Oショット工法でコンクリート構造物を短期で修復

プレスリリース

(株)大林組と(株)ジェー・フェック(本社:東京都江戸川区、社長:山代育民)は、コンクリート構造物の新しい修復工法である「Oショット工法」を開発しました。従来のモルタル、コンクリート吹付け工法とは異なり、構造体コンクリートと同等の品質を確保した修復を短期間で可能としました。


現在各種あるコンクリート構造物の修復方法のうち、圧縮空気を利用してモルタルやコンクリートを高速で吹付ける吹付け工法は比較的簡易な仮設設備で施工が可能です。しかし、修復部分が厚い場合にモルタルだけを吹付けると、モルタルは水分を多く含んでいるために収縮によるひび割れが生じ易いという問題があります。


一方、コンクリートは修復部分の厚みがある場合の吹付けに適していますが、下地との接着を良くするためや表面仕上げをし易くするために、モルタルを吹付けるようなときには、モルタルを吹付ける場合とコンクリートを吹付ける場合で吹付け圧送設備の変更をしなければならず、コンクリートを吹付ける場合でも、粗骨材が原因で少量を安定して噴射することができないという難点もあります。また吹付け後の垂れ落ちや剥落を防ぐために配合されている急結硬化材が硬化を促進するためにコテ均しができないなどの問題があります。


これらの問題点から、コンクリート構造物の修復方法は劣化部分を除去した後に型枠を設置してモルタル等を充填する工法が一般的となっていますが、型枠支保工や足場等の仮設設備が多量に必要でかつ工期も長くなるなどの難点があり、コンクリート構造物を効率良くかつ短期に修復する工法が望まれていました。


今回開発した「Oショット工法」は、コンクリート構造物を効率良くかつ従来に比べ著しく工期を短縮した吹付けによる修復工法です。

吹付けは、モルタル、粗骨材、特殊急結硬化剤、ビニロン短繊維をそれぞれ圧送量を調整できるように別系統で圧送し、1つの吹付けノズル内で衝突混合させ噴射します。それぞれの圧送系統の併用により材料の混入量を最適に調整することができるので初期強度、付着力、耐久性を確保でき、また、修復部分の状況に合わせて連続して作業を進めることができるため効率良く施工することができます。さらに、吹付け直後に表面のコテ均し仕上げができるので、美しい仕上がりを可能としました。


この「Oショット工法」の特長は次のとおりです。

  1. 効率良く、工期も著しく短縮
    一般的な型枠を使用する従来工法のような型枠支保工や足場等の多量な仮設設備が不要で、比較的簡易な仮設設備と専用の吹付けノズルがあれば圧送設備は汎用機で施工できます。また、修復部分が厚い場合、下地モルタル、コンクリート、仕上げモルタルと順次吹付けを行いますが、そのような場合でも、使用材料の変更による段取り替えが不要なので作業を止めずに続けてコテ均しによる仕上げまで完了でき、効率良く工期も著しく短縮することができます。
  2. 初期強度、耐久性が向上
    使用するモルタルやコンクリートは選定した材料を最適に配合することにより乾燥収縮量が少なくかつ水セメント比が小さくなるので初期強度と耐久性が向上します。また、ポリマーの使用により既設躯体と吹付け材の硬化後の接着力が増します。さらに吹付け中に混入量を任意に調節することができるビニロン短繊維を使用することにより、収縮ひび割れが防止できるとともに、曲げ強度と粘り強さも向上します。
  3. 表面仕上げが美しく仕上がる
    コンクリート吹付け時の少量噴射が可能です。また特殊な急結硬化材を使用することにより吹付け後の表面をコテ均し仕上げすることが可能なので、アーチ下面などの表面仕上げでも凹凸が無く、美しく仕上がります。

 

大林組では、既に各種の室内試験と実証実験を完了し、その施工性と品質を確認しています。今後は、「Oショット工法」を更に増加が予想される以下のようなコンクリート構造物の修復、長寿命化工事に積極的に提案していきます。


●鉄道、道路、導水トンネル等の覆工コンクリート表層劣化部分の修復
●道路橋、鉄道橋、桟橋等の躯体コンクリート表層劣化部分の修復
●柱や橋脚などの増し打ち耐震補強
●特殊曲面形成を必要とする表面仕上げ部分の施工や修復
●トンネル拡幅部等の形状劣化部分等の型枠設置に難がある部分の施工


以上
■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
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