土圧式シールドの新排土システムを開発・実用化

プレスリリース

(株)大林組は、土圧式シールドにおいてショートスクリューコンベヤーと圧送ポンプを組み合わせた新しい排土方法を開発しました。初期発進時や急曲線施工時の施工性が向上し、セグメント組立スペースも従来より広く確保できるもので、第二鮫洲幹線のシールド工事に初適用し良好な結果を得ています。


土圧式シールド工法の掘削は、カッターヘッドにより掘削した土砂を切羽と隔壁間に充満させ、その土圧により切羽の安定を図りながら推進します。チャンバーからの掘削土の排出は、隔壁を貫通しているスクリューコンベヤーにより行います。スクリューコンベヤーは、円筒状の管内に、らせん状の羽根を組み込んだ構造をしており、羽根を回転することでチャンバー内の土圧を保持しながら、掘削土の排出を行います。

従来、スクリューコンベヤーの全長はシールドマシン機長よりも長く、また、スクリューコンベヤーの出口ゲートより排出した土砂は、長尺のベルトコンベヤー等を使用して後方に搬出しています。初期発進時や急曲線施工時には、施工空間の制約から、これら土砂搬出設備の変更等を行う必要があるため施工性が低下するという問題がありました。また、シールドマシンテール部で行うセグメントの組立作業は、スクリューコンベヤー、ベルトコンベヤー等によって制限された狭隘な作業空間で行わざるをえず、改善が求められていました。
また、高水圧下で切羽安定に必要な土圧が高い場合、通常のスクリューコンベヤーではゲート(土砂排出口)より土砂が噴発して土圧を保持できなくなるため、2本以上のスクリューコンベヤを組み合わせる等の補助手段が必要となり、さらに施工性が低下していました。


今回、開発した「土圧式シールドの新排土システム」は、ショートスクリューコンベヤーと圧送ポンプをシールド機内に組み込み、配管を通して土砂を後方へ圧送します。ベルトコンベヤーによる土砂搬出と比べ、初期発進時や急曲線施工時の搬出設備の変更が著しく少なく、施工性が向上しました。また、セグメント組立作業空間を広く確保することができるため、作業環境と安全性も向上しました。さらに、高水圧下においても後方に延長した土砂圧送配管が止水ゾーンとして働き、圧送ポンプの止水性と併せて高い土圧でも安定して施工することが出来ます。


今後、大林組では今回開発した「土圧式シールドの新排土システム」を積極的に導入し、シールド工事において工期短縮と高品質の確保を実現して行きます。


<今回新しく開発されたシステムの特長>

  1. 初期発進時や急曲線施工時の施工性が向上します
    従来、初期発進時や急曲線施工時では作業空間の制約等により、土砂搬出のベルトコンベヤーの長さを変更したり、スクリューコンベヤーの取り付け角度を変更するなどの必要がありましたが、本システムでは設備がシールド機内に収納されており、ベルトコンベヤーの代わりにフレキシブルな圧送配管を使用しているため土砂搬出設備を変更することなく連続して掘削することが可能です。

  2. セグメント組立作業空間を広くし作業効率と安全性が向上します
    スクリューコンベヤーが短尺化しベルトコンベヤーが不要となることから、従来と比較して広い作業空間を確保することができるため、セグメントの搬入や組立も容易となり、作業効率と安全性が向上します。

  3. 切羽の安定に必要な土圧を安定して保持できます
    ショートスクリューコンベヤーが土砂搬出機能を、圧送ポンプと圧送配管が土圧保持機能をそれぞれ有しており、これらの回転速度を調整・制御することで安定して土圧を保持しながら土砂を搬出できます。また、圧送ポンプ吐出口に配管することによって、約100mまで噴発することなく土砂を圧送することができます。

以上

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大林組 東京本社 広報室企画課
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