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プロジェクトを知る project

横浜環状北線シールドトンネル工事 横浜の交通ネットワーク、その新たな骨格となる、首都高速横浜環状北線。道と道、街と街、そして人をつなぐ、巨大プロジェクトへの挑戦。

横浜市の交通ネットワークの骨格を形成する「横浜環状道路」の北区間、第三京浜道路「港北インターチェンジ」から首都高神奈川1号横羽線「生麦ジャンクション」を結ぶ、延長約8.2km、首都高発注の自動車専用道路の新設工事。当プロジェクトでは、路線の周辺環境保全のため、建設する道路の約7割がトンネル構造となっている。本線トンネルの大部分は、外径12.49mという巨大なシールドマシンにより構築する。また、高速道路出入口につながる4箇所の分合流拡幅部を、「非開削工法」によって構築する。

北村 幸三

東京本店 首都高新横浜JV工事事務所 / 所長(取材当時)
1971年入社 土木科 卒

大林組入社後数年を経た1977年から約20年にわたり、さまざまな地下工事に携わってきた。その後、葉山浄化センター、横浜市営地下鉄グリーンライン新設工事などのプロジェクトに携わる。また、大林組横浜支店土木工事部長、東京本店土木事業部統括部長を歴任。2010年から首都高新横浜JV工事事務所の所長として、当プロジェクトを指揮している。

地下工事のプロフェッショナル、その男の哲学とは。

鉄製の階段を伝いながら、地下約40mの工事現場に向かう。本来、関係者でないと立ち入ることができない未知の世界。そこではSF映画でも見ているかのような“異空間”が広がる。中では数百人を超える人々がさまざまな作業に従事している。そこには現場を鋭いまなざしで見つめる、1人の男がいた。「所長の仕事は、現場全体を俯瞰して、工事関係者たちを一つに束ね、竣工というゴールへ導くこと。だから、あらゆる局面の『仕事』を熟知しておかなければならない。誰よりも深くね。これはプロとして大切なことです」

そう語るのが、北村幸三である。この横浜環状北線シールドトンネル工事全般の取りまとめ役、所長の重責を2010年から担っている。2016年度に開通が予定されている「横浜環状北線(以下、北線)」は、現在計画されている横浜環状道路の北部、第三京浜道路「港北IC」から首都高神奈川1号横羽線「生麦JCT」を東西につなぐ約8.2kmの自動車専用道路である。そのうち7割に及ぶトンネル構造部を受け持つこの工事は、延長約5.5kmのシールドトンネル2本と、道路出入口に構築する、地中拡幅分合流部などで構成されている。単一JVで2本合計11kmもの距離を施工するという点では国内最大級のプロジェクトである。北村は、過去に「横浜市営地下鉄グリーンライン」新設工事などで所長を歴任し、神奈川県下の地盤・地質の特徴をよく知る、地下工事のプロフェッショナルである。巨大プロジェクトを仕切る大変さを、北村は語った「現場の大小関係なくプレッシャーはあります。新しいことを始めるときには、不安はつきもの。スケールが大きれば、その都度考えなければならないことも増えます」現場を見つめるその視線の先に、男が抱えるものの大きさが透けて見えた。

あらゆる制約や、予期せぬ事態にも動じず、乗り切る“力”

規模の大きいプロジェクトであるがゆえの規制や制約も多い。シールド工事で排出する土砂の総量は約140万m³、1日にダンプ600台分の土砂を運び出す必要がある。土砂運搬による振動・騒音を最小限に抑えるため、掘り出した土砂は一旦ベルトコンベヤーで800m先の鶴見川の対岸まで運ばれた。比較的民家の少ないこのエリアで土砂をダンプに積み替え、搬出を行うのだ。

