大林組ダム情報化施工技術「ODICT®

Obayashi-Dam Innovative Construction Technology

 

現場担当者からのメッセージ「川俣ダム編」

宮本主任
宮本主任

川俣ダム工事事務所 主任

宮本 圭

先端技術を駆使したリニューアル工事

岩盤PSアンカーの採用など、1966年の建設当時に最先端の技術で造られたこのダムは、50年を経過して、既設アンカーの健全性を調査した結果、今回新たに更新アンカーを施工することとなりました。

私は今回の補強工事で主にアンカー工の品質管理と安全管理を担当しています。岩盤にアンカーを打ち込み、内部をセメントミルクで固める岩盤PSアンカーはやり直しがきかないため、アンカーの組み立てから挿入までの安全、鋼線を束ねているテンドンの品質、削孔(さっこう)時の孔曲り管理、注入するセメントミルクの品質など、あらゆる点に慎重で厳密な管理を行っています。
川俣ダムの補強工事の難点の一つに、作業構台の問題がありました。急傾斜の岩盤を覆う構台は設置が非常に難しく、試行錯誤の末、岩盤に張り付くように設置しました。構台は狭く、高所作業となるため、安全面には常に気を配っています。

私はこれまで地下鉄駅の通路の施工に携わっており、ダムの現場は川俣ダムが初めてです。アーチダム特有の管理や施工に関わる計算など、一から学ぶことも多くありました。今回のリニューアル工事はアンカーの増設という一見シンプルに見えるものですが、国内最大のアンカー、岩盤の状況により複数箇所を補強する「二段緊張」工法、急勾配への足場設計など、特殊かつ最先端の技術が採用されています。ここで得た知識や技術を、今後のダム建設工事やリニューアル工事に活かせるように、これからも研さんを重ねたいと思います。

宮本主任

川俣ダム工事事務所 工事主任

宮本 圭

関 作業所長
関 作業所長

日特建設株式会社
事業部工事部 作業所長

関 真一

岩盤補強のプロフェッショナル

1981年日特建設の入社から、この道一筋でかれこれ40年近くになります。2019年には、建設マスター(優秀施工者国土交通大臣顕彰:建設産業に従事している現役の技能者の中で、卓越した技能・技術を有している「ものづくりの名人」に与えられる称号)を受賞させていただきました。喜びとともに、地域・社会のための公共工事を担う技術者としての責任をあらためて感じ、日々の仕事に向き合っています。

ダム建設工事としては、これまでに長野県の南相木ダムや山梨県の葛野川ダム、近年では群馬県の八ッ場ダムの現場にも携わりました。ダムに限らず、さまざまな土木構造物の現場を経験していますが、主に山間部の斜面など、地盤の補強が必要な場所でアンカー工の施工を担当してきました。アンカー工は、地盤の深部にアンカーとなる鋼材を打ち込み、構造物と緊張させることで安定化を図る技術です。
川俣ダムは、日本でも数少ない岩盤PSアンカーが用いられているダムです。今回の補強工事では、最大75m、直径216mmと国内でも最大級のアンカーを打ち込んでいます。アンカーは何本もの鋼線を束ねたものなので、打ち込む際にねじれが生じます。その修正ばかりは、機械では難しく人力で行います。だからこそ、私たち現場の技術者の腕の見せどころでもあります。

私は試験施工の段階から川俣ダムの補強工事に携わっていますが、現場でしか分からない問題点や改善点も多くありました。このリニューアル工事のために開発された技術もあり、今回培われたノウハウを今後の土木工事やリニューアル工事に役立てていければと思います。

関 作業所長

日特建設株式会社
事業部工事部 作業所長

関 真一