結集!DXで挑む未来の建設
大林組の取り組み
Our efforts
大林組は、個々のパビリオン建設を担当するとともに、大阪・関西万博会場全体の建設プロジェクトにおける進行や管理を行う統括施工管理者の役割を担っています。広大な会場内では100を優に超える建設プロジェクトが同時進行しているため、安全かつ円滑な工事の推進に向けてさまざまな角度から建設DXに挑みました。
最先端のDX技術は、建設現場だけでなく街の未来をも予感させます。
ここでは、大林組が導入した数々の建設DX技術をご紹介します。
交通の流れを止めない工事車両管理支援システム「FUTRAL®」
建設現場では多数の工事車両が日々入退場するため、特定の時間に入退場が偏らないよう配慮が求められます。車両通行経路が限られる夢洲エリアでの建設工事では、会場に出入りする1日当たりの車両数は千台を超え、現場間の調整は困難を極めます。
そこで大林組は、自社開発の工事車両管理支援システム「FUTRAL(フュートラル)」を導入しました。このシステムを活用することで、複数の建設現場の車両入退場予定、AIカメラが自動認識した入場時間や走行ルートの実績などをダッシュボードで一元的に確認することができます。



世界最高水準の顔認証でセキュリティの高度化と効率的な入退場管理を両立
大阪・関西万博の建設現場では、さまざまな協力会社の作業員や工事関係者が複数工区にまたがって作業を行っています。その人数はピーク時で1日5,000人に上るため、セキュリティの高度化と同時に効率的な入退場が求められました。大林組は統括施工管理者として世界最高水準の顔認証システムを導入し、他社工区も含めて迅速、確実な当人認証を実現しました。


大阪・関西万博の建設現場にある3つの入退場ゲートのうち、どのゲートからでも入退場が可能です。
認証結果は即時集計・反映されるため、現場内の作業人数の把握に役立ちます。
ビジュアルプロジェクト管理システム「プロミエ®」でいつでもどこでも工程・進捗を把握
従来、鉄骨など部材の出荷・搬入の際は出荷伝票と図面を突き合わせて管理し、部材の取り付けや組み立ての完了時には図面内の該当箇所に書き込んで進捗状況の把握や共有を行っていました。これらの作業は非常に手間がかかるため、出荷の遅れや記載ミス、情報の伝達漏れの原因になっていました。
そこで、BIMモデルが持つ情報を施工段階で活用するためのブラウザツールとして、「プロミエ」を開発しました。「プロミエ」は、クラウドサービスとBIMモデルを連携させた、専用の3Dソフトも不要なツールです。これにより、BIMモデルとその付随情報を関係者間でリアルタイムに情報を共有することが可能となりました。
大阪・関西万博では、「大屋根リング」と「ウーマンズ パビリオンin collaboration with Cartier」の建設現場でプロミエを活用しました。



ゲームのように容易で快適な操作性!建設現場のデジタルツインを構築できるアプリ「CONNECTIA®」
デジタルツイン(※1)アプリ「CONNECTIA(コネクティア)」は、BIM/CIMや3Dモデルをベースとして、2Dに代わる施工シミュレーションや建設現場の関係者間の協議に活用できるデータコラボレーションツールです。高性能なPCでなくても3Dモデルをスムーズに描写でき、特別なスキルがなくても2時間以下で操作を習得して利用を始められます。将来のロボティクスコンストラクションを具現化することを目指し、複数の現場の声を反映してさまざまな機能追加を続けています。


※1 デジタルツイン
現実空間の情報を取得し、サイバー空間内に現実空間と全く同じ環境を再現する技術
複合現実で作業効率化!MR施工管理アプリ「holonica®」
タブレット端末を使用した施工管理では、現実の建設現場が設計と一致することを確認し、さまざまな情報をBIMデータの該当箇所に記録してデジタル空間と現実空間を相違なく連動させることが重要です。しかし情報が多い大規模な建設物では、BIMデータの該当箇所を参照しづらく、情報アクセスの迅速化が課題となっていました。「holonica(ホロニカ)」は、BIMデータが持つ3Dの形状や仕様などの属性情報をMR(Mixed Reality:複合現実)技術により現地に重ね合わせて表示し、視覚的に設計を理解しやすくするとともに、デジタル空間内の該当箇所への施工管理情報の記録を容易にします。

「建設工事向けAI気象予測サービス」を実証実験中
大林組と大阪ガスは、AIを活用した気象予測サービスの開発に共同で取り組んでいます。2022年5月から、気象が建設工事に与える影響や建設現場での気象予測ニーズに関する調査を開始し、夢洲エリアの気象傾向をAIに学習させることで、予測精度を高められる可能性があることなどを確認しました。夢洲エリアの建設現場で本サービスの実証実験を段階的に進め、実測の現地観測データとの比較や利用者へのヒアリングを通じ、サービスの有用性の評価を行っています。

スマートシティの実現に向けて
これらDXに関する取り組みは、個々のシステムとして他の建設現場へ展開していくのはもちろん、建設現場以外への用途拡大や機能改善も検討を進めています。
また、大規模現場である大阪・関西万博の工事現場で蓄積した膨大なデータを複合的に活用することで、建設の先にあるスマートシティの運営まで一貫して活かせるよう、取り組んでまいります。
2025年
大阪・関⻄万博について
About Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan
2025年4月13日(日)から
10月13日(月)までの
184日間、大阪・夢洲で開催されます。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。
2005年に開催された愛・地球博に続き、
20年ぶりに日本で開催される国際博覧会です。