北海道ボールパークFビレッジプロジェクト

不屈の決意と高い技術力、
そして確かな一体感。
「『北海道ボールパークFビレッジ』
プロジェクト」

PROJECT 01

PROJECT 01

常識では考えられないような短工期と、厳冬期との想像を絶する闘い。その中でも屈することなく挑み続けられるのは、「大林組にしかできない」という誇りがあるからだ。世界が見たことのない建築物が、やがて北の大地に誕生する。

青田 晴

札幌支店
北海道BPJV工事事務所
工事長(内装班)

1993年入社。工学部建築学科卒。内装工事に関する予算管理、施工計画、施工管理(安全・品質)、テナント工事会社との調整などを担当。

植野 高行

札幌支店
北海道BPJV工事事務所
工事長(鉄骨班)

2008年入社。工業高等学校卒。スタンド鉄骨(鉄骨小梁)、フィールド全体の鉄骨工事、ガラス壁鉄骨工事など、屋根鉄骨工事以外の鉄骨工事全般を担当。

藤原 篤茂

札幌支店
北海道BPJV工事事務所
工事長(生産設計班)

2008年入社。建設工学専攻修了。屋根レールを支えるRC柱や観客席を構築するための構造架構を、プレキャストコンクリートで製作するための図面調整に従事。

三木 誠

札幌支店
北海道BPJV工事事務所
工事長(鉄骨班)

2008年入社。理工学研究科・海洋建築工学専攻修了。スタジアムを覆う大屋根工事を担当。求められる性能・品質を満足させたうえで予定通り、無事故で完成させることが使命。

末吉 祥平

札幌支店
北海道BPJV工事事務所
工事長(設備班)

2011年入社。人間環境学府・空間システム専攻修了。電気設備、空調換気設備、衛生設備、エレベーター、エスカレーター、防災、消火設備などの設備工事全般を担当。

菅原 恒太

札幌支店
北海道BPJV工事事務所
工事長(PC・躯体班)

2013年入社。建築施工システム技術科卒。主にスタンド工区のPC・躯体工事担当として工事全般の施工計画と工程、品質、安全管理、関係先との調整などを担当。

松尾 晃治

札幌支店
北海道BPJV工事事務所
工事長(土木班)

2017年入社。工学研究科・環境資源工学専攻修了。工事車両の通路整備や32ヘクタールの広大な敷地の造成、降雨時の濁水処理の管理、駐車場や緑地の整備など、土木・外構工事全般の施工管理を担当。

※所属および役職は、取材当時のものです。

CHAPTER 01

「世界がまだ見ぬボールパークをつくる」

北の大地に、今、地域の新たなシンボルが誕生しようとしている。「北海道ボールパークFビレッジ」だ。その中核施設である開閉式屋根付き天然芝スタジアム「エスコンフィールドHOKKAIDO」を施工しているのが大林組である。コンセプトは「世界がまだ見ぬボールパークをつくる」。北海道の未来を拓くランドマークづくりのために、大林組の精鋭たちが全国から結集した。

青田

青田:世界の誰も見たことのない施設が北海道に誕生することは、地元出身の私にとって誇らしいことです。工事のために全国から仲間たちが駆けつけてくれることに、大林組の力強さを感じています。

菅原

菅原:北海道は初めての地です。かつてないビッグプロジェクトとして話は聞いていましたが、まさか自分が参画するとは想像していませんでした。きっと厳しい現場になる。そんな覚悟のもと、必ず成功させるとの思いでやって来ました。

末吉

末吉:九州出身の私も、まさか自分が北海道へ来るとはという思いでした。見知らぬ街に足を踏み入れて一定期間生活できるのは、スーパーゼネコンならではの楽しみです。家族も北海道での生活を味わっています。

藤原

藤原:きっと難しい工事になると思っていました。しかし大林組なら必ずやり遂げられるはずです。やってやろうじゃないかという熱い気持ちは、今も変わりません。

三木

三木:この現場の所長には、新人時代から一緒の現場で鍛えてもらいました。今回はその所長から「難工事になるが、一緒に挑戦してくれないか」と声がかかったのです。もちろん「ぜひ!」と即答でした。

松尾

松尾:私は学生時代を北海道で過ごしました。このプロジェクトにアサインされた時は「まさか自分が」と驚きましたが、北海道に恩返しする絶好のチャンスだと思いました。

植野

植野:私は生まれも育ちも北海道です。故郷のこんな大きなプロジェクトに参加できることはたいへん嬉しく、名誉なことと受け止めています。地元の人々も「あの現場で仕事をしているのか」と驚きの声をかけてくれます。

