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虎ノ門ヒルズ 高さ247mの超高層ビルの中を地下道路が貫く。大都市の未来を担う新たなランドマーク。

正式な工事名称は「環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業Ⅲ街区」地域と道路の再開発を同時に進める、新しい試みとして行われている「東京都の再開発事業」の中核施設として建設され、2014年6月グランドオープン。その最大の特徴は、ビルの地下2階部分を環状二号線の道路トンネルが貫通している点。また、オフィス、カンファレンス、住宅、ホテルといった、多様な都市機能が積層された複合ビルであることも特筆すべき点として挙げられる。

大屋 常昭

東京本店 建築事業部 品質管理部 / 副部長(取材当時)
1986年入社 工学部 建築工学科 卒
(当時)環二・Ⅲ街区工事事務所 副所長

主な参加プロジェクトは、池袋メトロポリタンプラザビル、東京国際フォーラム、川崎チネチッタ/ラ チッタデッラ、日本生命札幌ビル、北洋大通センターなど。虎ノ門ヒルズプロジェクトでは、鉄骨工事を中心とした地上工事を指揮する副所長として、着工1年前から竣工までの約4年間携わった。

東京の大空に突き立つ
新ランドマーク。
巨大プロジェクトが始動した。

東京・霞が関の官庁街に隣接した虎ノ門地区。外国企業誘致をめざす国際戦略総合特別区域「アジアヘッドクォーター特区」に位置し、現在、「次世代の東京」へ向けた街づくりが着々と進んでいる。この一角に、建物の中を環状二号線が貫通するという、交通インフラと一体化した超高層ビルがある。それが「虎ノ門ヒルズ」である。環状二号線という、東京の新たなシンボルストリートをまたぎながら、悠々とそびえるその姿は「天に向かって鋭く突き立つイメージ」を表現したもの。延べ床面積約25万m²、地下5階、地上52階、建物高さ247m。東京で2番目の高さを誇るこのビルは、大林組が単独受注した建物としては最大規模のものだ。

当然のごとく、その施工には、最高レベルの建設技術とマネジメントが求められた。そこで、地上部分の建築工事を指揮する副所長として、着任の命を受けたのが大屋常昭であった。大屋は東京国際フォーラムのガラス棟建設など、数々の大規模鉄骨工事で辣腕(らつわん)を振るってきた"鉄のスペシャリスト"である。着任時のことを、大屋は「ビッグプロジェクトに携わる嬉しさで、素直にやりがいを感じた」と語る。現場スタッフが集結し、1年間の計画・準備を経て、2011年4月に着工を迎えることとなった。

大林組の総力を結集。
最先端の技術で、数々の
”難関”に挑む。

プロジェクト全体の工期は約3年。この規模の工事としては短期間である。工期短縮のため、さまざまな工夫や最先端技術が注ぎ込まれた。その一つが、逆打ち(さかうち)工法だ。これは、始めに「逆打ち支柱」と呼ばれる地下階の柱を杭と一緒に打ち込み、1階の床を構築。その後、地上躯体を建てていくと同時に、地下を掘り進めながら地下躯体を下方向に構築していく工法だ。地上と地下、両方での作業が並行して行われるため、大幅な工期短縮が可能となる。

また、この特殊な建物の構造上、建物を支える柱1本にかかる荷重が、一般的な超高層ビルで2000〜3000tに対して、虎ノ門ヒルズは最大で7000〜8000tにもなる。そこで、東京スカイツリーの建設に用いられた「ナックルウォール」という特殊な杭が採用された。これは、杭にナックルと呼ばれる節を取り付けることにより、押し込み時や引き抜き時の抵抗力を大幅に増大させるもの。最大で9000tもの荷重に耐えられる、大林組の新技術だ。「短工期の工事はいくつも経験をしてきたが、超高層建築の地下に道路が通る工事は初めて。施工管理にも苦労しました」と、大屋は振り返る。

机上の理論だけではなく、人の手と心だけがかなえられること。

話をさかのぼると、プロジェクトの着工は、あの東日本大震災からわずか1ヵ月後のこと。その影響から復興需要が高まり、資材・人手が大幅に不足することとなった。「我われの仕事はハイテクと言われるが、実際はハイテクとローテクの交差点にあるものだと思います。タブレット端末やBIMなど、最先端の技術を使いつつも、それを現場で具現化させるのは人の手です」

建物の基幹部である鉄骨工事の段階においても人手不足の余波は続き、工程への影響も懸念されていた。そんな状況下で一番の頼りとなったのは、大林組の仕事ならば、と集まった優秀な職人たちが持つ卓越した技術だったという。「例えば、溶接工の高度なスキル、とび工の迅速かつ的確な仕事ぶりなど、トップクラスの職人の力には助けられました」

