黒澤プロダクションと共同で「マルチメディアグランプリ2000・通産大臣賞」を受賞

黒澤明映画の美術監督、村木与四郎氏・忍氏のデジタルアーカイブが対象に

プレスリリース

大林組は、(株)黒澤プロダクション(本社:横浜市緑区、社長:黒澤久雄)と共同で、「第15回マルチメディアグランプリ2000」(主催:財団法人マルチメディアコンテンツ振興協会、共催:通商産業省)において、最高賞の「通商産業大臣賞」を受賞しました。
同賞の受賞は総合建設会社としても初めての快挙です。

「マルチメディアグランプリ」は、最先端のマルチメディアコンテンツの総合コンテストであり、マルチメディアコンテンツ産業の総合的育成と発展と創造を図ることを目的として各分野の優秀な作品及び人物を表彰しており、12月7日、第15回の表彰式が行われました。今回のマルチメディアグランプリでは、応募作品161点の中からパッケージ部門、展示・イベント部門、ネットワーク部門、CG部門の4部門において、合計25作品が表彰されました。
当社は、今回、「黒澤明映画のための村木与四郎・忍デジタルアーカイブ」がCG部門「最優秀賞」に選ばれ、さらに4部門の最優秀賞受賞作品を対象に選定される「マルチメディアグランプリ・通商産業大臣賞」を総合建設会社として初めて受賞いたしました。
これまで、大林組は世界の巨匠・黒澤明監督のデジタルアーカイブプロジェクトを進めてきましたが、最新作では黒澤映画を支えた美術監督、村木与四郎氏・忍氏夫妻のライフワークに着目し、半世紀前から記録された膨大な数の資料(映画美術監督の目で記録し続けた戦後日本のまちなみと生活風景を記録したスケッチ・デザイン画・写真等)を最新のデジタル技術でアーカイブ化しました。
今回の受賞作品の内容は、村木夫妻が精緻に記録し続けた戦後日本のまちなみに関するスケッチ・デザイン画や写真等、約3200点を高画質でデジタル化し、時間軸や地域等の多様なキーワードを付加したデータベースと、これら資料をもとに、最新のコンピューター・グラフィックスにより再現された黒澤映画のバーチャルセットの2本立てとなっています。
また、村木夫妻による「半世紀間の東京」のまちなみ記録は、戦後日本の生活環境を明瞭に映しだしており、詳細なスケッチには家財の寸法やまちなかの看板デザインまでが忠実に描写されています。これらの資料は黒澤映画の美術資料として十分に見ごたえあるものですが、当時の生活を知る歴史的資料としても価値の高いものです。しかし、半世紀を経たアルバムや資料は、ページを開くだけで台紙が細かく剥がれ落ちたり、触れるだけで背表紙がハズレてしまうような状態であるため、当社の制作チームはこれらに細心の注意を払いながら根気よくデジタル化を行いました。
また、これらをもとに最先端の技術を駆使して再現した黒澤映画のコンピュータ・グラフィックスは、実際の撮影現場でもよく用いられる「汚し」のテクニックを応用し、生活感のある空間の表現を追求しました。

大林組では、過去4度のマルチメディアグランプリを受賞していますが、いずれも部門賞で、年度最高賞である「通商産業大臣賞」の受賞は今回が初めてです。


受賞作品の特長は次のとおりです。

  1. デジタルデータベースには、スケッチ・デザイン画や写真等の高画質デジタル画像、約3200点を収録。
  2. データベースのデジタル画像は、スライドショーによる自動再生が可能です。
  3. DVD動画(約15分)は、以下の3部構成となっています。
    (1)村木夫妻のライフワークを紹介する「映画の中にまちを創る」
    (2)CGの制作プロセスを紹介する「CGでまちなみを復元する」
    (3)黒澤映画(「野良犬」「天国と地獄」「どですかでん」)の再現CG
    (「野良犬」では、映画の登場人物とのバーチャル合成を実現)

大林組では、現在もCD-ROM「黒澤明デジタルミュージアム」を販売しています。今後も、インターネットなどマルチメディアの分野においても、その技術を活かし、独創的な情報発信を積極的に行っていきます。
今回の作品については、今後、国内および海外で開催される「黒澤明展」で上映する予定です。

■ 本事業は通商産業省が情報処理振興事業協会に出資し、財団法人新映像産業推進センターが受託して実施する平成10年度「先導的コンテンツ市場環境整備事業」に基いて実施されました。


以上
 
■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室企画課
東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟
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