大林組ダム情報化施工技術「ODICT®

Obayashi-Dam Innovative Construction Technology

 

現場担当者からのメッセージ「新丸山ダム編」

栗木 智成
栗木 智成

新丸山ダムJV工事事務所 土木係

栗木 智成

新時代のダム工事に踏み出す

大林組に入社して高速道路の床版取り替えに1年半ほど携わった後、新丸山ダムの現場に着任。現在は堤体工に関する材料の手配や計画を担当しています。コンクリート打設計画では「いつ、どこに、どのくらいのコンクリートを打つか」を算定するのですが、ドローンを使って複雑な岩盤の形状をチェックするなど、これまでにはない手法も取り入れています。
また、工事の自動化・自律化に取り組んでいる点もこの現場の特色です。先日行った3回目の堤体コンクリート打設では、人間が操作することなく、ケーブルクレーンを自動運転してコンクリートを打設しました。一度に6m3のコンクリートを運ぶため安全面で細心の注意を要するものでしたが、無事、施工することができました。
新丸山ダムの建設は既設の丸山ダムを供用しながら工事を進めるため、堤体の中央部分ではなく左岸から築いていくなど、通常のダム建設とは手順が異なる部分もあり、作業に関わる人たちとのコミュニケーションが特に重要です。計画を立案する業務のため、事務所にいる時間が長くなりますが、自分自身の目で進捗状況を確認する目的も含めて、毎日、午前、午後と現場に出向いて現場で働く人たちの顔を見ながらやりとりをするよう心がけています。
ダム建設はさまざまな工種を組み合わせて進めるため、一つの現場でいろいろな経験ができるのが良いところ。私自身もこの新丸山ダムで転流工、下流仮締切工、原石山を経て、ダム建設のハイライトともいえる堤体工の担当となり、毎日ワクワクしながら作業にあたっています。自分のキャリア形成に大きな影響をもたらす現場になることは間違いありません。

栗木 智成

新丸山ダムJV工事事務所 土木係

栗木 智成

栗山 右伍
栗山 右伍

新丸山ダムJV工事事務所 土木係

栗山 右伍

厳しい条件だからこそ、得られる知見も多大

入社して5年目、新丸山ダムは4つ目の現場です。のり面工の担当として堤体右岸の掘削と掘削後ののり面保護に携わっています。具体的には施工計画や作業間調整、施工前の測量などを行っています。堤体右岸は30cm谷(川)側に進むと1mの高低差がある三分勾配と呼ばれる急峻(きゅうしゅん)な地形。作業場所として使えるスペースが狭いため、建設機械をどのタイミングでどこに配置するかなどを慎重に考えなくてはなりません。
また、のり面保護完了後の測量を行うのですが、危険な場所に作業者が立ち入らなくて済むようドローンで取得したデータでデジタルツインを構築し、PC上で測量をする最先端の「ICT施工」を取り入れて、安全性の確保と作業の効率化を図っています。さらに、近接する関西電力の電力設備や既設の丸山ダムへ影響を及ぼさないような配慮も欠かせません。
大林組へは「大きなものをつくりたい」という思いで入社しました。国内最大級のダムのかさ上げ工事であるこの現場は、工事に関わる人数、重機の大きさや数、投じられている費用など、あらゆるものが大規模。トンネルや堤体工など、自分の担当以外のさまざまな工事も目の当たりにでき、大きな糧となっています。
また、この現場では20代後半から30代前半の若手に任せてもらえる部分が多く、自分たちの世代が中心となって工事を進めている実感があり、やりがいもひとしお。私の出身地でもある岐阜県の人たちの生活を支える大規模インフラが完成した暁には、大きな達成感が得られると思っています。

