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水素

水素いま注目を集める次世代エネルギー

つくる、
とどける
水素
これまで私たちは石油や石炭などの化石燃料を燃焼させて得られるエネルギーを利用してきました。この方法は温室効果ガスの一つであるCO2を大量に排出するため、地球温暖化などの問題を引き起こしているといわれています。
一方、水素は、燃焼してもH2Oすなわち「水」しか発生させません。
大林組は、この水素こそ未来社会にとって重要なエネルギーと考えています。知見の蓄積がある再生可能エネルギーを利用して水素を製造するとともに、その利活用やサプライチェーンの構築に向けたさまざまな実証事業を国内外で展開しています。

水素とは

水素は、その名の通り「水の素」です。

石油や石炭に多く含まれる炭素は、燃焼すると酸素を結びつき、温室効果ガスの一つであるCO2を発生させますが、水素は燃焼すると、酸素と結びつき、水を発生させます。

つまり、水素を活用することは、利用時に温室効果ガスを発生させないという大きなメリットがあります。

水素による発電や、車両・一般重機・船舶など、さまざまな用途での活用が具体化してきており、未来社会のエネルギーとして注目を集めています。

また、水素の活用が進むことで、エネルギーの自給自足も期待されます。

大林組の水素事業

大林組は、1990年代から水素関連施設の安全性検証などを皮切りに、施設の設計や施工を担うなかで水素関連技術のノウハウ、経験を蓄積してきました。
これからは、再生可能エネルギーでの知見も活かし、国内外で「自ら」が水素を製造する側に立ち、利用されるまでを想定したサプライチェーンの構築をめざして実証事業に取り組んでいきます。
再生可能エネルギーでグリーン水素をつくり、そして使うまでの各プロセスにおいて、効率的で経済性の高い運用を探求することで利用促進を図り、カーボンニュートラルの実現につなげたいと考えています。

国内の取り組み

国内初、地熱でグリーン水素を製造、供給へ
[大分県玖珠郡九重町]

地熱発電電力を活用したグリーン水素製造実証プラント-大分県玖珠郡九重町

再生可能エネルギーの一つである地熱は、国内で安定供給が可能なエネルギーとして期待されており、日本のグリーン成長戦略においても重要なエネルギー源として位置付けられています。

しかし、発電施設が山間部に位置することが多く、発電できたとしても送電網に接続する「系統連系」が物理的に困難なケースもあります。

こうした背景から、大林組は、大分県玖珠郡九重町において、地熱由来の電気を系統連系ではなく水素製造のためのエネルギーとして利用する、つまり電気を「運べるエネルギー」としての「水素」に変換して有効利用を実現する社会実装研究に取り組んでいます。

地熱発電電力を用いて水素を製造する仕組み

2021年7月、地元の大分地熱開発株式会社の協力のもと、地熱発電施設に水素製造プラントを併設し、地熱発電電力(125KW)を用いてグリーン水素の製造(10Nm³/h)を開始しました。

地元の脱炭素化ニーズに応える

製造したグリーン水素は、主に地元企業の脱炭素実証事業に利用され始めています。

2021年7月18日、水素製造プラントの開所式とともに、ヤンマーパワーテクノロジー株式会社が開発する燃料電池搭載型船舶の燃料として最初の出荷を行いました。

さらに、2021年7月31日、8月1日の2日にわたって大分県日田市のオートポリスで開催された自動車レース「スーパー耐久シリーズ第4戦」で、トヨタ自動車株式会社の「水素エンジン搭載カローラ」向け燃料の一部として、大林組製造の水素が採用されました。

業界の枠を超えたこの取り組みで、新たな水素社会への第一歩を踏み出しました。

「スーパー耐久シリーズ第4戦」の様子
「スーパー耐久シリーズ第4戦」記者会見の様子

左から、GAZOO Racing Company 佐藤恒治プレジデント、トヨタ自動車豊田社長、大林組社長 蓮輪、トヨタ九州永田社長

関連情報:地熱発電およびグリーン水素製造の実証プラントが完成、地産地消に向けて出荷を開始(2021年7月18日付)

エネルギーマネジメントシステムの構築

グリーン水素の利用促進においては、需要先の利用状況や需要予測に基づいたプラントの運転調整、効率的な搬送計画を一元的に管理できるシステムが欠かせません。

大林組は、このエネルギーマネジメントシステム(EMS)の構築にも力を入れており、地元の脱炭素化のニーズに対する最適なソリューションを提供します。

水素搬送システムの構築でゼロカーボンシティ実現へ
[福島県浪江町]

福島県浪江町では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として、2020年4月から世界最大級の太陽光エネルギーによる水素製造プラント(FH2R)が実証稼働しています。開所に先立ち、浪江町はゼロカーボンシティ構想を宣言。浪江町産水素を活用した「水素社会実現の先駆けとなるまちづくり」を推進しています。

その一環として、大林組は、FH2R他で製造された水素をボンベで配送する方法により、低コストに供給する再エネ水素サプライチェーン構築実証事業(環境省委託事業)に取り組んでいます。

