HACCPに対応した室内気流設計における新たな気流評価手法を開発

プレスリリース

大林組は、食品工場などのHACCPで要求される最適な製造環境を実現するために、空気齢という概念を取り入れた新たな気流評価手法を開発しました。空気の汚染濃度を、供給された清浄空気がある地点まで到達する時間の概念に置き換えて定量化することにより換気性能を数値シミュレーション化し、最適な室内気流設計を実現します。


一般的に室内の換気性能を示す指標としては、時間あたり室内の空気が何回入れ替わるかの回数で示した換気回数または局所換気回数が用いられます。換気回数は汚染濃度に関係なく何回空気が入れ替わるであり、ある程度の目安としての指標として有効ですが、必ずしも室内の空気の汚染濃度を示してはいません。従来、食品工場やクリーンルームなどの高い空気清浄度が要求される室内の気流設計は、換気回数をベースにしたシミュレーションにより行われており、汚染度合いによる定量的な判断はほとんど行われておりませんでした。


今回開発した新たな気流評価手法は、空気齢という概念を取り入れています。空気齢は供給された清浄空気塊がある地点まで到達する平均時間です。清浄空気の供給地点から最も離れている地点(排気口付近)が最も遅く空気が清浄化され、また、空気がよどんでいるところも到達時間が長くかかるのでそれだけ清浄化が遅くなることからも判るとおり、室内のある地点での空気汚染濃度は空気齢の大きさに比例します。空気齢という概念に基づく評価方法は、具体的な数値で汚染濃度を定量化できるため、気流設計上の諸条件変更による効果をシミュレーションにより確認することができます。間仕切りや設備の位置変更等の効果をシミュレーション上で確認できるので、より実際に則した最適な室内気流設計を行うことができます。また、それら気流設計で得た最適な諸条件をデータベース化することにより、将来の気流設計の精度向上と省力化が可能となります。


今回開発した新たな気流評価手法の特長は次のとおりです。

  1. 空気齢という概念を用いることで汚染濃度を定量化することができます。
  2. 汚染濃度の定量化により、数値シミュレーションが可能です。間仕切り変更などの気流設計上の諸条件変更は、シミュレーションによりその効果を確認することができるのでより高精度で現実に即した気流設計が可能です。
  3. シミュレーションの諸条件とその効果をデータベース化することにより、将来の気流設計の精度向上と省力化が可能です。
  4. 汎用パソコン上でもシミュレーションが可能です。

大林組では、5月15日から東京ビッグサイト(東京、有明)で開催予定の「2000国際食品工業展」に空気齢の概念を用いた新たな気流評価手法によるシミュレーションのデモを含めHACCPに対応した各種技術の紹介をしています。今後、大林組は今回開発した新たな気流評価手法による室内気流設計を含め各種技術をHACCPに対応した食品工場やクリーンルームの室内気流設計において積極的に提案していきます。

以上
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大林組 東京本社 広報室企画課
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