地形を素早く測量できるアプリ「スマホdeサーベイ」を開発

スマートフォンで現状の地形を把握し、土砂災害時の復旧工事を迅速化します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、地形を素早く測量できるスマートフォン用アプリ「スマホdeサーベイ」を開発しました。

豪雨や地震などに伴う土砂災害では、流出した土砂が道路や鉄道をふさいでしまうことがあり、不通が長期にわたると周辺住民の生活に深刻な影響を及ぼすことから、迅速な復旧作業が求められます。

従来のトータルステーションによる測量

従来のトータルステーションによる測量

復旧作業に着手する際には、まず現状把握のために地形を測量する必要があり、通常は測量機器の一つであるトータルステーション(※1)を使って実施します。

しかし、この方法では測量結果を事務所などに持ち帰り、パソコンで座標計算し図面化するまで地形を把握することができないなど、作業着手までに一定の時間を要していました。

今回、大林組が開発したスマホdeサーベイは、赤外線センサーを搭載したスマートフォンを用いて、点群による3次元の地形データをその場で簡単に取得することができるアプリです。断面のみを捉えたい場合には、スマートフォンの画面上に断面測量用のガイド線を表示させることも可能です。

スマホdeサーベイによる測量風景と取得した点群データ

スマホdeサーベイによる測量風景と取得した点群データ

トータルステーションに比べ計測時間を大幅に短縮できることに加え、スマートフォンのメール機能により点群データやCADデータをパソコンなどに送信することで、効率的に地形の安全性評価や工事に伴う搬出土量の計算などを行うことが可能です。

スマホdeサーベイの特長は以下のとおりです。

  1. スマートフォンを使って短時間で簡単に地形を測量

    トータルステーションを用いた従来の測量方法では、地形を捉えるために最低でも5m間隔で計測する必要がありましたが、スマホdeサーベイを用いると、赤外線センサーを搭載したスマートフォンの画面を見ながら、現地を歩くだけで簡単に地形を計測することができます。従来に比べ現地での作業時間を90%以上も短縮でき、10cm以下の小さな起伏も捉える精度で、最大で約500m²の範囲まで3次元の地形データを取得することが可能です。

    また、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術により、スマートフォンの画面には測量対象の測線(※2)となるガイド線を表示できることから、これに沿って歩くだけで簡単に断面を測量することも可能です。

    断面測量時におけるガイド線表示

    断面測量時におけるガイド線表示

  2. 地形の測量と安全性の評価、搬出土量の計算の同時処理が可能

    従来のトータルステーションによる測量では、現地での測量結果を事務所などのパソコンへ入力し座標計算したうえで図面などを作成していました。

    一方、スマホdeサーベイでは、取得した地形データをスマートフォンの画面上で確認できるだけなく、3次元の点群データやCADデータのほか、任意の場所における断面図の出力も可能です。スマートフォンのメール機能を利用して地形データや断面図を送信できるので、測量と並行して地形の安全性評価や工事に伴う搬出土量の算出を行うことができます。

    スマートフォンの画面に表示された断面図(右下)

    スマートフォンの画面に表示された断面図(右下)

大林組は安全・安心な社会の実現に向け、さまざまな技術開発に取り組んでいます。今回開発したスマホdeサーベイを活用することで迅速に災害復旧工事を進めるとともに、本アプリを一般的な土木工事のほか、建物内部の測量など建築物のリニューアル工事にも導入し生産性向上を図っていきます。

  • ※1 トータルステーション
    位置座標の測量機器。トータルステーションから視準点(プリズム)までの距離と角度を測ることで、視準点の位置座標を導き出す
  • ※2 測線
    測点と測点を結ぶ線分。土砂災害時の測量では、崩壊した土砂が最も厚い箇所を通るように測線を設定する

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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