CHAPTER 02

短工期への要求に応える技術力

誰も見たことのないスタジアム。その実現のために行われているのは誰も経験したことのない難工事だ。最大の難題は、厳冬期2シーズンを含む32ヵ月という工期の短さである。着工は2020年5月。北海道日本ハムファイターズが新スタジアムを使用するのは2023年シーズンからであるため、22年末の竣工は絶対条件なのだ。それはまさに「常識外れの短工期」(三木)。この難題をクリアーするために採用した施工方法の一つが、大屋根と屋根下部のスタンドの同時施工を可能にするスライド工法だった。

植野

植野:32ヵ月で何が何でも終わらせないといけません。工事中の屋根の下部には、組み立て中の屋根を支える仮設の支保工(荷重を支える仮の構造物)が必要になります。この仮設の支保工を設置している期間は下部のスタンド工事を進められません。でも、それではとても間に合わない。そこでスライド工法を採用し、建物の外部に支保工を設置することで屋根工事と下部のスタンド工事を同時に進めることにしました。そのための細かな手順、段取りは念入りに検討しました。

三木

三木:スタンド工事だけでなく屋根を載せる構造体であるガーダーができるのを待っている余裕はまったくなかったですね。だからガーダーの施工と並行して、スタジアム外に最大高さ約60mにもなる仮設の支保工を構築し、その上で屋根を組み立てました。最大スパン約160mでしかも開閉式という可動屋根と固定屋根を有したスタジアムなんて、誰も造ったことがありません。当然その工程を決める作業も誰も経験したことがなく、まさに前代未聞の挑戦でした。

藤原

藤原:短工期を可能にするうえでRC柱(鉄筋コンクリートの柱)や客席を支える梁や床を、前もって工場で製造したプレキャストコンクリートで製作することは必然でした。このスタジアムは左右非対称の複雑な形状となっており、図面作成には苦労しました。柱・梁・床のどれをとっても同じものが一つもないという、まさに一品生産の集合体が「エスコンフィールドHOKKAIDO」です。

松尾

松尾:大屋根とガラス壁は鉄骨造、全体を支える下部構造は鉄筋コンクリート造のハイブリッド構造システムとなっています。施工ヤードの確保やクレーンのための通路の確保調整には苦労しました。特にプレキャスト部材の多さはそのままタワークレーンの多用につながったので、悩ましかったですね。調整では屋根班と鉄骨班の板挟みになったこともあります。そんな時はすぐにミーティングを開き、互いに知恵を出し合って施工順を譲り合うなどしました。この難工事に挑む同じ仲間としての強い一体感を感じました。

青田

青田:私の担当である内装工事は、通常ならば屋根や壁が完成してからが本番になりますが、限られた工期で工事を完成させるために、外壁や屋根の工事と並行して内装工事を進めています。風雨を防ぐシートの壁を設置したり、土手を造って雨水の流入を防いだり、寒さで材料が凍らないために採暖器具を各所に配置するなど、さまざまな工夫を凝らしながら完成をめざしています。

CHAPTER 03

繰り広げられる雪との闘い

このプロジェクトをさらに厳しいものにしたのが、北海道の冬だ。12月中旬から3月中旬の厳冬期、雪と寒さに邪魔されて工事の進捗は大幅に落ち込む。だが工期が遅れることは絶対に許されない。まさに厳寒の大地ならではの"雪との闘い"が繰り広げられたのである。

末吉

末吉:冷える日はマイナス20度という極寒の中での作業となります。とにかく寒いの一言に尽きる。しかも雪で地面は滑るので、九州出身の私はよく転びました。想像以上に過酷な現場なんです。それでも絶対に工事は止めないという覚悟で臨んでいます。

菅原

菅原:私はこのプロジェクトの前は東北支店の所属だったので、冬期施工の経験はありました。しかし北海道の冬の厳しさはそれをはるかに上回るものでした。その厳しい環境のもと、これだけ大規模な開放された空間で躯体工事を進めることは想像以上に大変で、品質と工程の確保には苦労しています。例えば柱、梁、床のコンクリートやプレキャストコンクリート部材のジョイント部に充てんするグラウト材が凍らないように仮の屋根や壁で覆い、中をヒーターで温めました。養生にはとても神経を使います。