また、予期せぬアクシデントも起きた。シールドマシンが発進してから3ヵ月目のこと、東日本大震災が発生。現場に直接的な被害は出なかったものの、物流に大きな障害が発生した。土砂を運搬するダンプや、材料を茨城の工場から運ぶトラックの燃料も不足した。夏には節電要請もあった。工程を大きく入れ替えることで電力需要時期の使用電力量を減らし、工事全体には影響のないようにした。このように現場ではさまざまな局面で迅速な判断を迫られる。北村は語る。「目まぐるしく状況が変わっていく現場の中で、いざというときに判断を下すには、知識と経験が必要」ここで蓄積された技術や知見も、これからのさまざまな工事で活かされる“力”となっていくことだろう。

そして“前人未到”の局面を、着々と進み続ける。

取材時の現場は、道路出入口に構築する「地中拡幅分合流部工事」の真最中だった。ランプウェイの工事は地表から掘り進めていくのが一般的だが、ここでは世界的にも類を見ない「本線シールドトンネル拡幅工事」が採用されている。これは、本線トンネルの外周を取り囲むように鋼管の「パイプルーフ」を打設。本線トンネルのセグメント(トンネルの外壁部分)の一部を取り外して横方向に掘削し、トンネルを部分的に拡張する工事である。ここでは大型機械は使えず、人手をかけて工事を進めなければならないため、安全面にも細心の注意を払う必要がある。北村は語る。「現場を巡視する際に意識する点は三つ。安全な施工計画が立てられているか。作業の要注意箇所を協力会社が理解しているか。現場で働く職人たちへこれらが正しく周知されているか。この三つの連携がないと大きな事故につながりかねません」

また、安全には現場内のコミュニケーションも不可欠だという。そのため、広報誌「JVニュース」を発行・配布している。これは、500人を超える人々が出入りするこの現場で「誰が、どこで、どんな作業をしているか」などの情報共有や、家に持ち帰ってもらい、家族とのコミュニケーションを促すツールとしての役割も狙ったものだ。また、現場では作業員に向けたアンケートを取り、「どんな小さな意見でも、必ずアクションで返すこと」を徹底し、安全だけでなくモチベーションの維持・向上にも努めている。

2016年度へ向けプロジェクトは
続く。
そして、男の胸に去来するものは。

横浜環状北線が開通すると、横羽線、湾岸線と第三京浜道路の連携が強化され、羽田空港、東京湾アクアライン方面への広域的な交通利便性が飛躍的に向上する。また、沿線地域の活性化や、渋滞緩和による環境改善効果、住宅地の安全性向上も期待される。開通に向けてまだまだ気が抜けない日々が続く。「シールド工事の技術は日進月歩で進化しています。そして私は好奇心が旺盛。だからこうした工事では、その都度最新のデータや技術を集めてコーディネートする。それが工事を成功させる近道です」と語る北村。過去には執着しないが、培ってきた経験は重んじる。そんな男が思う、所長としての究極の仕事とは、信念を持って現場の「文化」を築くことだという。「現場に『文化』があるからこそ、皆はついてきてくれます」と話しつつ、「まあ、それも優秀な右腕たちに支えられてこそですが」と、部下へのねぎらいも忘れない。最後に、大林組に対しての思いを聞いてみた。「言いたいことをハッキリと言う私を許容してくれる、懐の広い会社ですね。まあ、言うからには、その分しっかりやらないとね」現場で見たあの表情とは違う、笑顔がこぼれだした。

担当者からひとこと
若い人たちがよく見学や研修に来るので「啐啄同機(そったくどうき)って知ってる?」と聞きます。そして、その次現場に来たときに「あの言葉の意味、調べた?」と聞きます。「まだ調べていません」という人が多いのですが…。「啐啄同機」は禅宗の言葉で、突き詰めると「絶好の機会」を意味します。つまり、分からないことがあったら、そのときが絶好の機会。興味を持ってすぐに調べなさいということを指しているわけですね。これはどんな仕事でも同じこと。「マニュアルがないからできない」では、素人のままです。疑問や分からないことに対してはすぐにアクションを起こし、解決策を探していくことが、成長への一番の近道です。