(株)大林組は、NTTグループの協力を得て、品川インターシティにおいて「エリア・ネットワーク」の利用実験を平成12年1月から本格的に開始します。最新の情報技術を大林組東京本社において活用・体験する実証実験を行い、ビジネス集積エリアにおける、コミュニケーションやワークスタイルの近未来像を提案します。
大林組は、情報分野の先端企業や学識経験者の協力を得ながら、これからの企業活動に不可欠な高度情報通信環境の将来像を研究してきました。その一つのあり方として、都心のビジネス集積地区に高度な情報通信環境を用意することで、地区の情報付加価値を高めることができる「エリア・ネットワーク」に注目しています。
品川インターシティの「エリア・ネットワーク」は、地区全体にはりめぐらされた光ファイバー網を使って、高速・広帯域のインターネット接続を可能にすることはもとより、地区内の設備の制御、地域防災、地域生活情報システム、インターネット電話、動画像配信、など、様々なアプリケーションをそこに立地する企業とそこでの生活者に提供することを目指します。
大林組は、本社を置く品川インターシティにおいて、NTTグループの協力を得て、高速・広帯域ネットワーク実験環境(ギガビットクラスの「エリア・ネットワーク」とプロバイダー機能、サーバーセンター機能を備えた「エリア・ネットワーク・センター」)に、この度、社内ネットワークを接続します。これによって、企業内ネットワーク/エリア・ネットワーク/インターネット、の3層構造のネットワーク・モデルの実験環境が完成します。
大林組が、日常業務や生活の中で、自ら、実験環境を使用することで、ビジネス集積エリアにおける情報通信環境の将来像を検証し、最先端の情報技術のビジネスへの応用ノウハウを蓄積し、今後の都心各地の再開発エリアなどの建築、まちづくりに積極的に提案していきます。
将来、全国のビジネス集積エリアにも同様のエリア・ネットワークが整備されれば、それぞれのエリア・ネットワークを高速・広帯域の通信幹線で結び、エリア同士を結合して巨大なビジネス・ネットワークを形成することも期待されます。
品川インターシティの「エリア・ネットワーク」の特徴は次の通りです。
- 様々なアプリケーション・サービスを「高速IP網」により、エリア内に提供します
- プロバイダーまでのボトルネックを解消します
エリア内の端末からプロバイダー機能を備える「エリア・ネットワーク・センター」まで、高速・広帯域のネットワーク(ギガビット・エリアLAN)で接続します。
- 各種サーバ群の活用が可能
インターネットよりもセキュリティ・レベルが高いネットワーク環境下で、社内ネットワークの独自のセキュリティを確保したまま、「エリア・ネットワーク・センター」内の各種サーバー群を活用できます。
エリア・ネットワーク・センターのサーバー群として、次のようなものを考えています。
企業間情報共有サーバー(エクストラネット利用)
アプリケーション・サーバー
情報提供サーバー(ミラー、キャッシュ、ハウジング、ホスティング)
動画像配信(ストリーミング)サーバー
- 通信ランニング・コストの低減
「エリア・ネットワーク・センター」経由でインターネットに接続することにより、 複数の企業ユーザーを一つにまとめることによる集約(集線)効果が期待されます。
- ビジネスと生活の情報を提供します
エリア内に設置する「エリア・ネットワーク・センター」は、プロバイダーの機能を備え、様々なニーズに対応したサーバー群を集積させて、ビジネスをサポートするだけでなく、オフィスで働く人々、まちにやってくる人々へも生活情報を提供します。
- エリア内の公共的施設の設備制御、地域防災、地域生活情報システムへの展開 ※
■■「高速・広帯域ネットワーク利用実験」の内容■■
実験期間:平成12年1月~平成13年3月
顧客・社外パートナー企業(団体)との情報共有
企業間にまたがる情報の共有(エクストラネット)環境の提供
コラボレーション会議室システム(他社参加者を含めた一時的な情報共有サーバーの利用環境を作る)
高速・広帯域ネットワーク環境下でのインターネットの高度利用
アプリケーション・ソフト配信(アプリケーション・サービス・プロバイダー)
インターネット・オフィス・デリバリー・システム(オフィス用品のカタログ販売・エリア内配送)
インターネット動画像配信システム(動画コンテンツのデジタル・ライブラリ)
VoIP(インターネット電話)
インターネット情報への高速アクセス(エリア・ネットワーク・センターのキャッシュ・サーバー利用)
エリア情報提供システム
「品川エリア・ポータルサイト」
エリア内生活案内情報システム(生活支援情報作成支援)
エリア内リアルタイム動画像配信システム
LONWORKS®システムのIP制御
インターネットと親和性の高い、ビル設備の知的分散制御システム(LONWORKS®)をエリア・ネットワーク上で制御することにより、IP(インターネット・プロトコル)を利用したリアルタイム遠隔監視制御の実現性を検証する。※
LONWORKS®:
米国エシェロン社が開発した知的分散制御システム。ビルの空調、給排水、照明などの設備機器を制御と通信の機能を持つニューロン・チップを介して共通のネットワークに組み込み、低コストで高効率のビル設備制御ネットワークを実現します。また、この新技術は単にビル・オートメーションに止まらず、都市基盤制御システムへの展開が期待されます。
大林組は、高速・広帯域の情報通信環境におけるアプリケーション・サービスに興味を持つサービス事業者や、これからビル建設を計画している企業にも呼びかけて、実験内容を更に充実していきたいと考えています。