改正建築基準法の性能規定に基づいた耐火設計手法を確立し、日本建築センターの防災性能評価を取得、大臣認定を申請

プレスリリース

大林組は、改正建築基準法の性能規定(ルートB、C)に基づいた、発注者により多くのメリットをもたらす可能性のある耐火設計手法を確立しました。
(仮称)阿倍野D3-1分譲住宅新築工事において、今回確立した耐火設計手法を適用し、(財)日本建築センターの防災性能評価を平成12年8月25日付取得、大臣認定を申請しました。


改正建築基準法では、「一般的な検証法(ルートB)」、「高度な検証法(ルートC)」によって一定の性能を満たすことを立証すれば、多様な材料、構造方法を採用できる性能規定が導入されました。設計内容を個々に検証し構造物としての安全性を確認することができれば、画一的に実証試験を必要としていた従来の建築基準法に比べ、合理的な設計が可能となり、結果として発注者へより多くのメリットをもたらす可能性があります。


今回、防災性能評価を取得した(仮称)阿倍野D3-1分譲住宅は、平成11年12月に大阪市住宅供給公社の主催する設計コンペにおいて、大林組が設計・施工にて受注した免震構造の建物で、地下1階柱頭に免震装置を設置します(地下1階は駐車場用途)。建物の基礎に免震装置を設置した場合と異なり、万一地下駐車場で火災が発生した場合、免震装置の構造安全性に支障を来す恐れがあるため、免震装置には耐火被覆が必要となります。従来の建築基準法に規定された地下1階の要求耐火時間は3時間でしたが、今回の性能規定の適用により2時間の耐火性能を確認した製品の使用が可能となったため、免震装置の耐火被覆材には、Fire Catch™(ファイヤーキャッチ)(※1)を採用しました。「一般的な検証法(ルートB)」には、免震装置の耐火構造について告示記載が無いため、今回は、免震装置の耐火被覆材および主要構造部について、「高度な検証法(ルートC)」を適用し、耐火構造の防災性能評価を得て、大臣認定を申請しました。
検証にあたっては、建設省告示1433号の技術基準「耐火性能検証法」に準拠した評価プログラムを作成し、効率良く耐火性能を検証することができました。この評価プログラムは、「耐火性能検証法」に規定された火災継続時間・保有耐火時間の算定手法をプログラミングしたもので、各階・各室毎に床面積・仕上材等の可燃物の面積・開口部の条件・荷重条件等を入力することで、評価結果を得ることができます。これらの結果を設計にフィードバックすることで実火災性状にもとづく合理的な耐火設計を効率良く行うことができます。今回の検証では、「耐火性能検証法」より導き出された地下駐車場の火災継続時間と免震装置の保有耐火時間を比較することにより火災安全性(耐火性能)を検証しました。また、ファイヤーキャッチの耐火試験による試験結果により2時間の耐火性能を示すことで防災性能評価を取得しました。


※1 Fire Catch™:大林組・横浜ゴム(株)・鐘淵化学工業(株)の3社の共同開発。
ポリイソブチレンゴムを主成分とした加熱発泡ゴム製の耐火材で、火災時にゴムが4倍に発砲して断熱材となり 免震装置の積層ゴムを守る免震積層ゴム用耐火被覆システム。
1999年9月角川書店新本社ビルで適用され、関西では初適用になります


今回確立した耐火設計手法の特徴は次のとおりです。

  1. 誰でも、すばやく耐火性能を検証することができます
    耐火性能検証法(建設省告示1433号の技術基準)に対応した評価プログラムにより、必要なパラメータを入力するだけで、すばやく耐火性能を検証できます。耐火設計の設計作業・防災性能評定の申請作業を、効率よく進めることが出来ます。

  2. 実火災性状にもとづく、合理的な耐火設計をすることができます
    耐火性能検証結果を、設計にフィードバックすることで、実火災性状にもとづく防火基準を満たした合理的な耐火設計を進めることができます。性能規定による耐火設計を適用した場合、建築基準法に規定された鉄骨造の耐火被覆厚を薄くすることも出来ます。

大林組では今回確立した設計手法を、積極的に活用し、設計作業の効率化と合理的な耐火設計を進めます。

【工事概要】
施工場所 :大阪市阿倍野区旭町
発注者 :大阪市住宅供給公社
設計・施工 :株式会社大林組
工期 :平成13年 3月~平成14年 8月(予定)
構造規模 :鉄筋コンクリート構造
   地上14階、地下1階、塔屋1階、
 建築面積1,181.27m²、延べ面積12,922.86m²
以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
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