大林組の考えるSDGs
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開催されたサミットで世界のリーダーによって決定された、国際社会共通の目標です。大林グループは、持続可能な「地球・社会・人」の実現と企業価値の向上をめざし、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(管理体制)」を重視するESG経営を推進しながらSDGs達成に貢献することで、社会課題の解決に取り組んでいます。

Obayashi Sustainability

Vision 2050

大林グループでは、さまざまな社会動向や大林グループを取り巻く事業環境の変化を捉え、経営基盤としてのESGや社会課題であるSDGsの達成への貢献を取り込み、大林グループ一体で「地球・社会・人」と自らのサステナビリティを同時に追求するため、長期ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050」を策定しています。このビジョンは、将来の持続可能な社会の実現を目標として2050年の「あるべき姿」を定義し、バックキャスティングの手法により、大林グループが取り組むべき2040~2050年の目標と事業展開の方向性を定めています。目標達成に向けては、具体的なアクションプランとKPI(数値目標)を設定し、取り組みを進めています。

「地球・社会・人」と大林グループの
サステナビリティを同時に追求します

2040〜2050年の目標

脱炭素

大林グループ全体で
CO2排出ゼロを実現する

価値ある空間・
サービスの提供

すべての人が幸福な
社会を実現する

サステナブル・
サプライチェーンの共創

事実に関わる人々と
実現する

大林グループの
ESG重要課題(マテリアリティ)

大林グループでは、ESG経営の推進に当たり大林組基本理念に基づき6つのESG重要課題を特定しています。
「Obayashi Sustainability Vision 2050」の目標達成に向けて、中期経営計画の事業施策にマテリアリティを組み込み、SDGsと関連付けて活動することで、中長期的な成長と持続可能な社会の実現をめざします。マテリアリティに紐付けて設定したアクションプラン・KPIに対して毎年度進捗状況を確認し、PDCAサイクルによる推進活動を行っています。

S

品質の確保と
技術力の強化

確かな品質の追求
技術力による生産性のさらなる向上
良好な施工管理体制の維持

E

品質の確保と
技術力の強化

環境配慮型事業の推進
グリーンエネルギー事業の推進
脱炭素の推進
循環型社会の実現への貢献

S

人材の確保と
育成

働き方改革の推進
ダイバーシティの推進

S

労働安全衛生の
確保

労働安全衛生マネジメントシステムの徹底

G

コンプライアンスの
徹底

企業倫理プログラムの推進
情報セキュリティ管理の徹底

G

責任あるサプライチェーン
マネジメントの推進

CSR調達の推進
技能労働者の育成支援

大林グループがめざす
「カーボンニュートラル」と
「ウェルビーイング」

「大林グループ中期経営計画2022『事業基盤の強化と変革の実践』」では、基本戦略の一つに、「技術とビジネスのイノベーション」を掲げ、「カーボンニュートラル」と「ウェルビーイング(安全・安心・快適・健康)」に焦点を当て、社会課題の解決をビジネス機会として捉えています。大林グループの総合的競争力を活かしたソリューションの提供を通じて顧客価値を創出するとともに、新たな事業分野で付加価値を創造し、事業領域の拡大もめざします。

カーボンニュートラル

大林グループは、建造物の企画・設計、新設から維持管理、リニューアル、解体までのライフサイクル全体のマネジメントサービスを提供しています。自然エネルギー、次世代エネルギーを活用したインフラや、環境への負荷を低減できる技術の実装についても強みがあり、これらの総合的競争力を活かして、建築物および土木構造物の長寿命化やCO2の排出抑制・吸収といった社会のニーズにソリューションを提供します。

ウェルビーイング

安全・安心・快適な建物やインフラの提供、災害に強い社会を構築するための防災・減災・復興に取り組んでいます。加えて、デジタルツインの分野では、すでにBIM/CIM(Building / Construction Information Modeling, Management)データによる建設プラットフォームを構築し施工に活用していますが、街やインフラの稼働段階においては、これらに加えて、各種センサーによる人流・物流の計測などとAI活用により、エリアマネジメントサービスの提供を通じたウェルビーイングの実現をめざします。

現実の世界から収集したさまざまなデータを、デジタル空間に再現する技術

主な取り組み事例

01

木造建築への取り組み

大林グループは、循環型資源である木材利用の拡大・促進による持続可能な社会の実現をめざして、木造建築の普及に積極的に取り組んでいます。さらに、高まる顧客からの木造建築へのニーズに対して多様なソリューションを提供することにより、地球・社会・人のサステナビリティの実現に貢献します。

日本初の高層純木造耐火建築物
「Port Plus®」(次世代型研修施設)

すべての構造部材に木材を使用した純木造建築が、木材利用の促進につながると考え、神奈川県横浜市に「これからの知を育む場」というコンセプトのもと、自社の次世代型研修施設として、すべての地上構造部材(柱・梁・床・壁)を木材にした高層純木造耐火建築物「Port Plus」を建設しました。この純木造耐火建築物は、国内で最も高い、高さ44m(11階建て)となっています。

