3 水平の力に対して踏ん張る
一枚の地中の巨大な壁は、ユニットに分割してつくります
タワーが水平方向の揺れの力に耐えるため、「地中連続壁杭」は、一体化した大きな一枚の壁でなくてはなりません。
幅約70mの巨大な壁を一枚の壁として一気につくることは、掘削した穴の崩壊やコンクリートの量など、物理的にも工程的にも現実的ではありません。そこで12枚のユニットに分割してつくります。
ユニットを波形鉄板「CWSジョイント」でつないで力を伝えます
分割されたユニットが一体となり、壁全体に力を伝達するには、ユニットのつなぎ目ががっちりと組まれる必要があります。そこで、各ユニットのつなぎ目には、波形の鉄板がまたがる「CWSジョイント」が使用されています。
CWSジョイントのつくり方
各ユニットは片側から一つずつ順番につくります。
「CWSジョイント工法」では、各ユニットをつなぐ波形鋼板はそれぞれのユニットに半分ずつ埋め込みます。
後から流し込むコンクリートで埋まる部分が、先に流し込むコンクリートで埋まらないように工夫しています。
「基礎杭」は、地中に隠れた土台です。建物の形状や建設地の地盤の条件などによって、さまざまな形状や工法があります。その中で、一番しっかりした基礎杭は「地中連続壁工法」を使ったもので、技術の内容が品質や工程を大きく左右します。
大林組では、1960年から「地中連続壁工法」の研究開発を始め、長期にわたって、自社による設計・施工体制や掘削機械にこだわり、独自の技術を積み重ねてきました。その結果、現在ではわが国で最多の施工実績を誇っています。
東京スカイツリーの「基礎」は、この「地中連続壁工法」の豊富なバリエーションの中から、最新技術の「ナックル・ウォール」と独自技術の「CWSジョイント」「SRC地中連続壁」を組み合わせてできています。この一つでも欠ければ、東京スカイツリーに最適な基礎は成り立ちません。
大林組が長年磨き続けてきた技術の結集が、見えない地中「+50m」から、世界一の高さを支えています。
協力:日本科学未来館