企業倫理の徹底

大林組は、かねてより企業理念の実践と社会やお客様からの信頼確保に努めてきました。刑法や独占禁止法などの法令違反や汚職・贈賄など、あらゆる腐敗を防止するため、企業としての法令遵守はもちろんのこと、社員一人一人が倫理観の涵養に努め、企業活動において、高い倫理観を持って良識ある行動を実践するため、企業倫理プログラムのもとさまざまな施策を展開しています。

企業倫理プログラム

企業倫理確立のための方針、基準の制定

大林組は、「大林組基本理念」において、事業活動を行ううえでの行動の指針となる「企業行動規範」を定め、企業倫理の徹底に取り組んでいます。経営トップが大林組の企業倫理への取り組み姿勢を、あらゆる機会を通じて社内外に表明することとしています。

また、企業倫理を含めたコンプライアンスに対する意識の一層の徹底を図るとともに、健全な企業風土を創り上げていく礎として、定款に「法令遵守及び良識ある行動の実践」に関する規定を設けています。

定款

第3条(法令遵守及び良識ある行動の実践)
当会社においては、役職員一人一人が、法令を遵守するとともに、企業活動において高い倫理観を持って良識ある行動を実践する。特に建設工事の受注においては、刑法及び独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に違反する行為など、入札の公正、公平を阻害する行為を一切行わない。

大林組基本理念 企業行動規範(抜粋)

(企業倫理の徹底)
1 法令の遵守及び良識ある行動の実践
2 公正で自由な競争の推進
3 ステークホルダーとの健全な関係の維持
4 反社会的勢力の排除
5 適正な情報発信と経営の透明性の確保

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企業倫理を徹底するための体制の整備

企業倫理委員会および企業倫理責任者・企業倫理推進者の設置

企業倫理プログラムについては、社長を企業倫理最高責任者とし、本社役付執行役員と各店支店長を企業倫理責任者、各部門所属長を企業倫理推進者として設置し、経営トップが企業倫理の責任者となり「大林組基本理念」の精神の実現が自らの役割であることを認識し、企業倫理の徹底を図っています。

また、取締役会において決議し、毎年見直しを行っている「内部統制システム」では、「企業倫理委員会」を大林組の企業倫理体制の中核として位置付けています。企業倫理委員会では、「企業倫理委員会規程」に基づき、委員長として社長、委員として取締役、執行役員、社外有識者、職員組合委員長を設置し、「企業倫理の啓発」、「企業倫理遵守のための方策の策定」、「法令違反や汚職・贈賄などの不正行為の監視」、「企業倫理に反する事案に関わる事実解明のための調査」および「再発防止策の策定」を行っています。各支店にも支店企業倫理委員会を設置し自主的な企業倫理推進活動を行っています。

企業倫理推進体制図

「大林グループ企業倫理相談・通報制度」の導入

大林組では、職場での不正やハラスメント、法令違反、汚職・贈賄などによる腐敗防止を含むあらゆる企業倫理関連の疑問や問題などについての相談窓口として、大林グループの事業関係者(大林グループの社員、派遣社員、出向受入社員、パートタイマー、調達先の方々など)を対象とした企業倫理相談・通報制度を設けています。社内窓口として企業倫理委員会および監査役、社外窓口としては法律事務所を設けるとともに、外国人労働者を対象とした相談窓口「JP-MIRAIアシスト」を導入しています。通報手段は、電話やメール、郵送などから選択でき、また、通報者が不利益な扱いを受けないよう保護を徹底しています。通報を受けた際には直ちに事実関係を調査して、必要な措置を講じています。

また、企業倫理委員会事務局は、当社監査役に通報の内容、調査結果および是正措置などを報告しています。取締役会においても内部統制システムの整備・運用状況を確認する際に、同制度の適正運用や通報状況の確認を実施しています。

各窓口の報告フロー図

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「企業倫理確立に向けた具体策」の導入、実践、検証、改善( P → D → C → A )

