フィナンシャル・レビュー

取締役副社長執行役員 小寺 康雄

2020年度業績の振り返りと2021年度事業環境の見通し

2020年度(2021年3月期)は、国内建築事業において都市部における大型工事の端境期を迎えたことに加え、北米やシンガポールにおいて新型コロナウイルス感染拡大に伴う工事中断の影響を受けたことから、売上高および営業利益をはじめとする利益項目が前年度実績を下回る結果となりました。今後は、変化しつつある建設需要への対応や停滞した設備投資の回復時期が鍵になると考えています。また、都市部における大型再開発案件については、需要は継続しているものの競争は依然厳しく、採算性確保が課題となります。海外事業においては、新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞に起因する建設投資の減少が懸念されます。

2020年度営業キャッシュ・フローは、国内建築事業において着手間もない大型工事が多く工事代金の回収が進まなかったことなどにより、248億円のプラスにとどまりました。また、新型コロナウイルス感染拡大が継続する中、万が一に備え通常を上回る水準の手許流動性を維持し、国内外のグループ会社に対して臨機応変に資金供給できる体制を整え、資金調達も一部前倒しで行いました。金融機関からの借り入れ可能額については、コミットメントラインを拡大するなど引き続き十分な調達手段を確保しており、適時適切に資金調達を行う方針としています。

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中期経営計画2017の進捗と目指す将来像の実現に向けた投資

大林グループでは「中期経営計画2017」において事業環境の変化を成長の機会と捉え、将来への布石を打っていくことで、既存の事業の枠にとらわれない成長を目指しており、2021年度はその最終年度となります。

中期経営計画2017 主な経営指標目標

2021年度末目標値 2020年度末実績
自己資本額
自己資本比率
9,000億円
40%
9,310億円
41%
ネット有利子負債
(有利子負債)
ゼロ
(2,500億円)
74億円
(2,659億円)
2021年度目標値 2020年度実績
売上高 2兆円程度 1兆7,668億円
営業利益 1,500億円程度 1,231億円
親会社株主に帰属する当期純利益 1,000億円程度 987億円
1株当たり当期純利益(EPS) 150円程度 137円
自己資本当期純利益率(ROE) 10%超の水準 11.3%

強固な経営基盤の構築のために進めてきたさらなる財務体質の改善と自己資本の増強は、2020年度末時点で目標とした経営指標(自己資本9,000億円、自己資本比率40%)に達しています。一方、売上高、営業利益などP/L項目については、2020年度は3年ぶりに経営指標目標値を下回る水準となり、安定的に目標とする売上・利益を維持するには至っておりません。

投資については、将来への布石として5年間で4,000億円の計画を策定し、2020年度末時点で累計投資額は3,710億円となりました。不動産賃貸事業や再生可能エネルギー事業への投資をはじめ、建設機械の自動・自律運転や遠隔操縦などIoT・AI・ロボティクスを活用した次世代生産システムの構築や建設DX技術の開発、洋上風力技術やインフラ大規模更新技術の開発、イノベーション創出に向けたスタートアップ企業への戦略的投資など、目指す将来像の実現に向け、既存の4本柱の強化と新たな事業領域の創出を進めています。

重要な投資案件の実施にあたっては、投資委員会において、大林グループの現在の財務内容や保有資産の状況を踏まえた適正な投資規模、各投資案件の投資方針との整合性や事業戦略上の意義のほか、リターンとリスクとの適正なバランス、そして事業化決定後のモニタリングまで、投資活動全般について審査・評価しています。

中期経営計画2017 投資計画(2017~2021年度)の進捗

5ヵ年計画 2020年度までの実績 2021年度見通し 5ヵ年合計
建設技術の研究開発 1,000億円 907億円 250億円 1,158億円
工事機械・事業用施設 500億円 443億円 200億円 644億円
不動産賃貸事業 1,000億円 1,530億円 500億円 2,030億円
再生可能エネルギー事業ほか 1,000億円 505億円 100億円 606億円
M&Aほか 500億円 322億円 50億円 373億円
総投資額 4,000億円 3,710億円 1,100億円 4,810億円

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株主還元方針と政策保有株式

株主還元については、長期にわたり安定した配当を維持することを第一に、財務体質の一層の改善および将来に備えた技術開発、設備投資などを図るための内部留保の充実を勘案した上で、連結配当性向20~30%を目安とした利益還元を基本方針としています。2020年度は年間32円の配当(連結配当性向23.2%)を実施しました。今後も、株主・機関投資家の皆様との対話と充実した開示を通じて相互理解を深めるとともに、現在の成長投資を確実に将来の利益向上に結び付け、株主の皆様へのリターン増加に努めてまいります。

政策保有株式は、顧客との取引関係の維持強化を目的として保有しておりますが、取締役会において当該株式評価損益を定期的に審議し、資本コストや取引関係の維持強化による事業上のリターンなどの収益性を総合的に勘案した上で、営業上の保有意義が希薄化した株式については、適宜売却しています。過去10年で92銘柄(26%)、801億円の売却を行いましたが、今後もさらなる縮減に努めてまいります。

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目指す将来像の実現に向けて

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界の社会・経済に大きな変革を促しました。誰しもが経験したことのない危機に直面する中で、企業も事業戦略の大幅な見直しを迫られ、大林グループを取り巻く事業環境にも大きな変化をもたらしています。そのような不確かで複雑な時代だからこそ、革新的技術の開発やデジタル化の推進などにより既成概念にとらわれないビジネスモデルや経営基盤の変革に取り組むことで、多様な収益源を創出し、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。

1株当たり当期純利益(EPS)と1株当たり配当金の推移

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