情報化の推進

現場の情報化推進

インターネットの急速な普及とともに、パーソナルコンピュータはコミュニケーションや情報収集に不可欠のツールとなり、企業は抜本的な業務改革に向け、その利用を加速した。当社も事務処理システム合理化(1995(平成7)年4月)や経理システム再構築(1999年4月)のプロジェクト・チームを設置し、新システムの開発と活用を進めた。

業務のスピードアップや管理部門の合理化には、現場の情報化は不可欠であり、建設現場のネットワーク接続を推進した。1995年にはインターネットの利用を開始し、1997年10月には、現場から電話回線を利用して社内システムを利用できる環境が整った。この結果、1996年7月に運用を開始していた建築工事記録システム(現 建築工事概要システム)の現場利用が可能となった。さらに、1997年11月には複数部門が関わる現場事務(下請負契約・支払など)を分散入力・集中処理するJimnet(ジムネット)下請負契約支払システムを稼働させた。1999年4月には現場から常設部門への提出文書も電子化し、事務処理の簡素化によって決済までのスピードアップに寄与した。並行して第5次原価管理システムの開発を進め、東京本社管内の現場から導入・活用を開始し、きめ細かい原価管理と現場の採算意識向上に貢献した。2001年には常設部門‐現場間のネットワークをインターネットを利用したVPN(Virtual Private Network)接続へ移行し、通信コストも大幅に削減した。

こうして事業の根幹をなす建設現場の情報化が進み、情報インフラの基礎が整った。

技術・設計・生産部門のシステム展開

情報化は、各部門でも積極的に進められ、技術部門では、技術情報データベースの開発に着手、1997(平成9)年5月には技術資料などの冊子(「工法と技術」「災害事例集」など)による配付を見直し、資料の電子化と情報システムによる展開を図った。1996年4月に試行を開始した電子購買システムの全店展開を進め、資材などの発注業務をスピードアップするとともに、集中購買によるコストダウンを実現していった。また1999年にはWindows版AutoCADに完全移行して、図面のCAD化を促進し、設計・生産業務の生産性が大いに高まった。システム運用自体についても効率を重視し、1998年4月、運用業務の一部をアウトソーシングした。

2000年問題への取り組み

「2000年問題」は、2000(平成12)年1月1日を機に日付処理が正しく行われずシステムが誤作動し、社会経済活動に大きな混乱を起こしかねないという社会問題であった。鉄道会社が2000年1月1日午前零時を跨いで運行する列車をなくす対応をとるなど社会全体がその対策に奔走した。

当社でも、1999年3月に西暦2000年問題対策委員会を設置し、社内情報システムの対応状況の把握と対策を行った。1999年の大晦日から新年にかけては、各店で非常時待機態勢を敷き、問題発生に備えたが、幸い大きなトラブルは発生せず、2000年問題は収束した。