企業倫理プログラムでは、方針・基準の制定、体制の整備を行ったうえで具体策を導入し、各施策を確実に実行しています。その運用状況を定期的に点検し常に見直しを行うことで、法令遵守を徹底し、高い倫理観を継続的に維持できる企業をめざしています。また、取締役会では、年1回の内部統制システムの運用状況の確認(点検)において、本プログラムの実効性評価を行っています。

企業倫理確立のための個別分野規定、マニュアルの整備、運用

大林組は企業倫理徹底に向けて、各種プログラムなどを制定し、腐敗防止や規制への対応とその強化を図っています。

企業倫理確立のための研修の実施

毎年、大林組および主要なグループ会社の全社員(派遣社員、出向受入社員、パートタイマーなどを含む)を対象とした企業倫理職場内研修を実施しています。同研修は、当社定款および企業倫理の徹底に向けた企業行動規範に基づき、独占禁止法をはじめとする法令遵守の徹底や、反社会的勢力の排除、不正会計の根絶などをテーマに、身近に起こり得る具体的なケースを用いて、各部門による討議形式で実施しています。そのほか、外国公務員などに対する贈賄防止、情報セキュリティ対策についても学ぶなど、きめ細かい研修を行っています。

また、役員向け社外セミナーの実施や海外での各国の法令や地域性に応じた教育・研修なども行っています。グループ会社においては、大林組のテキストを参考に各社の事業分野に即した内容に改訂したうえで研修を実施しています。

企業倫理の浸透、定着状況を測定、評価する仕組みの策定

監査役会による談合等監視プログラムや内部統制監査室による内部監査により企業倫理プログラムの実施状況をモニタリングしています。企業倫理委員会においては、外部有識者による企業倫理プログラムの実施状況について第三者評価を受けるほか、職員組合委員長が企業倫理に関する組合員の意見を収集したうえで参加するなど、複数の側面からのモニタリングも実施しています。

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コンプライアンスの徹底

大林組は、リニア中央新幹線工事の入札に係る独占禁止法違反により、2018年10月22日に有罪判決(罰金2億円)を受けました。また、これに伴い、2019年2月2日から6月1日まで建設業法に基づく営業停止処分(対象は全国における民間土木工事)を受けました。大林組では、2006年に「独占禁止法遵守プログラム」を策定し、全社を挙げてコンプライアンスの徹底に取り組んできたにもかかわらず、本事件を招いたことを厳粛に受け止めています。以下のとおり、再発防止に取り組みに「あらゆる事業運営においてコンプライアンスを最優先する経営」を推進しています。

2018年6月1日施行の追加施策

2018年6月1日付で、以下の内容を「独占禁止法遵守プログラム」に盛り込みました。

同業者との接触ルールの厳格化
  • 同業者が出席する会合や懇親会の事前届け出制度を拡大、厳格化
独占禁止法の正しい理解の徹底
  • 営業活動において誤解しやすい事柄等を重点的に解説したマニュアルの整備、教育の実施
違反行為を行う・見過ごす心理的要因の除去
  • 内部通報制度利用への心理的ハードルの低減:内部通報制度の周知・広報、通報の義務化、社内リニエンシーの明記
  • 違反行為を正当化する理由はないこと等の意識付け:トップメッセージの継続的な発信
  • 上司の指示であっても誤りを指摘できる企業文化の醸成:「上司に対する積極的な意見具申」等を人事考課の評定項目に新設
監視機能の強化
  • 内部監査部門による同業者とのメールチェック

第三者委員会の設置および同委員会からの提言内容に沿った再発防止策の実施

2018年9月1日に本事件に関する客観的な調査結果に基づく発生原因の究明および実効性のある再発防止策の提言をいただくことを目的に、日本弁護士連合会「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に依拠した第三者委員会を設置し、2019年1月31日に再発防止の提言を含む調査報告書を受領しました。 大林組は、第三者委員会からの提言を真摯に受け止め、以下のとおり提言内容に沿った再発防止策を実施するとともに、「独占禁止法遵守プログラム」を改正しています(2019年2月に取締役会にて決議し、順次施行)。

第三者委員会からの提言内容および大林組の対応

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