一方、職人たちの能力を最大限発揮するため、大屋たちも行動で応えた。着工後、まず現場内の厚生設備を充実させた。また、各協力会社の職長(職種ごとのリーダー)による組織、職長会とのコミュニケーションも密にした。「彼らには権限を与えて、『みんなが良いと思うことをやってくれ』と話しました。現場のルールを守ってもらうには、職長から指導させるほうが、現場の良い雰囲気づくりに役立ちます。なぜこうした雰囲気づくりに注意を払うのかといえば、最大の目的は現場で働く人々の安全のためです。安全は、我われにとって何より守るべきものであり、お互いが尊重し合うことで自然と守られると考えています」

こうした取り組みが、1日2000人を超える人々が働く現場全体の一体感を生み、大きな力となっていった。

※BIM(Building Information Modeling):従来のような2次元の建物の図面情報だけでなく、使用材料や性能などの仕様情報も加えた3次元の建物モデルをコンピューター上で構築し「見える化」するもの。

「未知の領域」へ、チャレンジし続ける意思とともに。

現場の特殊な条件に起因する課題も少なくなかった。一つは、ビルの柱が曲線状に並ぶその独特のフォルムだ。逆打ち支柱は全部で237本、1本の重さは最大で90t近い。少しでもその位置がずれれば、柱にかかる力が大きく偏ってしまう。そこで最先端の3次元測量システムを導入し、1mm以下の精度で杭の位置を測る体制を整えた。

さらに課題は尽きない。この現場では、地上から高さ207mの47階まで鉄骨柱の中にコンクリートを圧入しなければならない。100m程度の高さまでの圧入は珍しいことではない。だが、粘性の高い高強度コンクリートを200m超の高さまで圧送することは「未知の領域」だった。その時、大屋がひらめいた。それは、圧送高さ207mを水平換算した642mの圧送試験管を現場でつくり、コンクリートを試験圧送して実際に確認するというものだった。「悩んでいるより実際にやってみよう、チャレンジする意思が大切」と話す大屋には、豊富な経験と綿密な施工計画に裏打ちされた信念が浮かんでくる。試験によって得られたデータと自信を胸にチャレンジは始まった。圧入圧力や高さの管理をしながら、コンクリート打設を開始。パソコンで打設状態を常時モニタリングし、データ化して管理を行った。結果、過剰圧力などによる鉄骨の変形もなく、打設は成功した。こうした一連のコンクリート工事は2013年7月に完了。続いて外装、内装、設備工事を進め、2014年5月に無事竣工を迎えた。

「新しい東京のシンボル」を生み出した、その誇りを胸に。

この現場で撮影した1枚の写真が、大屋の宝物だという。「鉄骨工事が無事に完了したとき、52階の屋上で携わった職人さんたち全員と撮ったものです。同じ目標を持って、前を向いて仕事に取り組むこと。工事に関係する人すべてを、徹底的に守ること。これは長年、常に意識してきました。そういった積み重ねが、現場の一体感を生んだのだと思います」そして、この仕事を与えてくれた大林組や関係者には感謝してもしきれないそうだ。

また、虎ノ門ヒルズのグランドオープンの日には、開業を知らせるポスターの写真を撮って、ありがとうの言葉と共に家族全員にメールしたという。「家族みんなで虎ノ門ヒルズのホテルに泊まりに行く約束は守れていませんが、いつか必ず果たそうと思っています」最後にこの建物が、街や人びとにどのような影響を与えていくと思うか聞いてみた。「虎ノ門のイメージを変える、新しい東京のシンボルとなっていく建物だと思います。周辺エリアの街並みは確実に変貌していくでしょう。この特徴的な外観の超高層ビルが建っている姿は、プロジェクトに関わった人だけでなく、大林組社員全員の誇りになると思っています」そう話す大屋の語り口は、一大プロジェクトをやり遂げた技術者としての自信に溢れていた。

担当者からひとこと
大規模プロジェクトの施工管理の仕事では、各人の持ち場の住み分けが細かくなります。その分視界が狭まって、自分の仕事の重要さを見失ってしまいがちな社員もいます。そんな時、若い技術者には、常に現場全体を見わたすようにと話しています。大局的な視点から、自身の役割を意識させるためです。工事のどの部分が欠けても建物は完成しない。そのことを忘れないで欲しいと思っています。年齢や持ち場に関係なく、「全員がキーパーソンなんだ」ということです。
PROJECT DATA
所在地:東京都港区虎ノ門
施行者:東京都
特定建築者:森ビル株式会社
設計 (建築) 株式会社日本設計
  (構造) 株式会社日本設計(地上部)、株式会社大林組(地下部)
  (設備) 株式会社日本設計
監理   株式会社日本設計
概要:S造・SRC造・RC造 地下5階、地上52階、PH付、延24万4,360.27m²
工期:2011年4月~2014年5月