松尾

松尾:クレーンの走行路を確保するために除雪作業を行いますが、雪が降れば地元でも除雪作業が行われるため、排雪のためのダンプはどうしても不足します。その調達には苦労しました。雪が多いシーズンなので、春先には雪を堆積する場所が不足するのではという心配もあります。とにかく雪との闘いはこのプロジェクトの大きなテーマです。

三木

三木:氷点下における施工でも不具合が生じないよう、試験施工を重ね、実績を積み上げてきました。最高気温が氷点下という日が何日も続き、朝は雪かきから始まる中、大屋根の工事では地上80mという高さで鉄骨建て方を行わなくてはなりません。天候が悪いからといって期日を遅らせることは許されないのです。「この工事をやり遂げられるのは我々しかいない」という誇りを胸に、取り組んでいるんです。

松尾

松尾:大規模なプロジェクトのため、我々土木技術者も責任ある業務を任されました。スタジアム周囲の外構工事では、上流にあたる森からの沢水の流れを切り替えるバイパスを厳冬期に造ったのですが、雪を踏み固めて構台(作業のための台)代わりに利用しました。雪と闘うだけでなく、雪を利用するというアイデアも、この現場ならではでしょうね。

三木

三木:協力会社さんの仕事にはいつも頭が下がります。ちょっと空き時間があると外で雪かきを手伝ってくれる職人さんも少なくありません。確かに大林組だからこそできるプロジェクトではあるけれど、一緒に汗を流してくれる協力会社の皆さんの存在がなければできない仕事であることも事実でしょう。技術力、施工力とは、人の力そのものだと痛感しています。

末吉

末吉:全国からプロが集まっており、それぞれが自分のやり方や慣習に自信を持っています。だからこそ皆の方向性を合わせることが重要で、ちょっとしたことでも報告・連絡・相談を密にして、一体感を大切にしています。

藤原

藤原:協力会社の皆さんから「大林組のためなら」という思いを強く感じるんです。それは我々自身が熱い思いをもって接しているから、それに応えてくれているんでしょう。目には見えないけれど、この"熱さ"は大林組の大きな強みだと自負しています。

CHAPTER 04

やがて新しい"磁場"が誕生する

建設中の「エスコンフィールドHOKKAIDO」の様子は、新千歳空港と札幌を結ぶJR千歳線の車窓からも目にすることができる。通学の高校生が、通勤のビジネスマンが、観光客が車内から指さし、そして笑顔で語り合う。北海道の新しい未来が始まる、そんな予感が人々を笑顔にしてくれるのだ。
「エスコンフィールドHOKKAIDO」を核にして「北海道ボールパークFビレッジ」は、約32ヘクタールという広大な敷地を有する多目的施設へと発展する。目の前に新しいJRの駅が開業する計画もあり、さまざまなにぎわいが創出されるだろう。"世界がまだ見ぬボールパーク"の建設は、"まだ見ぬ街"へとつながっている。

藤原

藤原:入社当時、東京スカイツリー ®の工事現場で人々が見上げながら「こんなに高くなったんだ」と話していた光景を覚えています。今、快速列車の中から人々が「あれがボールパークか」と驚きを持って話してくれる様子を見ると、感慨深いものがあります。建設中の様子を見ていただくことも、価値あることだと考えています。

三木

三木:初めてここに足を運んだ時、商店街にはシャッターの閉まった店も多く、寂しく感じたものでした。それが今や北海道どころか日本中が注目する街へと変身しています。地域の活性化に大きく貢献しているのは間違いありません。

菅原

菅原:地元の期待は非常に高く、近隣の養護学校や高校の生徒たちも見学に足を運んでくれました。経済効果もかなり期待できますね。新たな雇用も生まれていくでしょうし。10年後、この地域がどんな街になっているか、楽しみです。

末吉

末吉:「エスコンフィールドHOKKAIDO」から新しい街が誕生し、根づいていく、そんな未来が楽しみです。

松尾

松尾:ここが北海道の新たなランドマークとなり、大勢の人が集まってきます。我々がつくっているのはスタジアムですが、同時にそれは新しい"磁場"づくりでもあるんです。

植野

植野:個人的には娘がスタジアムの誕生を喜んでくれ、完成を心待ちにしてくれているのが何より誇らしいです。北海道に生きる次の世代に向けて、新たな価値を提供できると思っています。

青田

青田:コロナ禍で世相が暗いなか、「エスコンフィールドHOKKAIDO」がニュースに取り上げられると皆、顔を上げて笑顔になります。北海道だけでなく日本中の気持ちを上向かせる、そんな社会貢献を嬉しく思います。