木造ハイブリッド構造
「アトラシアン・セントラル新築工事」(オーストラリア)

オーストラリアのBuilt Pty Ltdとの共同企業体により、オーストラリアの大手不動産会社Dexusから「アトラシアン・セントラル新築工事」として、木造ハイブリッド構造として世界最高となる高さ182m(地上39階建て)の建築工事を受注しました。オフィス、宿泊施設、および店舗エリアが含まれ、7階から上階が鉄骨とCLTを採用した木造ハイブリッド構造となっています。この建築工事では、建設中に排出されるCO2を通常の50%以下に抑制することをめざしており、また完成後には100%再生可能エネルギーで稼働することを目標としています。

ハイブリッド⽊造建築物のデザインイメージや
CO2削減量をその場で提⽰するアプリ「WOODX™」

株式会社GELと共同で、敷地形状に合わせて簡易設計したハイブリッド木造と鉄骨造を比較できるアプリ「WOODX(ウッドエックス)」を開発しました。タブレット上で地図から敷地を指定し、外形や階数、木材の構造への適応範囲、内外装のデザインを設定することで、ハイブリッド木造建築物の外観・内観を表示し、鉄骨造と比較したCO2削減率や概算コストのアップ率をその場で提示します。今後は、このアプリを営業担当者のタブレットに標準ソフトとして導入し、顧客からの木造建築に対する要望にタイムリーに応えていくことにより、木材利用の拡大に向けて取り組んでいきます。

02

ZEB
(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)

ZEB(ゼブ)とは、Net Zero Energy Buildingの略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費するエネルギーをゼロにすることをめざした建物のことです。ZEBは達成度により種類がいくつかあり、積極的に省エネなどによる実質的な削減対策を行ったうえで、残りのCO2排出量についてはカーボンクレジットなどを活用して総合的にゼロにする建物を「エミッションZEB」と呼び、建物単体での運用時のエネルギー消費量をゼロにする建物を「ソースZEB」と呼びます。大林組では、これらの実現に向けた取り組みを積極的に行っています。

大林組技術研究所本館テクノステーションでZEBを達成
2014年から7年連続でZEB認証を取得

大林組技術研究所の本館テクノステーションでは、再生可能エネルギー発電設備の追加導入をはじめとしたZEB化工事が2013年度に完了し、オフィスとしての快適な室内環境を維持しながら、施設に付随する再生可能エネルギー発電量でエネルギー消費量を相殺するZEBを2014年度に達成しました。日常的に200人以上が執務する規模の建物で、コンセントの使用電力などを含むすべての一次エネルギー消費量におけるZEB化は国内初です。さらに、2021年度までの8年間ZEBを達成し続けています。

03

建機の自動・自律化

大林グループは、ロボティクス技術とIoT・AI・XR・5Gを組み合わせることで、建設現場の完全無人化施工の実現をめざしています。自動・自律施工システムや特殊機械など差別化が図れる技術開発を推進し、生産性の向上や省力化を図ることで、革新的な建設システムの構築を実現していきます。

建設機械の遠隔操作、
自動・自律運転を適用し、建設DXを推進

大林グループは、建設DXの一環として、「ロボティクスコンストラクション」を提唱し、作業環境の劇的な改善や建設機械との接触による事故の撲滅を目的として、技術開発を行っています。現場での試験運用を通して、これまでに培ってきた建設機械の遠隔操作や自動・自律運転の技術を集約し、安全性と生産性の向上や大規模土工事の無人施工が可能であることを実証しています。さらには、建設工事現場で使用される建設機械全体の自律運転化と、それらを統合管理するプラットフォームシステムを構築・運用することで、建設DXを推進し、安全性と生産性の向上をめざしています。

3Dプリンターによる建築

セメント系材料を用いた3Dプリンターによる建築物として、国内初の建築基準法に基づく国土交通大臣の認定を取得した構造形式を用いて建設に着手しました。3Dプリンターは、建設業において複雑な曲面などデザイン性の高い形状を製造できるだけでなく、材料を現地に運ぶだけで済み、建設時のCO2排出量の削減や、自動化施工による省人化などの効果が期待されるため、構造物の部材や小規模な建築物の製作に利用する事例が増えています。大林グループは、デザインの自由度と可能性を高め、安全で安心して供用できる建造物を社会に提供するため、これからも新技術の開発を進めていきます。

人とロボットが協働する
持続可能な社会の実現に向けて

大林組は、製造業や倉庫業、サービス業などの各種事業所向けに、最新鋭の自律作業ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)や既存設備を連携して動かす統合制御プラットフォームを核とした自律化・省力化ソリューションを提供する「PLiBOT(プライボット)株式会社」を設立しました。多彩で革新的なロボティクス(Robotics)技術を持つエコシステムを構築し、多様性と柔軟性を備えたソリューション提案を通じて社会に貢献していきます。

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「つくるを拓く」
大林組のパイオニア精神