4. 未知の高さに吊り上げる

c) タワークレーンにも制振装置

東京スカイツリーの塔体には、揺れを抑えて塔体にかかる力を低減するために、「頂部制振装置」「心柱(しんばしら)」という2つの制振装置が設計されています。
一方、工事期間中のタワークレーンにも、塔体の最上部に設置しているときは「制振ダンパー」が取り付けられています。油の粘性を利用して、衝撃を和らげる装置です。

1 タワークレーンの最上段に「制振ダンパー」を設置

第1展望台の屋上に設置されている4基のタワークレーンのうち、鉄骨建て方用の2基は、自立できる高さを超えてからは「ステー」と呼ばれるつなぎ梁で塔体と緊結しています。ただ、地震などで塔体が揺れるとタワークレーンも大きく揺れてしまいます。その揺れを吸収するのが、タワークレーンの最上段に設置された「制振ダンパー」です。

2 制振ダンパーで安全性を向上

未知の高さにおける安全対策については、タワー塔体とタワークレーンをモデル化した連成解析モデルで検討し、マストの強度アップなどの補強を施しました。
制振ダンパーは、地震や強風による最上部での揺れに備え、さらなる安全確保をめざして検討したものです。

制振ダンパーの効果の検証

制振ダンパーを設置することで、タワークレーンの揺れは、揺れの方向によって3分の1から3分の2程度に低減できることが確認できました。

未知の高さにおける工事では、通常の安全対策に加えて特別仕様の対策を施しています。仮設のクレーンに制振ダンパーを取り付けることは珍しく、これも特別仕様の一つです。事前に解析や検討を重ねたうえで実用化し、さらなる安全性の向上に努めています。