建築事業の強化

建築事業においても、公共工事における総合評価方式による入札への対応とともに、提案力の強化を図るため、2008(平成20)年4月にプロポーザル部を東京建築事業部から建築本部に移管して、支援対象を全店に広げたほか、2009年1月、同部にVE課を設置し、技術提案項目のデータベースを構築した。2009年4月には企画提案力の強化を図って設計本部を改編し、プロジェクト設計部、本部長室、設計管理部、工事監理部および製作設計部を新設した(企画部、設計技術部、設計品質管理部、インタースペース部を廃止)。2011年4月には、横浜支店を東京本店建築事業部所管の支店とし、首都圏全体の施工体制の強化を図ることとした。首都圏におけるシェアアップは、当社建築事業の最大課題として認識され、後述する「中期経営計画’12」の重要施策として標榜されることになる。

建設プロセスのシミュレーション技術であるBIM(Building Information Modeling)については、2008年度から「3Dモデルの一貫利用」の研究に着手し、技術研究所新本館建設での試行を通じて、モデリングルールの構築やICT基盤の整備を行った。2010年4月には建築本部にBIM推進室を設置して、主に設計業務における適用を拡大し、2011年には本支店の工事部門に生産BIM推進課を設置して、設計から生産にいたる一貫利用を推進する体制を整備、設計施工案件で約3割の物件に適用した。並行して、国内およびハンガリーのソフトベンダーとクラウド環境で実施するためのアライアンスを、フィリピンの設計事務所と業務提携契約を締結し、ノウハウの蓄積や利用環境の強化を図った。

2009年度からは、施工管理業務の見直し、情報機器の活用、常設部門の支援強化などを柱とした生産性向上運動を展開、従前からの業務改善活動や各支店におけるワーキング活動を通じて、具体的な施策に取り組んだ。

2012年1月には、調達価格の圧縮と早期把握を図るため、東京本店建築事業部におけるコスト管理部門と購買部門を調達部門に再編するとともに、新たに海外調達部を設置し、海外資材や製品の利用拡大を図った。

建設産業の魅力を高めることにも取り組み、若年建設技能者の入職・定着率を向上させるための一環として、労務安全部、土木本部および林友会連合会と検討を重ね、2011年7月、「大林組認定基幹職長(スーパー職長)」制度の運用を開始し、初年度に75人を認定した。認定職長に対して支給される日額手当は、日本建設業連合会が提言する標準目標年収を達成可能な水準として、業界の先駆けとなった。