新開発のビニロン繊維補強軽量コンクリート「ファイバーベトン」を使用した次世代PCaカーテンウォールを開発・製品化
(株)大林組は、セラミック細骨材を使用した軽量コンクリートをビニロン繊維で補強したビニロン繊維補強軽量コンクリート(VFRC)「ファイバーベトン」を開発し、それを使用して造形性に富んだ、軽量、高強度、大型の次世代PCa(プレキャスト)カーテンウォールを製品化しました。(仮称)丸ノ内ビルヂング新築工事(設計:三菱地所)へ適用します。
(株)ショックベトン・ジヤパン(本社:埼玉県川越市南台、社長:佐々木良昭)より製造・販売します。
PCaカーテンウォールは高層建築物の構造上、より軽量なものが求められます。一般的なPCaカーテンウォールは軽量化を図るため、軽量コンクリートを用い、可能なかぎり厚みを抑えて製造されます。しかし、粗骨材がコンクリートの細部までの充填を妨げるため、薄いリブや庇のような変化に富んだ形状を製造することは難しく、結果として平板形状となり、デザイン上変化に富んだものを製造することが困難でした。そのため、一般的には外装材にタイルや石を用いるデザインにとどまっており、デザイン上自由度の高いPCaカーテンウォールが求められていました。
今回開発したビニロン繊維補強軽量コンクリート「ファイバーベトン」は薄いリブや庇のような変化に富んだ形状のカーテンウォールに最適なコンクリートです。「ファイバーベトン」は軽量、高強度、耐久性、耐火性能にすぐれたコンクリートで、砂などに比べ比重の軽いセラミック細骨材を使用した軽量コンクリートにポリビニルアルコール(ビニロン)繊維を混入して製造します。非常に流動性が高いので薄いリブや庇のような変化に富んだ形状でも製造することができます。「ファイバーベトン」を用いたPCaカーテンウォールは、引張強度・曲げ強度が従来のコンクリートの最大で2倍、靱性(粘り強さ)・延性(伸び能力)も高いので、従来の軽量コンクリートで製造されたPCaカーテンウォールに比べ半分の厚みで、造形性に富んだ大版のものを製造することができます。高層建築物の外壁デザインの自由度を増し、かつ軽量なので構造上も有効な次世代PCaカーテンウォールです。
今回開発したPCaカーテンウォールの特長は次のとおりです。
外壁デザインの自由度が増します
流動性に優れ、各材料の径が小さい「ファイバーベトン」が、コンクリートの充填性を高め、薄いリブや庇のような変化に富んだ形状のPCaカーテンウォールの製造を可能にしました。
従来の半分の厚みで軽量かつ大版の製造ができます
「ファイバーベトン」の比重はγ=1.3~1.5と通常使われる軽量コンクリート(γ=1.9)に比べ小さく、ポリビニルアルコール(ビニロン)繊維の混入により、曲げ強度・引張強度が通常使われるコンクリートの1.5~2倍で、さらに靱性・延性も高いので、版厚を従来の軽量コンクリート製品の半分の厚さにまで薄く(最小厚さ50mm)することができるため軽量です。また、高強度と粘り強さで大型のPCaカーテンウォールの製造が可能です。
高精度な予測が可能なので合理的、経済的な対策が可能
従来、実務上ある程度の精度の予測に基づき対策を行っていたため、過度な振動対策を行っていた場合がありましたが、高精度な予測により必要十分な合理的かつより経済的な振動対策が可能となります。
耐久性、耐火性に優れています
中性化の遅いセメントを使用し、単位水量を押さえることでコンクリートの中性化を防いでいます。また、セラミック骨材は吸水率がほぼ0%のため凍結融解抵抗性が高く、耐久性に優れています。また、外壁(1時間)、柱合成耐火、梁合成耐火において、版厚50mmで耐火構造大臣認定(2・3時間)を取得(平成12年3月)済みです。
使用材料
既存のビニロン繊維補強コンクリート製品の中には特殊なセメントや鋼材を使用するものも有りますが、「ファイバーベトン」は通常のセメントや鋼材を使用しているので、より安価なPCaカーテンウォールを提供できます。
工期の短縮も実現
軽量かつ大型のPCaカーテンウォールを製造できるので、現場での揚重回数が減り、工期短縮も実現します。
今後、大林組では「ファイバーベトン」を使用した造形性に富んだ軽量、大型PCaカーテンウォールを積極的に提案することで、超高層建築物のデザインの自由度を増し、また同時に工期の短縮にも取り組んでいきます。
【工事概要】
工事名称 |
(仮称)丸ノ内ビルヂング新築工事 |
建築主 |
三菱地所(株) |
設計監理 |
三菱地所(株)一級建築士事務所 |
施工 |
大林・大成・清水・鹿島・竹中・三菱建設共同企業体 |
規模 |
地下4階、地上37階、塔屋2階 |
構造 |
鉄骨造(地上)鉄骨鉄筋コンクリート造(地下) |
用途 |
事務所・物販店舗・飲食店 |
工期 |
平成11年4月~平成14年8月 |
使用部位 |
高層部7F~最上階外壁 |
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以上
■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
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