大林組ダム情報化施工技術「ODICT®

Obayashi-Dam Innovative Construction Technology

 

ダムをつくる人たち

STAFF INTERVIEW

新丸山ダムJV工事事務所 監理技術者 国島 広弥

100年後も残るダムをつくるために

新丸山ダムJV工事事務所 監理技術者

国島 広弥

70年間でのQCDSEの進歩

土木工事の現場では、QCDSE(品質、原価、工程、安全、環境)という5つの管理が重要といわれています。丸山ダムが施工された約70年前と、現在、新丸山ダムで行っているQCDSEを比較してみましょう。

Quality(品質)
ダム建設工事において、コンクリートの品質確保は最も重要です。丸山ダムはコンクリートの品質管理に関する研究論文が発表されるようになった1950年から間もない、1952年~1954年にダム本体のコンクリートを打設しました。そのような時代に、丸山ダムでは、コンクリート骨材に硬くて耐久性のある河床砂礫(玉石)を採用したり、クラック対策として国内で初めてコンクリート骨材をプレクーリングする設備を導入したりしていたそうです。当時の技術者の品質管理に対する高い意識に感心させられます。新丸山ダム本体建設工事ではBIM/CIM別ウィンドウで開く によるトレーサビリティ確立など、デジタル技術を活用した技術で、100年先の人たちに感心してもらえるような品質管理を行っていきます。

Cost(原価)
いつの時代でも「適切な利益を生み出す」という基本姿勢は変わりませんが、丸山ダム施工者たちは利益の追求より、当時の国家プロジェクト・丸山ダム建設に従事することを誇りに感じていたかも知れません。現在は公共工事の入札および契約の適正化の促進に関する法律が整備され、ダンピング受注による建設会社の疲弊や下請会社へのしわ寄せを防いでいます。建設業の担い手確保のためにも新丸山ダム本体建設工事では、施工に関わるすべての会社が適正な利益を得ることができ、納得して工事を行ってもらえるやりがいのある現場づくりを心がけています。

Delivery(工程)
丸山ダムは、逼迫(ひっぱく)する関西地方の電力を早期に確保する目的で建設されたため、昼夜曜日を問わず工事を行っていたと聞いています。現在は、働く人たちの健康確保やワーク・ライフ・バランスの改善のため働き方改革が推進されています。ICTツールやプレキャスト部材を活用するなど、生産性向上策を駆使して、土日祝日はしっかり休みを取りながら、決められた工期に工事を終わらせていきたいと思います。

Safety(安全)
時代が変わっても建設工事において安全は第一です。コンクリートダム建設工事では、ケーブルクレーンを用いてコンクリートや建設機械を運搬するため、常に頭上を重量物が通過することになります。これまでは目視や吊り金具に設置した警報装置などで安全を確認していましたが、新丸山ダム本体建設工事では、従来の安全管理方法だけでなく、CPS(Cyber Physical Systems)(※1)を活用した安全管理システムも取り入れて万全な安全管理を行います。ダム完成まで無事故無災害を継続するという強い意志を持って日々の安全管理に努めていきます。

※1 CPS(Cyber Physical Systems)
現実の世界(フィジカル)をコンピューター上の仮想空間(サイバー)に再現し、分析・解析後、現実の世界に反映し、最適な結果を導き出すもの

Environment(環境)
戦後の高度成長期は、日本各地で大気汚染、水質汚濁、自然破壊、騒音・振動問題など、深刻な公害が発生していました。丸山ダム完成から70年が経過した今、ダム周辺には豊かな自然と共に歩む人々の暮らしがあります。新丸山ダム本体建設工事では、新設ダム以上に、近隣の方々への環境(騒音・振動・粉じんなど)に配慮し工事を進めていきます。またダム建設に従事する人が快適に作業できるよう、現場環境を整えていきたいと思います。

積極的なコミュニケーションで一致団結

ダム工事では、さまざまな業種の工事があり、どれか一つが欠けても、良いダムはできません。私の仕事は、本体建設工事のまとめ役として、さまざまな人たちと積極的に会話をし、現場にいるみんなのベクトルを合わせることだと考えています。
休日には仕事を忘れてみんなで食事やスポーツ観戦に行くなど、気持ちを切り替えるようにしています。この工事は長丁場となりますので、良い人間関係が良い現場・良い工事につながると思って、日々頑張っています。

新丸山ダムJV工事事務所 監理技術者 国島 広弥