大林組 川俣ダム画像

川俣ダム補強工事

DAM REINFORCEMENT WORK

川俣ダムの岩盤PSアンカー

栃木県の鬼怒川上流にある川俣ダムは、河川の氾濫を防ぐ洪水調節や農業用水の供給、発電などを目的として、1966年に建設された堤高117mのアーチ式コンクリートダムです。アーチ式コンクリートダムは、ダムが貯留池から受ける水圧を下流側左右のアーチ支持岩盤で支える必要があります。川俣ダムではアーチ支持岩盤を補強するため当時の最先端技術である岩盤PSアンカー(当時の岩盤PS工)が採用されました。

今回の補強工事では、ダムの機能を維持しながら、建設当時に施工した既設岩盤PSアンカーの間に最大長さ75m、最大引張力2,400KNと国内でも最大級の岩盤PSアンカーを新たに施工します。

川俣ダム施工風景

川俣ダム建設当時は、左岸アーチ支持岩盤内の脆弱(ぜいじゃく)な部分にアーチ支持壁(トランスミッティングウォール:TW)を構築し、TW内に設けられた通路から山側(深部方向)と川側(地表面方向)に岩盤PSアンカーを施工しました。TWはアーチ式コンクリートダムのアバットメント(※1)付近に作用する応力を支持するためのコンクリート壁です。
※1 アバットメント
ダム堤体が取り付けられる谷の斜面部分

1966年当時のTWとアンカー施工の様子

今回のリニューアル工事では、TWがコンクリートで埋められていること、ダム本体を供用していることから、建設当時と同様の方法では施工できませんでした。そのため今回は、左岸側の一部の岩盤PSアンカーがTWを貫通する時、2回に分けて緊張させることで、建設当時と同じように岩盤にプレストレスを作用させることができる「二段緊張」という技術が採用されました。

今回の二段緊張による補修工事の様子

今回川俣ダムで採用した二段緊張の中間部には、経済性に優れた布製パッカー(※2)を使用しています。布製パッカーは、今回の補強工事のためにダム技術センターと大林組が共同開発しました。また、長大な岩盤PSアンカーを施工するため、急峻な絶壁へ張り付くように設置した、高さ90mの構台(作業足場)も川俣ダム補強工事独自の技術です。
※2 パッカー
グラウトを確実に定着部へ注入するための部材

川俣ダム岩盤PS委員会による視察状況

岩盤PS委員視察風景
官民の学識者によって構成される岩盤PS委員会の指導を受けながら、確実に高品質な岩盤PSアンカーを施工しています。

主要スタッフ

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大林組 土木本部 生産技術本部 設計第四部 担当部長 山下 徹

大林組 土木本部 生産技術本部
設計第四部 担当部長

山下 徹

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大自然の中で異彩を放つ巨大な構台(作業足場)。これこそが現場の材料運搬を支えている25tクレーン作業用構台です。通常は「剛」なH型鋼の支柱で支えますが、パイプ式足場材の「柔」な構造特性を活かして、重量物に耐えられることを解析と現場計測で確認しています。実際、クレーン足元の桁はなだらかにたわみます。しかし、これはクレーン荷重が広範囲に分散している証。単独では非力な足場材ですが複数の足場材が一丸となって重量物を支え合っているのです。

#川俣ダム

見学/SNS

川俣ダム 総合案内ページ(国土交通省)

川俣ダム 総合案内ページ(国土交通省)

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