施工場所にBIMデータを重ね合わせるMR施工管理アプリ「holonica™」を開発

仕上げ検査に適用し、円滑な情報共有と業務を効率化します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、MR(Mixed Reality:複合現実)技術を利用して、目に見える実際の施工場所にBIMデータを重ね合わせて表示することで、設計情報確認、検査記録作成といった施工管理業務を効率化するアプリケーションholonica(ホロニカ)を開発し、仕上げ検査業務における効果を確認しました。

選択した部材の属性情報表示

大林組は、施工現場の工事管理者全員がタブレット端末を携帯し、図面の確認から検査記録の作成まであらゆる施工管理業務において、紙を介さないBIMデータを中心とした一元的な情報管理を実現するデジタルトランスフォーメーションを推し進めています。タブレット端末を使用した施工管理では、BIMデータを参照して現実の建設現場が設計と一致していることを確認し、進捗状況や検査記録などの施工管理情報を現実空間と対応するBIMデータの該当箇所に記録させ、デジタル空間と現実空間を相違なく連動させることが重要となります。しかし、大規模な建設物においては、情報量が多くBIMデータの該当箇所をすぐに参照することが困難であるため、情報アクセスの迅速化が課題となっていました。

今回大林組が開発したholonicaは、BIMデータが持つ3次元の形状や仕様などの属性情報をMR技術により現地に重ね合わせて表示し、視覚的に設計を理解することを支援するとともに、デジタル空間内の該当箇所への施工管理情報の記録を容易にするアプリです。株式会社ホロラボ(本社:東京都品川区、代表取締役CEO:中村薫)が提供するクラウドプラットフォームmixpace®(※1)をベースにしており、メガネ型ウェアラブル端末やタブレット端末などさまざまなデバイスから一つのBIMデータにアクセスできるため、利用シーンに適した機器を選択できます。

階や部屋ごとに細かな設計の違いがあり情報の参照や記録が煩雑な内装仕上げ検査業務において、holonicaを適用して効果を検証しました。情報の伝達漏れを防ぎ、精度の高い施工管理を維持できること、従来の紙図面を使った仕上げ検査と比較して約30%の時間を短縮できることが確認できました。

holonicaの特長は以下のとおりです。

位置情報を利用し広範囲かつ高精度なBIMデータの重ね合わせが可能

位置情報を利用し、BIMデータが持つ3次元の形状や属性情報を現地で任意の透過率で重ね合わせて表示できるため、膨大な設計図書から必要な情報を探す必要がなく、設計と実物の違いをすぐに発見できます。位置情報は、現地の床などへ約15mおきに配置したマーカーの認識と、カメラ映像の変化などから位置姿勢や周辺環境を推定する自己位置認識技術(※2)とを組み合わせており、従来のMRシステムよりも広範囲で高精度な計測を実現しました。

位置情報を認識するため現地の床へマーカーを配置

検査記録を関係者で共有して精度の高い施工管理と業務の効率化を両立

検査記録は、BIMデータ上に印を付けて検査記録用のサーバーに記録することで共有できます。作成された検査記録は3次元の位置情報を持っているため、同じBIMデータを共有することで現地のどこに問題があるかを一目で確認できます。また、検査記録には、記録者の視点位置情報、BIMデータ内の対象部材などの情報も一緒に保存されているため、効率的かつ確実に是正、確認を進めることができます。

検査記録の作成・参照

MRを手軽に利用可能

BIMデータのMR化に必要な変換、管理、表示機能を提供するmixpace®との連携により、BIMデータを端末上でWebアプリへドラッグ&ドロップするだけでMRを利用することが可能です。3次元形状だけでなく、部材単位での寸法や部材符号・仕上げ方法などを含むすべての属性情報をholonica上へ表示できます。

holonicaは、今後施工計画時の合意形成や躯体工事の出来形(できがた)の確認、竣工後の維持管理業務など、多くの場面で活用が期待できます。大林組は、holonicaを幅広く展開することでBIMデータを活用した現場情報管理の一元化を実現し、さらなる生産性向上と高度な施工管理をめざしていきます。

  • ※1 mixpace®
    株式会社ホロラボが開発した、3DモデリングソフトウェアやBIMソフトウェアで作成した設計データを自動でMR向けデータに変換する製造業・建設業向け可視化ソリューション
  • ※2 自己位置認識技術
    カメラで撮影された映像や、加速度センサーなどの各種センシング情報を併用し、自己位置を推定する技術。本技術はGNSS(Global Navigation Satellite System)信号の届かない状況でのロボットの自律走行などにも応用されている

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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