構造技術研究部
Structural Engineering Department
主体構造、耐震・振動、微振動などを研究開発
土木・建築分野の構造全般に関わる研究・開発・調査および設計・施工に関する
高度技術支援を行っています。近年は、免震制振、耐震補強、木造を含む部材の
耐火、地震・水害などの自然災害リスク評価、大規模数値解析技術、
構築の省力化・自動化および既設構造物の更新技術の研究開発に注力しています。
Structural Engineering / Steel Structure
構造技術・鋼構造
時代に合わせた鉄骨造の技術開発
鉄骨造建物に要求される技術は時代とともに変化します。阪神大震災(1995)や東日本大震災(2011)などの巨大地震発生後は耐震性が特に重要視されましたので、梁の塑性変形能力を飛躍的に高めた「新型ウィングビーム工法」の開発に注力しました。日本の人口減少が顕著になり始めた2010年代半ば以降は施工の省力化・省人化の要望が高く、あらゆる現場溶接作業を自動化する「現場ロボット溶接工法」を開発してきました。近年はカーボンニュートラル・脱炭素が喫緊の課題であり、時代の要請に応じた技術開発を引き続き進めて参ります。
Structural Engineering / Infrastructures
構造技術・インフラ構造物
持続可能なインフラを新たな技術で
わが国では建設から40~50年経過したコンクリート構造物が劣化しはじめており、機能を維持するために更新が必要となっています。例えば、道路橋の床版リニューアル工事では交通への影響を抑え、車両の通行を確保しながら更新するため、短工期で施工でき、かつ高耐久な構造が求められています。大林組ではインフラを利用するすべての方が安全に、安心して、快適に過ごすことができる、持続可能な社会の実現に向けて研究開発を進めています。
Steel Structure / Seismic Control Structure
鋼構造・制震構造
鋼構造と制震の分野で
新たな価値を創造
大地震対応の鋼構造・鋼コンクリート合成構造の部材・接合技術、中小地震~大地震対応の制震部材の研究開発を進めています。これまでに、鉄骨梁端拡幅工法、超高強度鋼材を用いたCFT柱・溶接ボックス柱、皿ばねとブレーキ技術を用いた制震用摩擦ダンパーの開発・応用展開を進めてきました。
建物利用者の地震時の「安全・安心」の確保だけでなく、環境負荷低減や建築計画における自由度増大など、時代の変化や要請に柔軟に対応し、+α(アルファ)の価値のある技術を創造していきます。
Structural Engineering /
Seismic Engineering
構造技術・耐震構造
危機耐性を持つインフラ構造物をめざします
阪神大震災、東日本大震災、熊本地震などを経て、インフラの地震対策技術は大幅に向上し、設計で想定する地震動の大きさも引き上げられました。しかし、地震は未知の部分を多く含む自然現象であり、現状でも完全な安全が担保されるとは言えません。これに対して、近年、危機耐性という性質が注目されています。危機耐性とは、設計で想定する地震を超えるなどの設計想定外が発生した場合でも、社会に及ぼす影響を危機的にしないようにする性質です。大林組では、設計で想定する範囲外までも気を配り、社会へ及ぼす影響を低減できるような構造物をめざして、研究・開発を進めています。
関連技術
Structural Engineering /
Fireproof Construction
構造技術・耐火構造
火災に強い建物をつくります
火災時の温度は1,000℃にも達します。この高温の前では、あらゆる可燃物が燃えてしまい、鋼材やコンクリートで造られた建物でさえも、適切な耐火性能が備わっていないと崩壊してしまう危険性があります。
大林組では、国内最大級の耐火実験装置や、高度な解析技術を駆使し、万一の火災でも安全・安心な建物を提供するための研究開発を鋭意進めています。
近年、低炭素社会の構築に貢献するものとして注目されている木造建築の分野においても、国内初となる3時間耐火の木造部材を実際の建物へ適用するなど、日々新たな耐火技術の開発に取り組んでいます。
関連技術
人々の生活から火災による脅威を取り除きつつ、安全で快適な建築空間を実現する技術を一つでも多く世に送り出すべく、研究開発に努めています。
人々の生活から火災による脅威を取り除きつつ、安全で快適な建築空間を実現する技術を一つでも多く世に送り出すべく、研究開発に努めています。
Structural Engineering / Vibration Control
構造技術・振動制御
1ミクロンから1メートルの振動課題を解決します
半導体工場に設置されている精密機器は微細な作業を行うため、1ミクロンの揺れも許されないことがあります。揺れを抑えるには振動を減衰する部材を設けたり、設計時に綿密な振動予測を行う必要があります。一方、地震時の超高層建物では頂部で1メートルを超える揺れが生じます。この揺れを抑えるには大きなエネルギーを吸収する制震ダンパーが必要です。同じ振動でも振幅は100万倍もの差があるため、それぞれの振動に合った課題解決のための研究開発を行っています。
Structural Engineering / Structural Analysis
構造技術・構造解析
精度の高い解析技術で構造物の
安全性を高めます
地震や火災が生じた時の構造物の損傷状況をあらかじめ詳細かつ正確に予測できれば、合理的かつ安全な構造物を構築することができます。大林組が開発した三次元非線形解析ソフト「FINAL🄬」は、地震や火災時のコンクリート系構造物の状態や挙動を詳細かつ正確に予測・再現できる技術です。国内外の解析コンペで最優秀賞を受賞するなど、解析の信頼性は高く評価されています。また、大規模高速化FEM解析ソフト「FINAL-GEO🄬」では、実物の形状を忠実に再現した解析モデルにより、地盤を含めた構造物の挙動を精度良く予測・再現できます。これらの解析ソフトは、構造物の設計・施工法の検討や安全性の評価に用いられています。
関連技術