栗山 右伍

新丸山ダムJV工事事務所 土木係

栗山 右伍

佐藤 友哉
佐藤 友哉

新丸山ダムJV工事事務所 土木係

佐藤 友哉

ダム工事の大本を担う緊張感と責任感

大学を卒業して大林組に入社。これまでの4年間は、高速道路のトンネル工事や橋梁の下部工、水路トンネルの建設などに従事し、半年ほど前に新丸山ダムに配属されました。主に堤体コンクリートの骨材を採取する原石山を担当しています。
現在は地山の表面を覆っている土を除去し、発破による岩石の掘削を行っています。掘削した岩石は、強度や風化状態などの基準を満たすもの以外、コンクリート骨材として使用できません。コンクリートの品質を確保するため、地質コンサルタントの協力を得ながら岩石の判定、確認を行っています。
また、掘削後ののり面を保護するためにのり枠工も施工しています。掘削作業と干渉しないよう、こまめに調整を図りながら施工管理をしています。
何もかもが大規模な新丸山ダム建設工事では、重機のサイズも別格です。バケット容量1.2m3のバックホーやタイヤの直径が人間の背丈ほどもある25tの重ダンプなどを自分が主導して動かしているときには大きな仕事をしている実感がありますね。
原石山はダム建設の大本となるコンクリート打設に必要な骨材を生み出すところ。自分たちの仕事が止まると工事全体に影響を及ぼすことになるので、常に緊張感を持ちながら日々の作業にあたっています。
さらにこの現場は若手が多く関わっているのが特色です。その中でも入社5年目の私たちがリーダー的な立場となり、工種の垣根を超えて緊密にコミュニケーションを取り、多くの人が働く中でもスピーディーに意思決定ができるよう心がけています。

佐藤 友哉

新丸山ダムJV工事事務所 土木係

佐藤 友哉

渡邊 大輝
渡邊 大輝

新丸山ダムJV工事事務所 土木係

渡邊 大輝

さらなる安全意識が求められる現場

大林組入社後、東北や中部地方の橋梁工事に携わったのち、キャリア4年目の昨年から新丸山ダムの現場で転流工を担当。現在は吐口部の掘削とそのための測量、その後の構築計画などに携わっています。
新丸山ダムの建設は、通常のダム工事と異なり、既設の丸山ダムを供用しながら進めなくてはならないという制約があります。私が担当しているエリアは河川内であるため、大雨によるダムの放流があるときは退避しなくてはなりません。そのため、常に気象情報を確認し、丸山ダムからのゲート放流を予測して、早めに行動しています。「退避したものの、放流されなかった」というケースもありますが、どれだけ安全に気を使っても使いすぎることはないので、引き続き常に気を配りながら仕事にあたっていきます。
新丸山ダムはこれまで関わってきた構造物の中でも桁違いの大きさです。工事に関わる人が多い中で意識しているのは、人と話すときに自分がどうしたいのか、意見を明確に伝えること。無事故、無災害で完成まで導き、この先何百年と地域の皆様の暮らしを支えていく大規模な構造物が完成した際には、「自分が携わった」と胸を張って言えるよう、毎日の仕事に取り組んでいます。

渡邊 大輝

新丸山ダムJV工事事務所 土木係

渡邊 大輝

長坂 司
長坂 司

新丸山ダムJV工事事務所 機電係

長坂 司

土木現場で築く、機電職としてのキャリア

私は新卒2年目の機電職員です。大林組の新卒採用のキャッチコピーだった「世界に一つしかないものをつくろう」という言葉を見て、大きな構造物の施工に携わりたいと思い、入社を決めました。
新丸山ダムの機電係は4人体制です。現場内の電気配線、給排水配管の施工、受電設備の整備、機械の故障にも対処しています。現場では予想外のトラブルが起きることも多々あります。「狭い場所でクレーンをどのように組み立てるのか」といった課題を、皆で話し合いながら乗り越えています。
機械や電気について寄せられる相談には全力で応えたいと思っています。アドバイスをしてくれる機電係の先輩が身近にいるのは、とてもありがたいですね。休日は、釣りを楽しむなどリフレッシュをしています。
ダム現場では、トンネル工事やコンクリートの打設、濁水処理など、さまざまな工事が行われます。この現場で学んだことを活かして、ダムに限らず土木工事のあらゆる場面で活躍できる機電係をめざしたいと思います。

