工期・コスト・微振動を大幅に低減させる鉄骨床「DGフロア」

既存半導体工場の改築工事で初採用

プレスリリース

大林組は、微小な振動を嫌う生産施設向けに、短工期・低コストで鉄骨床を構築する微振動低減システム「DGフロア(※1)」を開発し、このたび、NECセミコンダクターズ山形(株)発注の既存半導体工場改築工事において初採用しました。また、第二弾として現在施工中の新築工場での採用も決定しています。

半導体工場に代表される超精密生産施設では、微細な製品加工を行うため、床の振動を極めて小さくする必要があり、鉄筋コンクリートの頑丈な床や、非常に大きな部材を用いた鉄骨床が採用されていました。また、短工期を要求される場合には、通常、工期の短い鉄骨床が採用されていましたが、微振動を低減させるために大きな鉄骨部材が必要となることから、コスト面が大きな課題となっていました。

このたび開発、実用化した「DGフロア」は、剛性を高めるために格子に組み上げた鉄骨床梁に、固さと粘りを併せ持った特殊ダンパーを組み合わせることにより、微振動を効果的に減衰させるシステムです。微振動対応が施されていない一般の鉄骨床と比べ、微振動の大きさを最大90%程度低減することが可能となります。また、本システムによって動剛性(※2)が向上するため、従来より断面の小さい(細い)鉄骨部材で床を構築することができることから、約20%のコストダウンが図れます。

「DGフロア」を初採用した工事は、半導体工場の既存の鉄骨床を微振動対応床に補強改造する工事です。本工事においては、鉄骨床を鉄筋コンクリートで補強する従来工法を採用した場合、床の荷重を支える基礎補強を伴うため4ヶ月の工期が必要でしたが、本システムを採用することにより、2ヶ月という短工期で竣工することができ、約50%の大幅なコストダウンが実現しました。また、完成した床は、微振動要求条件をすべて満たすことが確認され、「DGフロア」の高い微振動性能も検証されました。


DGフロアによる一般床から微振動対応床への改修イメージ図

DGフロアによる一般床から微振動対応床への改修イメージ図

今後とも大林組は、様々な生産施設における「安定生産」と「施設の安全」に貢献する技術を積極的に開発・提案していきます。

※1 DGフロア:Dumped Grid Beam Floor System

※2 動剛性:微振動に対する床の固さ、すなわち揺れにくさを表す指標。大きいほど性能がよい

【DGフロア概念図】

【DGフロア概念図】

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 メディア広報課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
お問い合わせフォーム