相次ぐ不祥事とコンプライアンス体制の再構築

一連の経営施策で業績回復は軌道に乗ったものの、2006(平成18)年から2007年にかけて、公共工事にかかる不祥事が連続して発生し、社会の信頼を大きく損ねることとなった。

2006年3月、防衛施設庁発注の岩国米軍基地関連工事における競売入札妨害罪(談合)で、元非常勤顧問が略式命令を受けた。当社も公正取引委員会から排除措置および課徴金納付命令を受け、中国地方さらには全国で国土交通省から建設業の営業停止処分を受けた。
当社は、2006年4月、公益通報者保護法施行を受けて、企業倫理通報制度を制定、5月には企業倫理委員会(事業活動適正化委員会を2003年1月に改称)に社外有識者および職員組合委員長を加え、さらにコンプライアンス室を新設して、法令違反の監視体制を強化した。同時に、コンプライアンス体制の全面的な見直しを行い、10月には法令違反防止策をまとめた「独占禁止法遵守プログラム」を策定した。

こうした取り組みを行っている中、2006年6月に愛知県瀬戸市発注の下水道工事、11月に和歌山県発注のトンネル工事および名古屋市発注の下水道工事、2007年2月に名古屋市交通局発注の地下鉄工事、6月に大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事で当社元顧問らが競争入札妨害罪、独占禁止法違反容疑などで起訴される事件が続いた。これら一連の事件により、当社は課徴金納付命令や国土交通省からの営業停止処分を相次いで受けたほか、全国の自治体等からの指名停止や報道機関による糾弾報道など、厳しい社会的制裁を受けることとなった。
2007年6月開催の株主総会において、大林会長・脇村社長をはじめ取締役11名中8名が退任、1名が降格し、経営体制を刷新して、白石社長のもとで信頼回復に努めることとした。また同総会では、株主提案を受けて、法令遵守に向けた会社の強い決意を社内外に宣言するため、談合行為を一切行わない旨を定款に定めた。

2008年6月、事件当時の取締役および元取締役14名に対して株主代表訴訟が提起され、2009年6月に和解が成立した。和解に基づき設置された「コンプライアンス検証・提言委員会」は、2010年3月、「提言書」を取りまとめた。当社は、ただちに、提言内容に沿って法令違反行為を発見した場合の行動プログラムや内部監査へのサンプリング調査導入の施策を追加するなど「独占禁止法遵守プログラム」を見直し、コンプライアンスのさらなる確立に向けて活動を強化した。

独占禁止法遵守プログラム
独占禁止法遵守プログラム