長坂 司

新丸山ダムJV工事事務所 機電係

長坂 司

峰 克利
峰 克利

山崎建設株式会社
作業所長

峰 克利

的確な状況把握で着実に

現場では、近隣の皆様への配慮が必要不可欠です。たとえば、石を割る機械を使う際には、機械の先端を気泡で覆うバブルサイレンサー®︎ を使用して騒音を抑えています。堤体の基礎掘削では、1日あたり約40台のダンプカーを使います。一般道も通るため、運行管理システム で各車の位置や速度をリアルタイムで把握し、安全な走行を徹底しています。
新丸山ダムでは工程の都合で、法面(のりめん)を上から順に掘削するのではなく、下部や中部から上に向かって掘削する箇所があります。このとき、上部の掘削をする際の足場を残しておかなければ重機の載る場所がなくなり、事故にもつながります。そこで、ICTシステムでシミュレーションをしながら、足場の幅が残るように作業しています。
通常のダム新設工事では川を転流させるため、掘削した土を下に落とすことができます。しかし、今回の施工では既設の丸山ダムが稼働しているため、川も流れており、下に土を落とすことができないという難しさもあります。重機土木の専門企業として、一つひとつの課題を乗り越えていきます。

峰 作業所長

山崎建設株式会社
作業所長

峰 克利

石川 所長
石川 所長

株式会社宮本組
名古屋支店 土木部 所長

石川 貴之

最新技術で効率的かつ安全な施工を

私たちの業務の一つに、現場内の原石山からコンクリート用の骨材を採取する作業があります。現場全体の工程をスムーズに進めるためには、重機やダンプトラックが事故なく作業できる環境を整え、骨材を滞りなく運搬することが重要です。私は所長として、段取りよく作業が進むよう事前に計画を進め、コミュニケーションを取りやすい現場づくりを心がけています。また、降雨の影響により品質が低下しないよう、掘削方法を工夫し、降雨対策を行い骨材の品質向上に努めていきます。
原石山の工事では今後、自分が操縦する重機の位置をモニターで把握できる「マシンガイダンス、マシンコントロール」を活用し、作業をより効率化する予定です。重機内で直接管理できる項目が増えることから、省人化や人と重機の分離による事故防止につながります。新丸山ダムの施工は長期にわたりますから、この先も新しいシステムが生まれるでしょう。今後も可能な限り最新技術に挑戦し、安全で効率のよい工事をめざします。

石川 所長

株式会社宮本組
名古屋支店 土木部 所長

石川 貴之

佐藤 所長
佐藤 所長

吉田直土木株式会社
新丸山工事事務所 所長

佐藤 郁夫

トンネル工事のプロフェッショナルとして

私は、ダムの水路となるトンネル工事の進捗管理を担っています。1日あたりの施工時間は8時間です。工期に間に合うよう、予定がずれ込む可能性も加味しながら、実現可能な施工計画を立てています。また、事故がない現場づくりも重要です。ダムのトンネルは水路として使われるため、道路トンネルに比べて断面積が小さいという特徴があります。狭い場所を重機が行き来するので、人と重機が接近したら強制的に重機を停止させる装置などを活用し、事故を防止しています。
ダム現場のすぐ近くには川があります。施工で出た汚水が川に流れることがないよう、必ず濁水処理を行います。また、大雨でダムから大量に放流した場合、トンネルの施工部分が水没するリスクもあります。私はトンネル建設現場で働き始めて38年経ちますが、過去の現場で洪水被害を経験しました。万が一の際は、命を最優先に避難しなければなりません。けがなく、災害なく、予定通りに終えられるよう、トンネル完成に向けて引き続き作業を進めていきます。

佐藤 所長

吉田直土木株式会社
新丸山工事事務所 所長

佐藤 郁夫