1 頂部制振装置について
頂部制振装置の役割
アンテナの送信性能を確保するために
高さ497m以上のゲイン塔には、地上デジタル放送のテレビをはじめとする公共性の高い放送用アンテナが取り付けられます。ゲイン塔全体の揺れを抑えることを主な目的として、ゲイン塔頂部に制振装置が取り付けられる設計となっているのです。

制振の仕組み
タイミングをずらして揺れを低減
制振装置の「TMD」は、Tuned Mass Damperの略語です。ゲイン塔全体の揺れとは遅れた周期で揺れるように調整された(= Tuned)重り(=Mass)が、タイミングをずらして揺れることでゲイン塔全体の揺れを低減する(=Damper)システムです。このシステムは、「倒立振子型」と呼ばれる装置で、振り子を逆さまの状態にしたシンプルなものです。重りを下に吊るすのではなく、重りをオイルダンパーとバネの上に載せ、ゲイン塔と重りの揺れの周期の違いを利用して揺れを低減します。

2階建ての制振機械室
2基の制振装置が作動
制振機械室は2階建てになっていて、2基のTMDがそれぞれの階に設置されます。1基だけでも必要な能力を備えていますが、片方の装置がメンテナンスなどで作動しないときでも制振能力を維持できるよう、2基設置しています。通常は2基とも作動します。
屋根の上には避雷針があり、その頂部がタワー最高点の634mとなります。