具体的には、水素消費拠点の使用状況を遠隔監視しながら、水素製造プラントの稼働状況も加味した最適な搬送計画を立て、GPSでトラックの位置情報を把握して搬送指示を出すといった複雑な搬送管理をAIで最適化するエネルギーマネジメントシステム(EMS)を構築しています。ここには、大分県玖珠郡九重町の取り組みで培った知見やノウハウも投入します。

搬送システムのイメージ
福島県浪江町

水素CGSで熱と電気をとどけるスマートコミュニティ構想
[神戸ポートアイランド]

神戸水素CGSの概要としくみ

川崎重工業提供

CGS(コージェネレーションシステム)とは、発電装置で電気をつくると同時に、その際に発生する熱も回収して施設に同時供給するシステムです。

発電燃料には、一般的に天然ガス、石油、LPガス、バイオマスなどが使われることが多いのですが、水素CGSはその名のとおり、水素を使用します。発電装置にはガスタービンを用いており、水素の燃焼時に発生する高温高圧のガスでタービンを回して発電するとともに、排熱も回収して給湯や暖房などに利用します。

神戸ポートアイランドでの取り組み

大林組は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの助成を受け、川崎重工業株式会社と共同で、神戸ポートアイランドにおける水素CGS活用スマートコミュニティ技術開発事業に取り組んでいます。関西電力株式会社や神戸市の協力も得ながら進める実証事業になります。

神戸水素CGSの地図

大林組は、この実証事業で、燃料である水素と生み出される電気や熱をコントロールする統合型エネルギーマネジメントシステム(EMS)の開発を担っています。

複数の建物に熱電を同時に供給するためには、使用する「水素」、つくり出した「電気」と「熱」、供給先の利用状況の把握と需要予測などを統合管理し、経済性や環境性の観点から最適に制御できる仕組みが必要となります。

2018年、この統合型EMSを用いて、世界で初めて、市街地において水素燃料のみによる熱電を近隣の4施設(神戸国際展示場、ポートアイランドスポーツセンター、下水処理場、中央市民病院)に同時供給することに成功しました。

大林組は、今後も、知見とノウハウと蓄積し、高度な統合型EMSの確立によって水素社会の実現に貢献します。

神戸水素CGSのエネルギー供給の概要

関連情報:世界初、市街地で水素100%による熱電供給を達成(2018年4月20日付)

海外での取り組み

グリーン水素サプライチェーン構築の未来構想
[ニュージーランド タウポ]

タウポの水素製造施設

ニュージーランドは、地熱発電容量が1GWを超える世界有数の地熱発電大国です。その北島北部の最大商都オークランドと北島最南端の首都ウェリントンの中間に位置するタウポに地熱発電を活用した水素製造・供給実証施設(名称:ハルシオン)を建設し、2021年3月、グリーン水素の製造を開始しました。

関連情報:Tuaropaki Trustと共同研究契約を締結し、水素製造プラント建設に着手しました(2018年12月27日付)

同国初のメガワット級水素製造プラントを使って、年間100t(燃料電池自動車の燃料換算で1000台分に相当)を製造し、貯蔵、搬送、利用に至るサプライチェーン全体の構築と事業性を検証しています。なお、この取り組みは、現地のTuaropaki Trust(トゥアロパキ トラスト)社との共同事業となります。

水素充填のテスト

トヨタニュージーランドの協力のもと、水素充てんのテストを実施

アーダーン首相来訪(2020/09/10)

アーダーン首相が来所(2020年9月)

海外輸出ビジネスへの展開

実証事業で製造したグリーン水素は、公共交通機関や物流施設などの車両用燃料、化学薬品工場の原材料といった産業用途での活用のほか、水素ステーションにも供給する予定で、汎用性の高い供給網の確立をめざします。

海外輸出ビジネスへの展開
ニュージーランドから日本への海上輸送実証

そして、将来的にはニュージーランド国内から日本を含む海外への輸出を視野に事業を展開します。

グリーン水素を水素キャリアプラントに運び、液化水素(LH2)、アンモニア(NH3)などに変換、高密度化して海上輸送する構想で、2025年頃の開始をめざします。

オークランド港湾会社との合弁会社による水素ステーション事業
[ニュージーランド オークランド]

オークランド港湾会社と合弁会社による水素ステーション事業[ニュージーランド オークランド]

ニュージーランド最大の商都オークランドの複数港湾とその関連施設を管理するオークランド港湾会社「Ports of Auckland Limited.」(以下、POAL)は、2040年までにゼロエミッション化することを表明しています。POALは、その一環として、市内繁華街近隣の所有地に水素ステーションおよびグリーン水素製造施設を整備し、保有する港湾車両を水素燃料車両に切り替えていくプロジェクトを立ち上げ、大林組はその事業パートナーに選定されました。

今後、大林組とPOALは合弁会社を設立し、本事業を進めていくことで、港湾セクターと周辺のサプライチェーンにおける持続可能性の先導モデルとなることをめざします。また、同国における水素の需要の拡大に合わせて、製造、供給能力の拡充も視野に取り組んでいきます。

関連情報:オークランド港湾会社が実施する水素ステーション事業の事業パートナーに選定(2021年6月21日付)

事業紹介

大林組のグリーンエネルギー事業と実証中の
取り組みを紹介します