海外事業拡大への布石

国内建設投資は1997年以降の減少が続き、当社は、現地法人化あるいはM&Aなどによる海外事業拡大を推進した。

2003(平成15)年9月、大林組(上海)建設有限公司(当社全額出資)を設立した。中国ではWTO加盟に伴い、外資100%の現地法人設立が認められるようになったことと、同国内建設工事は現地法人に限定されたためであった。2004年9月には、フィリピン(マニラ)、カンボジア(プノンペン)、トルコ(イスタンブール)に現地事務所を設置、2006年7月には、ベトナム・ホーチミン市に大林ベトナム(Obayashi Vietnam Corporation)を設立した。同国には1992年にハノイ事務所を設け、日本の政府開発援助による土木工事や日系企業の工場建設などを手がけた実績があり、インフラ整備や日系企業からの受注増をめざした。2003年にはタイ大林において初のタイ出身の社長が誕生した。

米国では、損益責任の明確化、直轄事務所と現地法人の二重構造の解消のため、米国西部・東部の両現地事務所を廃止し、2002年7月、ロサンゼルスに持株会社の大林USAを設立(現在はサンフランシスコに移転)、既存の不動産事業会社のOCリアルエステートや、建築事業会社JEロバーツ大林(1978年合弁で設立、サンフランシスコ)、EWハウエル(1989年に当社子会社化、ニューヨーク)を同社傘下とした。続いて2005年11月にノースカロライナ州のJSクラーク、2007年7月にサンフランシスコのウェブコーを買収して大林USA傘下とした。