6. 吊荷の向きは自由自在

スカイジャスター

東京スカイツリーの現場では、特別仕様のクレーンが日々活躍しています。このタワークレーンと共に、吊荷の回転を制御し作業効率アップや安全確保のために活躍しているのが「スカイジャスター」です。

1 通常以上に風の影響を強く受ける吊荷

タワークレーンで揚重を行う際には、風の影響やクレーンの慣性力により、吊荷が空中で回転してしまうことがあります。安全確保のため、10分間の平均風速が10m/s以上の強風時には、作業を中止することが法律により定められていますが、平均風速が10m/s以下といっても安心はできません。風の影響が多いと思われる高層ビル建設などでは、吊荷の回転を制御する装置をクレーンと吊荷の間に取り付け、安全を確保しています。
特に東京スカイツリーの場合は、通常のビル建設と異なる要因があります。

スカイジャスターの開発

建築物の超高層化、鉄骨重量の増加により、最近では大型タワークレーンを使用する機会が増加してきています。それに伴って、従来型より高機能の吊荷方向制御装置が必要となり、大林組では、新型装置の開発に取り組んできました。
東京スカイツリーに関してもさまざまなシミュレーションを行いました。

(シミュレーション例)

その結果、新型タイプの「スカイジャスター」が東京スカイツリーの建設に有効であることを確認し、この現場で初めて採用します。

2 これが「スカイジャスター」だ!

役割

①回転している吊荷を止めます

風の影響やクレーンの動きに伴う慣性力で回転している吊荷を止めます。

②吊荷の姿勢を保ちます

正しい位置にある吊荷を外乱(風・慣性力)に対抗してそのままの姿勢で保ちます。

③能動的に吊荷を回転させます

吊荷を正しい位置に降ろすために、空中で回転させます。

能力

構造と原理

スカイジャスターは、物体を回転させると回転が高速なほど姿勢が安定する「ジャイロ効果」の原理で機能します。

MOVIE

スカイジャスターの秘密