・梁を組み立てていく通常の施工方式ではなく、あらかじめ柱に梁を差し込んだ「平面ユニット」や、構造体上部の部材である「立体ユニット」を地上で組み立て、楊重作業により取り付ける施工方式を採用しました。高所での作業を大幅に削減したことで安全性を向上させ、加えて安定した作業員数で建方工事を進めることができました。
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ラグスクリューボルトの締め付けと支圧プレートにより、突っ張り棒の原理で、柱と梁を固定する
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平面ユニットの組み立て作業(柱材に梁を差し込み)
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立体ユニットの取り付け作業(下部部材と上部部材の接合)
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平面ユニットの地上作業(揚重による基礎部分への差し込み)
デジタル技術を活用した情報共有
BIMモデルを活用したプロジェクト管理システム「プロミエ®」を使用して、大屋根リングの組み立て工事の進捗と、工場における部材の製造・輸送状況を、現場と協力会社間で共有しました。両者がそれぞれの進捗状況を随時把握することで、部材の製造と現場への輸送時期の管理をリアルタイムで効率的に行うことができました。現場での施工は当初計画から1.5ヵ月程度早く進捗しましたが、システム活用により建方の進捗に合わせたタイムリーな材料製作と輸送管理を行うことができました。
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集成材生産工場における柱・梁部材の出荷状況
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集成材生産工場におけるプロミエ使用状況(提供:藤寿産業株式会社)
国産材を活用し、国内最大規模の集成材・CLT生産拠点で部材を製造
PW北東工区では、国産材の活用を推進するため、柱材の約50%に四国産のヒノキ、梁材の全量に福島産のスギを採用しています。それらの木材を原料として、協力会社である藤寿産業株式会社(本社:福島県郡山市)の国内最大規模の集成材生産工場(福島県双葉郡浪江町)で集成材が製造され、柱・梁部材に必要な加工が行われました。
また床材には、四国産のヒノキとスギを加工したCLT(直交集成板)を採用し、部材は大林グループの株式会社サイプレス・スナダヤ(本社:愛媛県西条市)が持つ国内最大規模のCLT生産工場で製造しました。
大林組は、大阪・関西万博にさまざまな形で携わり、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを通じて、「いのち輝く未来」を世界中の人々と共有し、次の時代へと継承できるよう積極的に参画していきます。
大屋根リング PW北東工区 建設工事概要
所在地 | 大阪府大阪市此花区夢洲中一丁目地先 | ||
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工事内容 | 構造:地上 W(木)造、直接基礎 RC(鉄筋コンクリート)造 | ||
建築面積:18,513.34m² (大屋根リング全体:61,035.55m²) | |||
延床面積:20,214.90m² (大屋根リング全体:66,900.02m²) | |||
階数:2階 | |||
高さ:12m(最高高さ24.766m) | |||
用途:歩廊 | |||
契約者 | 大林組・大鉄工業・TSUCHIYA共同企業体・株式会社安井建築設計事務所 | ||
工期 | 2023年4月17日~2025年2月28日(※3) |
- ※1 引き渡し前の検査期間を含まず
- ※2 ラグスクリューボルト
大きな木材に使用される金属製のネジで、木質ラーメン構法などで用いられるほか、耐震性を確保するための金具の取り付けや、補強金具の留め付けに使用される - ※3 PW北東工区の契約に含まれる、大屋根リングなど約20棟の工期(閉会後の解体工事は含まず)
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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